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#253 作画チェック しゅごキャラ!第42話 ほしな歌唄!最後の戦い!
投稿者:ルイ [2008/07/30 04:07]
公式サイト:http://shugo-chara.com/
脚本:小山知子
   島田満
絵コンテ・演出:平尾みほ
作画監督:舛田裕美
原画:菊田幸一
 岸田隆宏、鈴木信吾、舛田裕美、寺尾憲治、山下英美、松下郁子、簾畑由美


祝!『しゅごキャラ!』2年目決定!
 いやぁ〜…嬉しい事ですねぇ〜…素敵じゃないか〜…とりわけ、僕は朝の子供向けアニメを大好きになった場合、大概その作品は打ち切られるというなかなかアレなトラウマをもっていたもので、嬉しいですよ。

 第1話を観た時からその脚本に感心し、速攻で単行本を揃え(…アニメ脚本の方がモゴモゴw)た事が思い出されます。『しゅごキャラ!』が継続制作される事になった要因は多々あります(しゅごキャラや登場人物の造形、変身願望、隠れハーレム構造等等)が、とりあえず作画面に関しては、「要因」はかなりハッキリしている。そして今回の42話は、その要素がひと通り網羅されたような回だと思う…ので、作画チェックのついでに、そのあたりも紹介しておこうと思います。

・基本的な止め画・アップ画
 まずはこの、ほしな歌唄の過去シーンに代表される、アップ画。次に貼る画像含め、この回想シーンは地味に全般上手い(二箇所に分かれているけど、同じ人…特に前半は鈴木信吾さんあたりかな…お子ちゃまだから、鋭角アゴの鈴木さんでも輪郭は丸くするだろうし…)ので、ちょっと特別ケースではあるんですが…同時間帯の少女向けアニメ「プリキュア5」あたりと比べても、そのアベレージ値には雲泥の差があります。

 この安定度は、衣装など新設定をあげ続けるキャラデザの崔ふみひでさん、総作監ポジションにいる鈴木信吾さん、そしてそこらへんの外注(グロス)回でも「作監協力」やら何やらの肩書きでもって管理を徹底する、サテライト大阪アニメーターをはじめとした中心メンツ数人の貢献が圧倒的です。…2年目の成功は、第一に、彼らが果てずにこのクオリティを維持できるか。まずはそこにかかっていると言えましょう。

 引き続き、過去回想から。いやこの2枚目の歌唄ステップとか、ほんとこう、地力の高さを感じさせるシーンなんですけど…更に凄いのは3枚目、イクトのバイオリンに合わせて歌唄が歌いだす所、軽くリップならぬバイオリン・シンクロさせてるんですよねえ…密かに。さすがに「要素」の中に、このレベルの小芝居などを入れる事は躊躇われます(その辺がダメなグロス回でも、ガッツリ修正で強引に上にもっていくのが基本ですからね)が、やっぱり基本優秀なアニメーターさんが回っているので、大切なシーンはこういう風にキッチリとおさえてくれます。


 これは41話で生まれ、今週2度目の登場を果たした、ややのキャラなり(変身)バンク。カメラに寄るタイミングなどが気持ち良い、最近のバンクの中でも良質なものですね。
・数多いバンク作画
 日本のアニメ・特撮シーン(特に変身ヒーロー、ヒロインもの、ロボもの)と不可分であるバンクシーン。要はちょっとクオリティ高めに使いまわしの効くシーン(主に変身・必殺技)を作っておき、それを何度も遣うことで枚数労力削減、印象付けをしやすいので決めポーズなどを浸透させやすい、かつ基本上手いバンクシーンの印象でもって全体の作画イメージも底上げ…などなど、メリットの多いもの。一方で、バンクシーンは少しでも目の肥えた人には「手抜き」として見破られやすい、諸刃の剣でもあるのですが…「しゅごキャラ!」はバンクが大目のアニメであるにも関わらず、実はそのあたり、他のバンク大目作品と比べ、少し不思議な特徴を持っています。

 どういう特徴かというと、「仕事が増え続けるバンク」「バンクと思えるほどのデキの割に、2度使うかすら定かではないものがある」…というあたりでしょうか。簡単に言ってしまえばバンクなのに楽できてないっぽいという事(笑)。まず最もバンクらしいバンクと言える「あたしの心、アンロック!」→変身、という流れすらも、結構新規に描き足す必要がある。「アン、ロック!」の時、新設定の服を着ていたらそれだけでアウトです。もうこれまでで、10種類くらいはあるんじゃないかな?そしてヒロインのあむに限らず、しゅごたまを持っているキャラクター達(ガーディアンメンバー、イクト、歌唄など)はそれぞれに作り込みの差こそあれ変身バンクを持っている…けれども、元々が例えば「セーラームーン(まあ、今ならそのものプリキュア5)」などのように、全員が決まって揃って戦うようなバトル構造作品ではないので、中にはレアなバンクという、バンクだかなんだかわからないものが沢山あります。特に印象的だったのは、中学生になってガーディアンを卒業した先輩「空海」のキャラなり作画でしょうか。腕利きアニメーター「大久保宏」さんが手掛けたと思しき素敵なバンクシーンなんですが、そもそも初変身したその回が「卒業した空海が久々に小学校にくる」というイレギュラーな回。案の定、それ以降20話近く、空海登場すらしていない…(笑)。なんだったの、あのバンクシーン?w…強いて例えるなら、しゅごキャラバンクは変身モノよりは「タイムボカンシリーズ」に近いと言えるのかな?あむのメインキャラなりですら三種類というのは、もう「今週は何に乗る!?」の世界だ。まあ「仮面ライダー」あたりも最近の平成ライダーは、主人公に複数選択肢をもたせますしね。


 今週新たに生まれたバンクらしき(背景がないってのが基本的なバンク見分けポイントだ!)やや必殺技。ややの表情がイチイチ元気よく描かれていて、結構お気に入り…でも、このバンク(?)も、果たしてこの後何回出るでしょう?初登場のこの回すら、イクトに睨まれただけで終了した無駄技だしなぁ…でも、作画は良いという(笑)。他にも今回初出バンク「キャラなり・アミュレットデビル」も、あと何度観られるか?というレアバンク。


・コミカル作画
 『しゅごキャラ!』の作画演出の「間」を形作る重要要素が、多分これ。今回はVS歌唄のシリアス回なのに、そんな中でも、しかもバトルそのものにも堂々とデフォルメが侵食。デフォルメフキダシ、あと今回は通常回と比べて少なめながら、残像表現即ちオバケ(主に井元さん作監回、あるいは金澤演出の軽いノリの回参照)このあたりが、しゅごキャラ!の親しみやすさを生み出した事は確かだと思います。ここの、勢いを殺さないままコミカルオチに繋げるコンテ演出は素晴らしい…タイトル名出しちゃうのもナンですが「ソウルイーター」あたりはここの繋ぎがちょっと緩いと思うんですよね。アクションから脱力に至る流れが、キッチリ分かれすぎているせいで勢いが止まる。まぁそれも続ければ様式美かもしれないけど…勿体無い。

 さて、ここからは『しゅごキャラ!』作画の特徴というより、42話作画チェックの側面をクローズアップしようと思います。↑のコミカル作画でも、妙にロボットアニメチックなエフェクト光も面白いですね。。歌唄の突進も、勢いありつつ画としても綺麗。重心を下げていった歌唄が、突進するとき=2枚目、ブレ線がグァ!と入るのが特徴的。先ほど言った通り、『しゅごキャラ!』の基本はこういう動きの勢いを出す時、お化け残像を使ってきたので、コミカルとシリアスの落差も含め、印象に残る作画です。これが、テロップで別格扱い(一段目単独表記)な菊田幸一さんの仕事でしょうか。今回、あむVS歌唄は全般、ストレートなレイアウト&エフェクトバトルが展開されているので、ひょっとしたらほとんどが菊田さんなりどなたか1人の仕事なのかも(それなら一段目単独表記は納得いくしなあ)。そこいらを紹介しますと…。

 やはり、美しさを損ねないままで勢いをつける作画。2枚目のトライデントにブレ線が使われていたり、先ほどの歌唄ダッシュと同じ人の仕事ではないかと。ここ、後述の「イクトパート」を間に挟んでるんですが、これらのブレ線やタイミングでもって、同一人物と想像→じゃあ?という事で「あむVS歌唄担当なんじゃ?」という推論が出てくるわけですね。

 ダークジュエルVSアミュレットデビルの、どこの超能力バトルですか?という勢いの凄まじいエフェクト戦。4枚目、地面で煙が巻き起こっているあたりがただの迸りエフェクトに留まらない奥深さを感じさせる…と、そのエフェクトはBパート冒頭、ガーディアンを吹き飛ばすシーンでも描かれていたような?

↑コレ。このあたりに線を引いていくと、本当にBパート、相当量のバトルを同じ人が描いてるんじゃないか?という感じがしてくるんですよね…そして、それを成した人に対して、敬意を表して一段目単独表記ってなるのは自然じゃね?と。こうやって、まず菊田幸一さんにアタリをつけよう、という風になるワケです。

一時的に互角のバトルを演じたものの、歌唄の気迫溢れる攻撃の前に、押し切られるあむ。アミュレットデビルのギターが実体を保てず消滅し、体で支える→変身も解けて吹っ飛ばされるという流れが、相変わらずの強烈エフェクトと同時に描かれています。歌唄の表情も凄いし…お見事。


 一方、こちらは純正の「動かし作画」。今回はEDでラクガキ調の可愛い作画を披露している、岸田隆宏さんが本編登場。(おそらくは)この強烈なアクションシーンを描いてくれたので、流れが見える画を抜き出して構成。


 イクトがガーディアンメンバーに突進&攻撃、回避した唯世が反撃。それをジャンプでかわすイクト。この一連、紙の上での3D表現が素敵です。3,4段目に顕著。画面奥にいるイクトが、唯世の攻撃をクルクルとジャンプしながら、画面左前に着地する。あくまで原画は紙一枚なのに、ここには立体がある。ただ奥から手前に走ってくるだけでも、遠近感意識したりする必要あるでしょうけど…こういうクルクルジャンプに至っては、パーツパーツの正しさというよりは、もう、そう感じさせる空間把握能力に拠る所が大きいんでしょう。


 (*゚∀゚)=3…助太刀に入った海里をあしらうイクト。海里は宮本武蔵の句を諳んじるようなキャラで、だからこその二刀流、そしてそれを超人的に身軽なネコキャラがあしらう図というものを、見事に表現した良作画です。真横から撮った状態から始まり、そこに再び奥行きが加わっていく。



 (*゚∀゚)=3海理は二刀流を駆使し、右左右と交互に、体の流れに任せる形で剣を繰り出し(剣の残像、残光表現が動きの流れを見せやすくしている)、それをイクトは側転やジャンプといった身軽さ一点でかわしていく。しかも最後には、後ろから首へのキック付き。…ここの、海里の自然な重心表現はかっこいいなぁ…。海里は海里の特徴でもって動き(剣の修行したもの特有の踏み込み、落とし気味の腰など)、イクトはイクトで海里とは全く違う特徴でもって(身軽さの絶対値が違う)彼にしかできない選択でもって回避していく。共に常人ではないから、単に重力表現をしっかりすればいいというものでもないんですね。この場合は、重力を軽く無視したかのようにイクトを描く方が、キャラクターとして絶対に正しい。…しかも海里のキャラなりは、義経チックに頭に衣をかぶっているから、動きが映える事映える事。まあ作画するには面倒この上ない造形でしょうしwそう何度も動かせるものではないでしょうけど、だからこそこの一点で海里の造形含めた全てを表現しよう!という気概に溢れている。ここは何度観ても素晴らしい。コマ送りする楽しさをなるたけ見せられるように貼ったつもりですが…どうかな?動きの流れが見えるかな?ここまでいくと「コマ送りしないと失礼だよ!!」などという妄言を口にするに足る領域です(笑)。

 …この作画が載るか載らないかってのは、凄まじく大きいですよね。「さすがツクヨミイクト…!僕らが束になっても敵わない!」って言葉で言うだけで演出したいことの方向性だけはカバーできても、それに実感が伴うかどうか。こういうシーンは当然バンクシーンではないのですが、作画からキャラを積み上げるものという事で、ある意味で精神のバンクシーンですね。イクトというキャラを観る時、このシーンは最後まで残り続ける。それくらいの高い貢献をしている…上手い作画が、上手さの展覧会に留まらず、作品演出として機能する。プロの仕事すぎる!


 …まあ、最後のあむVS歌唄やイクト一連は、普段望んではいけないものだとしても。それ以外の要素をどこまでキープできるか。そして、再びこういう腕利きアニメーターを呼び込める回まで粘れるか。しゅごキャラ!の頑張りに、これからも期待です。