投稿者:SNARK
題名:エクスマキナ
一言:☆☆☆+:CGによるアップルシードのアニメということで観にいってみたが、なかなか面白かった。オリュンポスという新興都市とそこにいるサイボーグやバイオロイドという、人工的で無機的な世界がCGとよく合っていると思う。キャラ設定や世界観が若干変更されていて、政府高官になっているヒトミとかESWATにいるヨシツネ、同僚・先任とか後見人・親族に近い信頼という関係から「恋人」になっているデュナンとブリの関係、なにより無駄な動きをせず絶対確実な方策を採り、相手の正体が把握できたら勝負がついたも同然な「組織の強さ」という「士郎正宗テイスト」の味は無くなっているが、プロデューサー(ジョン・ウーかよw)の影響から派手なガンアクションとヒロイズムへ変わっている。これはこれで違う趣があって面白いし、アクション映画としては見栄えがしていいんじゃないだろうか。まあ、元のままではあまりに枯れてるし、単品の映画としては正しい変更だとは思うw昔どこかでブリの中身は黒人と聞いたような記憶があるのだが…。観ていて途中で、「何か記憶に引っかかるものが…」と思ったら、プロットが「パトレイバーthe Movie」にそっくりだと気づいた。細かく見ていけば「最近流行り始めたある小道具としかけをきっかけに暴れだす身近な物」、「真相を知って海上のプラントへ突入」と、実に良く似ているwパクリ云々を言う気はないが、後発でありながらよく似たストーリーという時点で不利なのに、脚本自体の完成度も見劣りがするのはどうかと。デュナンとブリの双方が持っている、ブリのサイボーグ化に対する葛藤と、そこへ現れた生身のブリと同じ肉体とメンタリティを持つ人物という要素が消化不良になっているし、ポセイドンの協力もストーリー上のご都合的な感じ。ポセイドンが自前の軍事力でプラントを破壊、筋書きをでっち上げてオリュンポスに恩を売るというほうが有り得そうなのだが。モブのおざなり感はあるが、CGによるアニメーションはさすがにだいぶこなれていると思う。もっとも、今では珍しくもなくなっているし、こちらの目が慣れたからかもしれない。とはいえ背景や効果では当たり前になったが、ここまでの割合でCGになるとちょっと感慨深い。以前、「ランディム」に失笑してる間に「アクアキッズ」で韓国アニメに追い抜かれてしまったと思ったことがあったけど、少しは持ち直したかな。まあ、あちらが停滞してるだけかもしれないし、気は抜けないけれども。ハードやアプリの能力が上がって、CG化の出来が良くなっていくのは当然とは言えるけども、動きの「味」や画面作りなどの演出といった点ではまだまだ経験やノウハウの蓄積あるいは多分野からの転化が必要だろうし、そこから得られたものをライブラリ化していくことも重要だろう。「ゾイド」シリーズの成功例などもあるので、なんとかなると思う。今回のは、主要キャラのアクションはモーションキャプチャーなので厳密なフルCGと言っていいのかは不明だが。「CGムービー」ではなく「CGによるアニメ」であることもプラス要因のひとつだろうか。一時期は「CG=リアリティの追及」という風潮で、鳴り物入りで製作された「FF」などはなまじリアルを目指したために余計に微妙な違和感が目立ってしまったり、脚本の弱さもあって「CGだから何?」という感想まで持たれてしまったが、このあたりのアニメ的な面白さと実写的なリアリティの匙加減も重要な要素だと、改めて感じる。細かいことは抜きにして、観に行くだけの価値はある1作だと思います。
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