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#259 演出チェック 残念の演出 マクロスF 第20話 ダイアモンド・クレバス
投稿者:LD [2008/08/26 02:29]
■参照記事
【死亡フラグを回避せよ!】http://www.tsphinx.net/manken/dens/dens0088.html#511
【死亡フラグ復活の道】http://www.tsphinx.net/manken/dens/dens0088.html#512

■「マクロスF」第20話視聴時


クラン「なあ…ミシェル。さっきの答え教えてくれないか…お前の恋はどこにある?」

LD(´・ω・`)。o(…あ、これヤバくないか…?)

↑上記の「フラグ外し」を“気に留めている”状態なので「何か仕掛けてくる」と思考している状態。


ミシェル「お前……こんな時になにを…」
クラン「ばかっ……こんな時だからだ………」

LD(´・ω・`)。o(んんん、大丈夫かな?…つか、クラン、“罪なさ過ぎ”だもんなあ〜…でも、メカニックも死なせてるし…微妙にいろいろ前振り打ってるよなあ…)



LD(´・ω・`)。o(…そうそう、巨人化すると必然的に“盾役”が回ってくるんだよね……って、あ、ヤバイ、ヤバイ…)


クラン「…!!ミシェル!!」

LD(#゚Д゚)。o(んなああああ!!ミシェルの“方”かよぉおおお!!?)


「ダイアモンド・クレバス」鳴り響く。
ミシェル「…ごめんな……クラン……俺も………お前のこと……あいして…」
クラン「うわぁあああああああああ!!!」

LD(#゚Д゚)。o(ああああ!!み!みしゃjlkhdふぃyjgsjgjgjつあsぐgはういjgdg!!!)

■残念の演出

…まあ、そんなワケで20話視聴時の僕の思考をトレースしてみました。…こう完全に決められましたね(汗)これだけシステマッチックに詰めてくるのは、多分、脚本の吉野さんの仕業だと思います。フラグ的(定型的)な演出に淀みを生んでおいて、ミシェルというキャラの積み上げを一気に「残念の演出」に組み替え、その死に際し、カタルシスと言っていい程の効果を上げています。

左図に「マクロスF」のキャラ構造を簡略化して描いてみました。ミシェルというキャラは物語を引っ張る「牽引力」は持っていないが、コアとなるテトラ構造(アルト〜シェリル〜ランカ)の三点の全てにそれぞれの角度で関わりを持ち、肩をたたき、行動や展開の手助けをしているキャラですね。こういうキャラを「漫研」では「キーパー」と呼んでいるんだけど、ミシェルは「キーパー」としては、相当優秀なキャラクターと言えると思う。
そしてクラン・クランだが、基本的に彼女は、そのミシェル(のみ)をサポートする「従格」のキャラと言える、ピクシー隊のメンツ以外(一人戦死したが)彼女は基本的にミシェルを通して、主要キャラとの繋がりを持つ構造になっている。…何が言いたいかというと、キャラ格から考えて、クランはミシェルを「後悔」させる為の死に目があり得た…という事なんだよね。…いや、僕は今「女の子は死んじゃイカンだろ?の力学」を無視して純粋にキャラ格だけで喋っているんだけど(汗)

アルトをある意味焚きつけながらも自分は踏み出す事がない。ミシェルというアルトを反射したキャラが、「後悔をして見せる」という展開はあり得たんだよね。アルトが後悔しない為に…というか、それはこの形でも完うされているはず。そして、その際、クランというキャラはかなり死にやすい位置にいたから僕はビビったわけですw
しかし、実際にパージしたのはミシェルの方だった。クランが退場しても構造は崩れないけど、ミシェルが退場すれば構造は崩れる、しかし敢えて崩したこの演出は見事としか言いようがない。ミシェルという“まだ役目を終えていない”キャラ…アルト〜シェリル〜ランカの三人を見守るべく置かれていたキャラが、退場してしまうのは“残念”以外の何物でもないんですよね。そしてその顛末は「生きるという物語」を確かに描いている。そしてミシェルが積み上げた役割は、全てクランに引き継がれているはずなんだ。(……豊口さん!最近、いい役貰いすぎじゃね!?)

…なんか、こう理屈立てて語ろうとすると、僕が勝手に考えオチして、勝手にクランが危ないと考えて、勝手に外れただけの話に聞えるかもしれないけど…(汗)僕が言いたいのはそういう事ではないです。それだけ「ミシェルの物語」はしっかり組まれており、その物語を惜しげもなく途中で打ち切るのはもの凄くカタルシスがある事なんです。虚脱感を味わい呆然としてしまう程に!その“惜しげも無さ”を堪能して欲しいから、ミシェルのキャラ格が高いって話から始めているわけでね…。そして単純に途中で切るのではなく、キッチリ引き継ぐキャラが置かれているキャラ構成の上手さにも惚れて欲しい。また、冒頭に「フラグ」の話をしたようにモジュール化されてしまった物がもつ“ゆらぎ”を上手く利用して、婉曲な形でフラグ〜〜この場合は“予感の演出”という方が正しい〜〜を見せて、ミシェルの死を単なる「突然死」ではない形に昇華しています。

単純にこの回の、このシーンだけこう作ってもこの効果は出ないでしょう。ミシェルが最期に見るクランとの思い出、そして「ごめん…!」という言葉にこもる想い。地道に丁寧に、ミシェルというキャラを積み上げてきたからこそ、このシーンは輝く。こういうシーンをいくつも体験して行かないと「情報圧縮」の意味が分からなくなると思う。「マクロスF」は、もう既に充分に傑作だったんだけど、この本物の「残念の演出」は、この作品にもう一つ箔をつけたと思います。
  • 残念の演出 マクロスF 第20話 ダイアモンド・クレバス 投稿者:真上 <2008/08/26 22:23>