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#94 Re:西野は何故勝利したか?
投稿者:井汲 景太 Ml Hp <2005/08/21 02:37>
<<<親記事]
>書き出された“カード”を見ているとけっこう色々切っている
>事が分かるので、手札が無くなったところで、結末はその流れ
>に任せた(逆転という流れはた寡なかった)かな?という気もし
>てきましたね。

これだけ重要なカードを切ってきたんだから、作者サイドとしてはやっぱり締めに入っていたんだろうと踏んでいます。で、「東城と西野のどちらを選ぶか」という重要ポイントの見通しもなしに、なし崩しに締めに入るとは思えないんですよね、私には。その時点で作者と編集の間では西野に決定していて、だからこそ天秤は西野側に大きく傾き、東城側のアドバンテージはついに根こそぎ洗い流されていったのでしょう。

リアルタイムでは作者サイドの意図も読み切れない部分もあって断定は難しかったですが、こうやって終わってから振り返ってみると、締めに入ってから後の「東城の逆転」は最初から考えてなかったんでしょう、やっぱり。

「最終的にどちらを選ぶかは決めずに締めに入った」という可能性は、以前も書いた通り「流れが変わってからは真中は一応西野一筋を貫いている」ということからないと思っています。「最後までどちらを選ぶのかわからないようにする」つもりなら、最後の最後まで(と言うか、最後だからこそ余計に)真中にフラフラさせたことでしょう。

私見ですが、もし
> 桃栗先生の中で整理がつかぬまま“連載終了”だけが来てしまった
という可能性があるとすれば、編集と作者の意向に違いがあり、編集は(おそらく西野に)決めろ、と指示して終了を命じたのに対し、作者の胸中はまだ固まり切ってなかった、という場合くらいじゃないでしょうか。そもそもこのマンガ、ずっと現実世界の時間進行と合わせて作品内の時間も進んでいて、去年半ばまでは「2005年の3月〜4月頃に作中人物が高校卒業を迎えて連載終了」の流れはほぼ不可避で、作者も「もうこの時期には、迷っていられる時間はない」ことは以前から覚悟していたはずです。高3の夏の話が長引いた関係で終了時機がずれ込んだため、考えをまとめる時間も増えたはずですしね。

それから、もう残っているカードでめぼしいものって、たぶん「ノートの小説」くらいしかないんですよ。これは話が西野寄りになったことが決定的になった後ではもはやあまり意味はないアイテムで(実際、そういう使われ方をしましたし)、仮に途中で気が変わって東城側に持って行こうとしても、他によっぽど強烈な隠し札を持っていない限りもう手遅れでしょう。以前LDさんがおっしゃった、『「どんなに前後の“辻褄”が合わない」話になったとしても一番好き合った者同士が結ばれる以上のハッピーエンドはない!』理論が、最後の非常手段として残っているだけです。

>ここらへんに前後して作者に「最後西野で締めるんだ!」という決意が
>あればキレイに行けたのでしょうが、桃栗先生的には迷いがあった
>(…かジャンプ編集的に考えられる様々な都合があった)のかもしれま
>せんね。

「事実上のクライマックス」で終了せず、10回近く続けた理由を推測して「なさそうな順」に挙げてみると

【1】メディアミックスの商品展開の都合上、連載がもうちょっとだけ続いてくれないと困る、という大人の事情。ああ、担当編集者の「水希ちゃ〜ん、悪いんだけどあと10回くらい引き延ばしてよー。内容なんてどうでもいいから、ヨロシク!」という無責任な声が聞こえるかのようだ(笑)。

これはただのネタですが、「でもひょっとしたら万が一っ!」と気の迷いがよぎってしまうところが「パンツマンガ」であるが故の業の深さ。

【2】ブラジャーの伏線を、何としても最後まで使い切りたかった、という作者の意地。

ストーリーマンガとしては破綻しているパンツマンガなので、使い切れなかった伏線の死骸がそこらじゅうにゴロゴロしています。例のブラジャーは、このマンガにしては珍しく中期的なスパンに渡って生かすことのできた伏線なので、これだけはどうしても最後まで使い切りたかった………という理由も、やっぱりないだろうこれ。

(「伏線の死骸」については、「編集からのテコ入れ要請があれば、伏線の回収など一も二もなく放り出して、最優先で要請に応えなければならない」ということが度々あっただろうことから、多少は大目に見なくちゃいけないんだろうと思いますが)

【3】やっぱり、卒業式までは描き切りたかった。また、西野の留学問題に答を出しておきたかった。

これらは多少はありそう。

【4】「ノートの小説」の伏線の決着をつけたかった。

これは比較的強い動機だったと思われます。

【5】「真中の成長」を描きたかった。ハーレムタイプのラブコメ要素搭載のマンガの宿命として、真中には一貫して非常に不誠実な思考・行動を取らさざるを得なかったわけで、これではくっついた西野が幸せになれるか非常に不安。なので真中を一旦「リセット」する必要があった。

多分、これと次の【6】が本命なのでしょう。

【6】東城を救済したかった。

真中への絶対的な信頼を描写しようとした結果、東城は真中へ極めて強い依存心を持っているキャラとして描かれることになりました。それは2人きりの更衣室で「真中が脱げといえば(濡れた服を乾かすためとは言え)脱いでいい」とまで言わせる程で(正直やり過ぎ)、その依存心は「隷属願望」とさえ言える水準に達しています。

真中も他人への依存心は強いから、これだと、2人がくっつくいても、将来互いに相手をダメにしてしまって、幸せになれるとはちょっと思えない(笑)んですよね。ただ、もちろんラブコメとしてはエンディングで目の前の2人さえ幸せ一杯なら万事OKで、彼らの将来にまで思いを馳せる必要は全然ないわけです。だから、東城とくっつけるならそれは別に問題ではなかった。

ところが、予定が変わって東城はラブコメのハッピーエンドからは弾き出されることになってしまいました。この時点で連載終了だと、失意のどん底の東城が将来幸せになれる目がまったく出てこない―――という訳で、以前書いたように「最終ヒロインの座から蹴落とされた償いに、東城には最大限いい役を振ろうとした」のはほぼ間違いないと思います。

[1]雪の日の回:真中から精神的自立を果たさせる。真中には涙を見せず強く振る舞うが、別れ際には(読者には)涙を隠せない。
[2]卒業式:東城は立ち直り、答辞も立派に務める。もう、真中と普通に会話もでき、読者にも涙は見せない。
[3]最終回:真中のことをいい思い出として振っ切ることができ、小説家としても成功する。おどおどモジモジした所は微塵もなくなり、4年ぶりにあった真中にもまったく動じない。

と描写を重ね、「真中との恋は実らなかったけど、でも決して東城は不幸になったわけじゃなくて、十分に幸せになれたんだよ」とアピールしていることがよくわかります。この優遇ぶりは、先日書いた「作者の持ちキャラ」への愛着も手伝ってのことではなのでしょう、たぶん。また、[1][2][3]通じて、パンツも見せなくなっています。

そう考えると、やっぱりラスト「東城に(無理にでも)勝たせる」ことは、作者としては全然考えていなかったんじゃないか、という見解に、私は至るんですよね。

………で、[1][2][3]を見れば「ラストでやりたかったこと」はよく解るんですが、でもやっぱりそこに至るまでの展開をもうちょっと考えてよ河下センセイ!!とは強く言いたいです(笑)。
  • お知らせ&お礼 投稿者:井汲 景太 <2005/09/24 21:19>