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殿!ご再考を!

「妖精姫レーン」の巻

大地丙太郎とは?
 大地丙太郎さんというアニメ演出家を知っているだろうか?もともとはアニメーション製作の撮影の人だったららしいが、最近になってTVシリーズ「赤ずきんチャチャ」「こどものオモチャ」などの傑作アニメの演出を手がけ、そのハイテンションなセリフまわしと、スピーディかつなげやりな作画、そして絶妙のギャグセンスで、今や推しも推されぬギャグ・アニメの第一人者となった人で、現在(‘98年8月)「すごいよ!マサルさん」の製作を終えて「浦安鉄筋家族」を鋭意製作中である。そんな大地さんが「赤ずきんチャチャ」の放送終了後にちょっと遊びで作ったのが、この「妖精姫レーン」なのです。お遊び的に作ったこともあって、大地丙太郎さんの中身の濃〜いエッセンスが注入されてるので、一度観る程度では只々あっけに取られるばかりのギャグアニメとなっている!そこで今回は「妖精姫レーン」の“ツボ”を一つ一つ挙げて行きその魅力に迫ってみたい。(しかし本当は二回観るのが一番いいことを、あらかじめ断っておく)

「レーン」の世界
 主人公「宝田ゴウ」は両親の影響で、神秘オカルト考古学に興味を持ち、トレジャーハンターを夢見る高校生である!そして神社の財宝探索中にふいに目の前に現れた「レーン」という妖精と出会ったことによって妖精界の求める「四つの神像」を求める大冒険が始まる・・・・はずであったのだが!このレーンの話す妖精語がまるでゴウくんには通じない。しかもこれが偶然にも発音が日本語と酷似しているため、正体不明の会話になるのである(笑)「おなかみたくし、しーつにしみて、ながしためだまにびーちびち。かためにみあげたこんなくま。おなかがすいた、みずうみどきどき」こんな感じ。しかも肝心のゴウくんはそんなことはまるで意にも介さず、レーンが財宝の在りかを知ってるものと決めつけて、突っ走る!たまに言葉が通じることが、たまにあるのだが、
レーン:「わたしの国にある古い言い伝えです。“出会いし大人(だいじん)一人目の中にあり”」
ゴウ:「ふんふん“デカいし大事に人目につく中庭に”?よーし!わかったぜ!」
という具合に、終始一貫して一方通行をつづける(笑)しかもそんな状況で偶然と偶然がかさなって、物語が曲がりなりにも進んでいくから面白い!
 そして、個人的に一番気に入ってる「全集院タクマ」くん。この人、ゴウくんたちの住む「倉鎌市」を一大レジャーランドにしようと計画し、日夜その夢の実現のため奔走する天才高校生なのだが、不幸にも!あまりに不幸にも、レーンの四つの神像探し+ゴウの財宝探索=建設中のレジャー施設の破壊という、いわれなきとばっちりをモロにうけて泣き崩れる可哀想な人(笑) なのだが、これがものすごく“なまり”の強い人でゴウの姉ちゃん「春姫」をのぞいて誰一人その話を理解できないのだ。堀川亮さんの悦にいったような流れるセリフまわしが楽しく、また春姫だけ妙に普通に会話できちゃってるのも可笑しい。
 他にも、さっき言ったゴウの姉ちゃんが実は九つ子で同じ顔が9人並ぶという圧倒される設定とか、ゴウの幼なじみ真理とレーンのライバル・リーンが同時にセリフをしゃべる必聴ものの大地演出とか、見どころはたくさんある。

そんなワケで完結編が観たい!
 「妖精姫レーン」を一言でいうなら、どうにも意思の疎通がうまくいかないのに都合の好い様に解釈して互いが自分の思いこみのままに突っ走る“ディスコミニケーション・コメディ”とでもいうのだろうか?どこに行くか分からない適当であやふやな展開が痛快な怪作である。それが、冗談か?本気か?二巻分の予算しか貰えなかったのに、全三巻予定でつくっちゃってるんだよなぁこれが!(笑)KSSさんも大地丙太郎さんも一息ついたら、ちょっと作ってみませんか?ねえ!


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