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『天 天和通りの快男児 16〜18』

投稿者:LD ☆☆☆☆ [2002/08/15 00:21]
近代麻雀の長期連載だった「天」の長い長い“東西戦”を終えた後のエピローグに当る話ですね。
作品に大きな影響を与えた伝説の麻雀打ち・赤木しげるがアルツハイマー病にかかり、自己を認識できる内に自らの生命を絶つ事を決意し、その死ぬ前の告別式にこれまで登場したキャラクター達が一人一人立会うという奇妙なシチュエーションの話になっています。
麻雀の闘牌のシーンは一切ありません(笑)敢えて言うなら赤木の宿敵とも言えた曽我三威が、牌めくりのゲームをやっただけですね。赤木の方がアルツハイマーで麻雀のルールが分からなくなっているので(笑)

作中に登場し、ある意味、主人公の天以上の人気を獲得して、あまつさえ自らを主人公とした「アカギ」まで連載を始めてしまった、まるでラーメンマンのようなキャラクターが赤木しげるなんですが、福本伸行先生の出世作が「天」なら、「天」を出世させた要因にこの“本物の天才”の登場は欠かせないでしょう。インパクトありました。登場時の“Aのワンペア捨てて4カード”とか“四暗刻地獄待ち”は(分からない人は単行本を読もう)。福本先生も思い入れたっぷりなキャラだと思います。

…だから、まあ…この話はちょっとした宗教ですね(笑)教祖が涅槃に入るので弟子達がいろいろ対話を持ちかけているのです。福本先生の死生観が“たとえ話”もへったくれなしに直球勝負で語られます(笑)
その意味で言うと福本先生の作品を一通り読んだ上で、この「天」最終章に挑むのがいいかもしれません。(僕も全部読んだワケじゃないですけどね)ホントにもう、福本先生がこれまで描いたダメ人間や妖怪をひっくるめて赤木に「人は死んでいいのか?」と問答をしかけているような、そういう重みを感じながら読むとよりいっそう重みが増すのではないでしょうか?…結局、重いんだけどね(笑)

作・福本伸行 竹書房 近代麻雀コミックス

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