#235 作画チェック:フタコイ オルタナティブ 第10話「クマのように舞い イカのように刺す」 投稿者:ルイ <2008/06/22 23:58>
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脚本:金月龍之介 絵コンテ:寺東克己 演出:鎌仲史陽 作画監督:堀越久美子 scene IKA・KUMA 演出・作画監督:小島大和 原画:篠原信子、鍔淵和彦、神谷智大、村上竜之介、國弘昌之、熊岡利治、板垣敦、内原茂、堀川直哉、松野正、別所正直、橋本純一 小島大和 中村プロダクション レイアウト作監補:夕澄慶英、南伸一郎、高橋守、野口孝行 作監協力:村田憲泰、下川寿士、三浦貴博、小笠原篤 第二原画:高野祐二、藤本和人 「フタコイ」は基本良質な作画に支えられた「作画アニメ」なんですが…これはちょっと例外。一応LDさんに敬意を表しまして、原画などの表記を忠実に行ったものの、実は「IKAKUMA」だけ抜き出せば良いんじゃね?と思ったりもして(笑)。実際他のシーンが悪いなんて事は全くないんですよ?でも、IKAKUMAは文字通り抜きん出ている。再放送で今回はじめて観た作品で、放送は3年も前。けれど、これは「作画の楽しさ」を示す為にも、今更という謗りも甘んじて受けて、敢えて紹介したいと思います。…因みに、普段からこんな着ぐるみと謎生物がバトルする作品ではありません(笑) 。簡単に紹介すると、片親で、憧れの存在でもあった父親を失った主人公は、双子と同棲していた。彼は「双子を抱く」という選択を常識や生活への不安、色々なものがあって「選べなかった」。ゆえに時は過ぎ、双子のうち1人は主人公の元を去らざるを得なくなり、主人公はもう1人と、傷心の日々を送る。「あの時、2人同時に抱く事を恐れなければ…。」そんな時現れたイカは、かつて父親がこの街を守る為撃退した、破壊神、いや破壊イカ(何言ってるの?)だったのだ。(最終話まで観てないので、僕も個人的な読みによるものです)…と、いう事で、実はかなり真面目な作品だったりするのです。元々が双子とラブラブ!という戯けた企画だったとしても。このシーンも、親父が撃退したイカにこてんぱんにのされ、否定される事で「今の自分」を否定される。そしてどん底に至った後、次はイカを倒してみせる事で、彼の意識の中での「親父越え」が成り、それが主人公の再スタートへの力を与える…そんな、構成の中でも意味があるシーンなのです!何故か、着ぐるみとイカのバトルで表現しているだけで! まずは序の口、クリスマス商戦の最中クマの着ぐるみでチラシを配る恋太郎(主人公)、チラシを捨てるバカップルにブチ切れ。ドロップキックからスリーパー、足四の字(相手タップしてるぞ!)、ジャイアントスイングから投げ捨て。鬱憤晴らしてます。 公園で佇むクマに、イ カ 襲 来。ここからが恐らくIKAKUMAの世界という事になると思います。別枠に「sceneIKAKUMA」とまで銘打たれ、演出作監を手掛けた小島大和さんの世界、と言っていいのでしょう。原画も何か、別枠扱いですしね。何が凄いって、元々線がヨレヨレで動きやすさ満点のクマだったりはしたのですが、ここからその「動かしよう」がフリーダムの域に突入し、コマ送りが楽しい、否!コマ送りをしてこそ楽しい原画遊びのコーナーに突入している。勿論、普通に観ても、勢いに溢れた素晴らしい動きです。ただ、コマ送りの楽しさはそれを凌駕する。 初っ端から、既にイカの造形を留めるつもりすらない(笑)。3枚目の壊れたオバQみたいな表情はなんなんでしょうか(笑)。また4枚目、クマがイカを非難する場面の額「怒」にも注目してください。普通ここは血管記号を出すところで、それでも「着ぐるみなのに、着ぐるみの上から血管が出る」という面白みがあるのですが…それどころか、まんま「怒」が大きくなったり小さくなったりしています。このあたり、IKAKUMAの基本なのでテストに出るよー。押さえてー。…また、左下にいる幼女が、何故かムダに色っぽいピンクのパンティをはいてますね。IKAKUMAは、エロとお下品とナンセンスで出来ています。 火を吐きだすイカ。2枚目はなんなんだよ!ほとんどウ○チじゃないかよ!って そのままじゃないかよ(笑)!またぬりかべ状になったり…もうこの辺でコマ送りしてるこちらもアタマがおかしくなってしまいます。世界に慣れちゃうんですね。でも、頑張ってツッコミ続けます。常識からの視点というのは大事なのです、それを「違うから駄目」に使わない限りは。 画面右から左へイカの攻撃を避けていく、スピード感のある場面。しかし、コマ送りしてみると…なんで着ぐるみの上からわかるくらい勃っちゃうの(笑)。あとそのポージングなにさ!!…IKAKUMAはエロとお下品と(略)。 逃げる一般人の皆様。ここで注目して欲しいのは、逃げ遅れ気味の女の子、その足元です。「モッ」→「サリ」→「モッ」→「サリ」…だから、そのまんまじゃないか(笑)! 回避の終わりにバック宙をするクマ。凄い!キレイな円回転だ! ってコラーー!!!何故か体全てがクマの、しかもカメラを向いた正面顔になって跳ねる。地面についた時は変な出っ歯顔だし、再度はねた時はムンクのごたる…で、最後に何かやり遂げた感に溢れる着地ポーズ。本当、IKAKUMAのセンスが爆発しています。 それからも少しありまして、健闘空しく釣られクマー、じゃなかったイカに捕まってしまったクマ。そこに駆けつけたるは町の治安を守る、警察官の針山さん!やはりIKAKUMAマナーに則り、エフェクトは文字そのもので描かれています。3枚目はともかくとして、4枚目が面白い。光エフェクトの体裁をとりつつも、実際は「ボ」ですよね、これ。…そしてこの銃撃を避けるジャンプシーンで、今回のIKAKUMA紹介のラストとしたいのですが…とにかく、律儀にツッコミたいと思います。 こら、ゴルゴッ! ブリーフで屁! コンドームっ! パースパース! おういエロ本読んでマスかくなってどっから!?いやそれよりティッシュまで完備! イ カ リ ン グ …ツッコんだら負けじゃないか!ツッコむけど! 京都の…畜生、ツッコめないじゃないか! 紙で折った兜に! …とまあ…ざっと、イカクマとはこんな世界なのです(笑)。静止画だと一枚一枚が固定されますから、僕がワザとやったように律儀にツッコミを入れられる。けれど、ただ放送を観てるだけだとコンマ数秒で流れるものなので、この1つ1つは笑いを取るネタとして成立していません。「とにかく何か凄い勢いで動いてる!何か途中に変なのがちょくちょくある!」という程度の印象になると思われます。普通に観ていたら元気の良い作画に見えて、気にして細かく見ると、変態作画だと気づく。…この原画の凄さは、ちょっと現行動画サイトのツマミなんかでは、とてもじゃないが追いきれない。作画の面白さには色々なものがありますが、その1つ、バカ作画、コマ送りするとニヤニヤが止まらない世界。それを最もわかりやすく出している回なのでした。凄いぞ、小島大和さん!凄いぞ!イカクマ!話も作画も大好きだ、フタコイ! |
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