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#147 マリアの場合
投稿者:LD <2006/09/22 23:01>
<<<親記事]
> 問題悪化力と問題解決力という峻別は面白いですね。
> 「ハヤテ」のマリアさんの構造的な”強さ”と
> ヒナギクの”弱さ”の説明にも応用できますね。

まあ、特殊な内輪語を作って悦に入るのは、おたくの悪いクセであれなんですが。兎に角「問題解決力」という言葉を用意する事によって「他者と」任意のキャラクターにおける「問題解決力」の評価ができるようになります。これが大きい。ただ評価とはいっても絶対的な指標はないので、基本的には「○○よりは強い」といった相対的な評価になりますけどね。

で、マリアさんなんですが。
ハヤテのごとく!彼女が強固な問題解決力を持っている事は論を待たないと思いますが、実はその設定は非常に潜在的なものなんですね。作中ではそのポテンシャルが示唆され続け、実際に行使もされているのですが、構造的にはこの設定への依存度は少ないと言えます。…少なくとも今のところはです。しかしながら、凡そ漫研内では「マリアさんは強い」と評されています。それはどういう事か?一つは「マリアスキー」だの「年齢詐称」だのと、普段マリアさんを持てはやしている連中の(我々の事だ!)する事なので、評価が歪んでしまっている可能性が考えられます。これは注意点です。しかし、上述したように、キャラの強さの評価は多分に相対的なものなのですが、皮肉(?)にも「ハヤテ」の世界の中で、この潜在的なる物に対抗できる顕在化された強いキャラがいないと言う見方もあり得るのです。個々のキャラクターに対して、個々の比較はできるのですが、全体を俯瞰して観ると、彼らは一様にスポット・ライトを浴びれば、それなりの仕事をしますが、一旦ライトが逸れてしまえば、そそくさと楽屋に引き上げてしまい、決して我を張り幕間に割って入るという事がありません。仮にいたとしても、それは一話限りのやられキャラか、敢えて言えばナギなのですが、これはキャラが平均化されている世界でキャプテン・マーク(主役)に袖を通してしまった少女の不幸というべきで、必死にその責務を果たそうとした結果、逆にその平凡さが際立ってしまっているのが現状です。不幸を受身する芸風が主体のハヤテくんに対等格にリンクする場合、際限なく問題を持ち込むキャラが求められるワケですが、ナギには脇役レベルのごく平均的な問題発生力しか与えられていません。(こういう視点で考えると「うる星やつら」のあたるとラムがいかに強固なユニットだったか分かります。…どちらもトラブルしか持ち込まん!)落ち着いて、ゆったりと、自分の出番を待ってさえいれば、ナギはマリアさんに勝るとも劣らない問題解決力を発揮できるのに、構造上の不幸と言わざるを得ません。ただこれは「ハヤテ」の物語構造が弱いという事ではなく、スター・プレーヤーがいない代わりに、それぞれが自分の仕事をしっかりこなす事で強固さを出している構造という事になると思います。すっかり話が逸れてしまいましたが「ハヤテ」において、よく回るキャラは存在します。個人的にはワタル+サキさんのユニットと、西沢さんはかなりトルクが高いと思います。しかし、西沢さんに将来性が見出せるものの(あと今、ヒナギクを起こそうとしていますね)、現状において物語全体を牽引するキャラというのは皆無と言っていいでしょう。要するにこの状況下で、マリアさんの謎の、正体不明の、フィールド全体を包む、潜在的な問題解決力は、際立つのです。それと後回しにしていましたが、マリアさんはハヤテくんの意中の人である事は明らかに示唆されているので、これも強さの秘密になっています。主人公と、フィールド(物語)を潜在的に支配しているキャラがマリアさんなのです。顕在化すれば普通に強い事は論を待たないと思います。しかし、これらは全て潜在的なもので観客はこれを「予感」しているに過ぎません。マリアさんが「山」と呼ばれたり、「キング・ダーク」と呼ばれたり(←呼ばれてない)する理由はここにあります。あるいはこれらが単なるマリアスキーたちの妄想である可能性もあるのです。マリアさんの実働の牽引力は他のキャラと変わらぬレベルなのですから。…少なくとも今のところは。