#100 西野というキャラについて |
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ついでに、こちらについても、書きそびれていたことを2点ほど書いておきます。 ■ 西野の性格描写 西野というキャラの特徴として、モノローグなどの直接的な内面描写がほとんどない、ということが挙げられます。このマンガの女性キャラは、向井を除いてその傾向が強いことは、単行本の作者コメントから意識的に取られている作戦であることがわかりますが、西野はそれが一番極端に出ているキャラですね。東城も比較的少ないキャラではあるんですが、それでも西野に比べれば結構ある。西野の直接的内面描写は、連載を通しておそらく片手の指で足りるほどしかないはずです。 これは西野を「何考えてるんだかよくわかんないキャラ」にしようという演出であることが、やはり単行本おまけマンガから推測がつきます。それは連載初期から一貫していて、思わせぶりなセリフ・行動が真中だけじゃなく読者も振り回してますね。 そういう訳で、読者は真中と同じ視点で西野を見聞きし、「今の思わせぶりなセリフは、俺のことが好きってこと?それとも全然関係ないの!?」とドキドキさせられ続けることになります。確かにその辺り、西野のセリフ・行動の選択は絶妙ですね。 その結果、読者はまるで実在の人物を相手にしているような感覚がしてしまい、西野にかなり本気で恋しちゃった人が大勢出たんじゃないか?と踏んでいます。読者人気が高いのは、ひとつにはその要素が大きいんじゃないでしょうか。 一方、直接的な内面描写の少なさは、「西野は真中のどこがそんなに好きで、他の男じゃ代わりにならないと思ってるのか」がさっぱりわからない、という問題にもつながっています。 ■ 「ワクワク」について 最終回で、最も「ぬううっ、作者にケツまくって逃げられたーっ!!」と感じたのは、「もう一度あたしをワクワクさせてくれる……?」というセリフでした。 この「ワクワクさせる」というキーワードは以前から「西野が真中を気に入っている理由」として顔を見せてはいるのですが、実際の所ただの口先だけに終わっているんですよね。一番最初の懸垂はともかく、その後の真中の行動に西野をワクワクさせるような要素は乏しいです。中学の頃は真中の一杯一杯さを西野が勝手に好都合に解釈してつき合いが続いていただけで、真中は西野から受け取るものはあっても与えたものは事実上ない。 で実際、西野が別の高校に進学することが解ったときに「自分のどこが気に入ったのか」を西野に尋ねたときも、答は「淳平君はいいとこ一杯持ってる(でも、それがどこかは具体的には挙げていない)」「人を好きになるのは理屈じゃない」で、事実上説得力のある理由づけを(作者が)放棄する格好になっています。 その後別れてから再会した後は、代わりにこれといった理由が言語化されることもなく、相変わらず真中のどこが好きなのかは謎のままです。 だから、最終回においてはこの「ワクワクさせる」というのは「ついに最後まで『西野が真中を(そんなにも)好きな理由』を具体化できなかったこと」を象徴するキーワードで、今更そんな言葉を持ち出すのは「証文の出し遅れ」もいい所なんですよね。そんな訳で、「うーむ、一番ちゃんと応えなくちゃいけない所でこの破産したセリフを持ってくるか、河下水希…」と感じずにはいられませんでした。 (以下、私情(笑))その「具体化」が欠けていたせいで、私には終盤の展開が「西野がほとんど嫌がらせのためだけに(笑)東城と真中の間に割り込んでいって、全然好きでも何でもない真中を奪い去っていった」ようにしか見えません(笑)←西野ファンの方ごめんなさい。 なので私は「ぬおお、こんな展開はイヤだーっ!やり直しを要求するーっ!!」と叫びたい気分で一杯です(笑)。(私情ここまで) |
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