#177 Re:顕在情報と潜在情報 投稿者:いずみの <2007/01/14 15:44>
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とりあえず、チャット中でぼくが整理してみた部分をまとめてみますね。 ■これは作り手側の技法論ではなく、読み手側の読み方を客観視して検証可能なものにする為の実用概念である ■顕在情報=絵による説明や明文化された情報(出典によって確定する) ■潜在情報=行間または既出分の情報との組合せで浮かび上がってくる情報(出典だけでは確定しない) ・読み手が持っている「漫画観」や「人生観」「作者観」「雑誌観」なども潜在情報である。 ・作者のコメントや編集者のアオリ文なども潜在情報に含まれるが、公式なコメントの場合は顕在情報にもなりうる。 ・潜在情報は、「史観」と呼ぶこともできる。 ・作品語りは歴史検証と相似関係にある。顕在情報は「一次資料」で、潜在情報は「二次資料」。 ・「顕在情報=正史」というわけではない。歴史とは、一次資料とそれに基づく仮説の集合体であり、「正史に近い史観」があるのみである。物語もまた、顕在/潜在の混交によってその姿が見えてくるものである。 ・一次資料や二次資料によって論者が独自に構築した認識構造は、歴史でいう「仮説」である(一次資料を無視した場合は「捏造」になり、トンデモにもなりやすい) ・そのような認識構造を「潜在思考のレイヤー」と呼んで、「潜在情報のレイヤー」と区別することもできる。 ・「潜在」した情報や思考(認識構造)は、作中で「顕在」することで確定し、潜在ではなくなる(情報の消化と昇華)。 ・自らが持つ「潜在情報」がなかなか作中で顕在しない場合、それは「単純に顕在化が後に控えている」(正史に近い)場合と、「顕在化する当ての無い潜在情報を読んでしまった」(捏造に近い)場合に分かれる機会がある。 ・あえて「捏造」の潜在情報であることを積極的に自覚(覚悟)しながら読むこと自体は構わない。その情報のレイヤーは、例えば「腐女子的な妄想」に近いと言える。 ・また、「捏造」は「ミスリードが生むサプライズの楽しみ」に繋がる結果にもなりうるので、必ずしも「誤った読み方」というわけではない。 ■議論上のマナーとして ・「つまらない」「面白くない」などの評価は、実質の所、発言者が持つ「潜在情報」に基づくことが多い。「顕在情報」のレイヤーでは、問題が無い場合も珍しくない(上記の「捏造」を引きずって読んでいる場合など)。 ・覚悟しないで期待し続けるだけの「捏造」は、読み手のフラストレーションとなり、作品/作者への低評価へと変異しやすい。 ・しかし「自分の史観では楽しめない」という読み方を、客観的評価と安易に結びつけることはできない。 ・その逆に、潜在情報によって「顕在情報の描かれ方とは無関係に」作品を楽しめることもある。 ・そういった作品の感想は、その心理的背景を説明しなければ他者に通じない。 |
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