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殿!ご再考を!

「学園七不思議」の巻

スタジオ・コメットって知ってますか?
 「金沢比呂司」というアニメーターがいる。かなり昔からアニメ製作に携わってる方で、ぼく個人としては「ガンバの冒険」に参加していたのがすごく印象に残っている。その金沢比呂司さんが主要なスタッフとして参加しているアニメ製作会社が「スタジオ・コメット」である。製作したアニメとしては「ハイスクール奇面組」「ついでにトンチンカン」などのジャンプ・アニメが有名で、最近なら「ケロケロちゃいむ」、現在「発明BOYカニパン」を製作している。ただアニメファンはこの会社の興味、印象はほとんどないのでは無かろうか?いやむしろ、現在どんな作品であれファンのつかぬアニメは無いのだが、「スタジオ・コメット」はそれを頑なに拒否しているように感じる。会社の方針かどうかは知らないが、作られるアニメは「可もなく不可もない」という評価が一番ぴったりくるような「普通の」アニメであり、多くのアニメファンが求めるような「コテコテ」のアニメを作ることはまず無いと言っていい。とにかくアニメがブームになろうが下火になろうが淡々と普通のアニメを作り続けたのがスタジオ・コメットなのだ。正直、この会社にはあまり注目していなかった。こう言ってはなんだが、いかにも暇つぶし的なアニメを作るので「ぼくとは肌が合わんなあ。もっと突き抜けたもんが好きだからなあ」っという認識をしていた。今でもその認識はそれ程変わらないのだが、そのぼくを夢中にさせ「これはスタジオ・コメットの最高傑作だ!」と言わしめたのが、「ハイスクールミステリー学園七不思議」である。

霊を信じない者は死刑!?
 これはオカルトマンガの大家「つのだじろう」さんの描いた原作にアレンジを加えたもので、その内容は、やたら霊障の起こる恐怖の高等学校「黄泉(こうせん)学園」で起こる不思議な事件の数々を、少なからぬ霊力を持つ少女「一条みずき」さんと、自己の霊力を完全に自覚する「月影明子」先輩が何とか解決していくというもの。原作では、ある程度事件を終えると話を次の学校に話を移すという手法をとっていたのだが「学園七不思議」では、あくまでレギュラーを固定させ一つの学園で起こる出来事としたので黄泉学園とその市内はとんでもない心霊スポットと化してしまい「よくこれで廃校にならないなあ」とツッコミを入れれるとこで、すでにぼくの心をポイント・ゲットしていた(笑)また登場する自縛霊、浮遊霊が強い強い!この学校、過去に自殺者を出しまくっていて(笑)その怨みの霊たち(ボウっと見えるとかそんなんじゃなくてもう足までついてモロに現れるの!)はポルターガイストも斯くやという大旋風を巻き起こすし、戦時中は防空壕だったり、旧校舎からは謎の白骨死体群が発見されたり(笑)そんな連中が一年の間に全41回にわたって事件を起こしつづけたのだから、その凄まじい心霊スポットぶりがわかるでしょう?
 しかも、相変わらず霊を信じない人々が続々登場する(笑)ここまで異常な事件が続発したら「幽霊は存在する」と考える方が合理的だと思うのだが「霊なんているわけないじゃない!」と力説する輩はあとを断たない。つのだじろうさんのマンガではこういう発言をする者は自ら「死刑宣告」を出したも同然であり、この作品でもそこらへんがきっちり踏襲されてるところが嬉しい限り。中には「えっ、こんなことで?」と思えるようなことで、死に至ってしまう話も多くあり「霊は絶対存在する!馬鹿にするとこうだぞ!」というような半ば脅迫めいた作品の作りで、またぼくの心をポイント・ゲットである(笑)
 さらに何度霊にひどい目に合わされてもまるで懲りないみずきさんが素晴らしい。「興味本位に霊の世界に近づくと危険よ」という月影先輩の忠告も空しく、まるで反省の色なく次から次へと事件に首を突っ込むみずきさんと、数少ない「仲間」であるみずきさんを心配してちょっとストーカーっぽく後をつけまわす月影先輩の絶妙のコンビ、やたらこの学園の事情にくわしい「まきえ」(ま、撒き餌?)幽霊は怖いが他の友人が幽霊大好きなのでなかなか言い出せない「ゆかり」わりとあっけらかんの「のりこ」といったみずきをとりまくキャラクターたちが楽しく、またポイント・ゲットであった(笑)

卓球た、卓球だ、卓球だーぃ!
 というわけで、この作品はぼくの心をがっちりキャッチしてしまったわけです。(実は、ぼくの住んでるところではこの作品は放送されておらず、友人の持ってくるテープが頼みだったのが一因にはあります)「学校の怪談」ブームに乗って作られた(そこらへんある意味すごくスタジオ・コメットらしい)「学園七不思議」だったが、その作品の性格から「安定の」スタジオ・コメットにしては珍しく、いやTVアニメ全体としても珍しく「不安な終わり方」をする稀有なアニメであり、その辺踏まえてなかなかの傑作だったと思う。その「学校の怪談」ブームに乗ったままLDまで出してくれればよかったのに、やっぱスタジオ・コメット作品では商売にならないのでしょうか?ポニーキャニオンさん!?もはやかなりLD化は難しそうだが、何とかご再考を!ところで上の意味不明の題字、もし「学園七不思議」が再放送されたら、このセリフを是非見つけてください。スタッフがこの作品をいかに楽しんで作っていたか分かるとてもいいシーンなんですよ(笑)


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