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殿!ご再考を!「ニュータウン・ヒーローズ」

# 殿!ご再考を!「ニュータウン・ヒーローズ」 投稿者:LD [2002/02/04_00:56]
ずっと単行本化は時間の問題だと思っていたのですが、なかなかそうならないんですよね(汗)なんでかな〜?

チーム・グレッセオ 現在、「金色のガッシュ!」を好評連載中の雷句誠先生が、増刊サンデー超で連載していた作品です。8つの企業が買いとって分断し、リゾート計画を推進するために強引に立ち退きを迫っている“ラウンドテーブル市”というニュータウンで、頑強に立ち退きを拒否する悪ガキ軍団“グレッセオ”の首領・空刃戸玄守(からはど・くろす)の戦記です。市直下に隠された無限のエネルギー“地球の心臓”を巡って開発計画を影で統括する孟瞠寺電力との死闘が展開して行きます。
よかったところは…クロスたち子供たちの願いを大人たちが次第に支えて行く展開でしょうか。最初の行動はクロスたちの「この街を離れたくない」という(様々な事情はかかえているものの)“わがまま”から始まっています。大人たちは最初、心情的にはクロスたちに共感しながらも、法律的には“向こう”が正しいという理由だけで、どこかであきらめ、強制収容等の事態になるまえに住所を引き払わなければならないと考えています。
そこでクロスたちに手を貸すのは悪くすれば犯罪者にされてしまう行為なのですが、それでも彼らの「この街を守る」という、一途な“わがまま”に、「自分たちが本当はどうしたかったか?」を思い出し、クロスたちへの協力を誓うのです。
いい話があって、街を残す方向で考えてくれそうな会社の幹部が“悪者”に殺されてニセモノとすりかわった。クロスはこれに一発で気がつく。そしてコイツはニセモノだと大騒ぎする。“悪者”が出す特有の毒気によってなんですが、要するにクロスの勘だけで、他には全く証拠が無い。証拠がないからそれ以上どうする事もできないんですが、これを大人たちが信じてあげる事によって事態が動く、展開する。そういう話ですね。
こう書くとまるで大人が主役のようですが、前線で戦いアクションするのは常にクロスたちです。大人たちは裏方で、書類片手に交渉したり、女医さんが怪我したクロスたちを手当てしたり、そんな感じです(笑)でもそれがすごくいい感じです。
あと、この物語に登場する人の中に“人を殺した人”というのがいて、今はいい人だったとしても人を殺した目というのは独特の瞳をしていて光りが宿っていない、その区別とか好きです。
あからさまに凶悪な連中が法的手続きも面倒くさそうにして、立ち退きを強引に進めている様は、「…これはちょっと悪過ぎだろう?」と大げさな出来事に思ってしまいますが、それを無限のエネルギー源である“地球の心臓”という設定をいれる事で大きな戦いへと展開させて行きます。何よりクロスたちの不退転の決意を宿した目を見ていると応援せずにはいられなかったです。

こっちが年くっちゃったせいもあるのですが、血の滾るような少年マンガというのはそうなかなかお目にかかれるものではありません。でも、不思議となくなりもしない。どこかで必ず、血の滾るマンガを目指して成功させている作品があるのものです。たぶんマンガの到達した、根本的な金脈の一つなのでしょう。僕の経緯的にはジャンプの「ワンピース」が一段落ついて、さて他になんか面白いのないかな?と探している時に出会った作品でした。
雷句先生が週刊連載に昇格するためでしょうが、物語は戦闘態勢が整い、敵である孟瞠寺との苛烈極まったであろう決戦を前にして、孟瞠寺が滅びる事で決着しています。ちょっと残念ですが、まあキレイにまとまっていると思います。

そんなワケで小学館様、単行本化を!

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