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ルシオラ事件(蛇足)

ルシオラは何故、三度死んだか?
 横島くんの子供として転生という結末を迎えたルシオラですが「ジャッジメント・デイ!!」においてルシオラは“三度死んだ”という解釈は成り立つと思います。
1:ベスパとの戦いに参戦して瀕死の重傷を負った横島に自分の霊基構造を与えて消滅。
2:アシュタロスの野望を挫くため「宇宙処理装置」のエネルギー結晶を横島くん自身が破壊。それに合わせて横島くんの身体に残っていた残留意思が消滅。
3:死亡したはずのベスパが霊体の破片を眷族に回収させて復活。ルシオラの破片の回収にもあたるが結局成らなかった。
 美神さんは「これでハッピーエンドってことにしない?」とは言いますが「ルシオラ復活の希望を与えておいて、わざわざ消沈させるようなことを!」という意見を積極的に否定する人はいないでしょう。じゃあ何故あんな展開にしたのか?・・・・やっぱり土壇場で思い付いたんですかねー?1:、2:はいいんですよ(横島くんに「ベスパの攻撃は文珠で守らんかい!」というツッコミがありますが、多分、文珠で守ってたにもかかわらず、貫通されたのでしょう)一度「どうしようもなくルシオラは死んだ」という状況を与えておいて、横島くん自らが「さよなら」をすることによって読者の納得を丁寧な形で求めている。これで納得しない人は何やっても納得しないでしょう。しかし3:はそれを土壇場でまぜっかえしたに近い・・・ぼくはあの結末で充分よかったと思ってますから別にかまわないんですが、そんな邪推はしてしまいますね。

本当にルシオラが死ぬ必要があったのか?
 この文章を書いてる最中、ぼくはやたら「ルシオラは退場すべき」と連呼し「こ、こいつ実はルシオラの事が嫌いなんだろうなあ」と思われた方も多数いらっしゃるとは思いますが、そんなことは断じてありません!ただ、主役が誰だか分からなくなるという事態に対して他の人より過敏反応を示していたのは確かなようです。ちばあきおさんの「キャプテン」や荒木飛呂彦さんの「ジョジョの奇妙な冒険」のように予定された主役交代劇ではなく自然と主役が変更してしまった例?・・・「うる星やつら」?「Dr.スランプ」?ぼくの記憶内ではどれも今回の“ルシオラ事件”に当てはめるにはピンときません。「30巻以上つづけた連載マンガの主役の存在が希薄になる物語を描いたらそれはその作家の敗北を意味する」とさえ、ぼくは考えたのです。そして多分、そのことは椎名高志さんやサンデー編集部も同じ考えだったと思います。
 しかし「そうまでして主役の美神さんは守られねばならなかったのだろうか?」と今になって考えたりします。何と言うか、アシュタロスを倒してルシオラは無事。そして美神除霊事務所の実働部隊となった横島、おキヌ、ルシオラの三人に指令と最終判断を下す保護者の美神というのは、ぼくの頭の中でバシッ!と決まるのですよ。それはもう某女スパイドラマのようにバシッ!と決まるのですよ。キャラ配置的にも情熱的でキビキビ動くルシオラに、おっとり型のおキヌちゃん、お金にがめつい大人の女性美神と、三人とも魅力的で誰にしようか迷っている横島くん、とホラ!ばっちりバランスが取れてる!(笑)あれだけ増えた「GS美神」のキャラクターたちの中に新たに放りこんでもルシオラは遜色がないし、かなり面白く動くことが予想される。やっぱりこの展開も観てみたいという欲求は隠せないよなあ。
 ぼくは「基本的に物語の主人公は主人公たるべき扱いを受けなければならない」と考えてるし、そのことについて、まとまった意見もあるのだけど、今回の事件を眺めていると「別に面白ければ主役が誰か分からなくなってもいいじゃないか?」とふっと思ってしまう。(これについては、また一からしっかり考える必要があるのだけど)とにかくぼくにとってルシオラはそれぐらい、それまでの思考を揺るがすくらい、一つ一つの動きが気になる娘でした。

蛇足
 さて前述の第三稿を「横島くんの成長ストーリー」として論文を締めくくりましたが、たぶん横島くん全然成長してません(笑)それどころか横島くんは以後ルシオラのことをまるで思い出さない可能性さえあります。これって気がつくと椎名さんが心の師と仰ぐ藤子・F・不二雄さんの「ドラえもん」に通じるものがありますよね?毎年公開される“映画版”の「のび太くん」は様々な苦難を乗り越えて成長して行きますが、日常=TV放送に戻れば、やっぱりマヌケな「のび太くん」です(笑)つまり“ルシオラ編”は「GS美神」にとって“劇場版”とも言える存在ではないでしょうか!?(笑)

というわけで劇場アニメ化してほしいですね!おしまい!

'98-11/24 LD津金

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