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#199 アニメ「時をかける少女」:Time waits for no one.
投稿者:LD <2007/07/10 22:04>
<<<親記事]
時をかける少女さて長々やっきました「時かけ」ですが。何か段々、何かの数理予想をいかに美しく解くか?といような感覚になって来てしまったりしていますwしかし一応、自分としてはそれ程強引さもなく纏められたかな?という感触になって来ましたので、まとめてみたいと思います。はっきり言って、要所、要所はほとんどGiGiさんの説(アイデア)に乗っています。でも、まあ自分でも一生懸命考えましたしw認識や解釈の違う部分で自分を出して行ければなと考えています。

■「時をかける少女」の謎
「ときかけ」は色々と謎の多い作品ですが、大きなところではこの3つに要約されるような気がします。まあ、これはあ論を進めるうちに別の謎が生まれたりするので、そこらへんも追って行く事になるかとも思います。また、これらの謎を解くにあたってタイムマシンの機能とシステムを先に説明する必要があります。
1.最初の理科実験室で見た千昭は「どこ」から来た千昭なのか?
2.停止した時間で二人の時間渡航者が「どうやって」会ったのか?
3.真琴のチャージは「なぜ」回復したのか?

■タイムマシンの機能
1.リープ、2.リターン、3.リープ・アンド・ストップ、の三つです。まず1番目の機能。これは特に説明の必要はないでしょう。2番目の機能。これは跳躍した場所にアンカーがあり、そこに戻ってくる機能です。真琴がプリンを手にした時の機能で他者と接触すると自動的にアンカー地点に戻ります。極力過去改変を避けたい時間渡航者はこの機能を多用していたと思います。
3番目の機能はモロに「踏切」での時間停止を解釈するためのものです。ただし他のシーンからもこのマシンが時間を止める能力を持っている事は読み取れると思います。あとリターンも正しくはリープ・アンド・リターンですね。とにかく1回の起動でこれだけの動作が行えるとしたいです。

■タイムマシンのシステム
カウントについて、真琴は「タイムリ―プ」の回数と考えましたが、これは正しくなく「歴史を改変できる」回数とします。正確には「未来を作る」回数です。詳しくは後述しますがリ―プはカウントゼロでも使えます。ただし、自分が生きた時間軸以上の跳躍がない真琴はこのカウントをゼロにしても日常に復帰するだけですが、千昭がカウントをゼロにする事は自分の時代に戻って自分の「未来を作る」権利を失う事を意味します。即ち「帰れなくなった」となります。
また、どうもタイムマシンは、自分が改変してきたログもアーカイブ(れいの時間渡航空間にある?)に残っており、好きな改変地点での「やり直し」が可能のようです。真琴はそれを意識せず、ほとんどは直前のログだけ参照していたみたいですが。少なくともこのカウントシステムはチャージした際のオリジナル・タイムにアンカーが付いていなければ始まらないシステムですし、他のカウントもアンカーを参照して取られていると考えられます。(直前を超えて戻れるのはオリジナル・タイムのみでもいいかもしれません)
あるいはある行動の原因となる行動に別の行動の上書きをかけても以前の記憶と経験そして結果が引き継がれているのは、全てアーカイブに以前から継続する状況がいわば「保存」されているからと考えられます。(真琴は理科実験室でのチャージの瞬間を再現せず差換えしてしまっても、チャージ状態が残るのはこの為です)逆に外部(他者)から、このアーカイブの持っているアンカーを全て差換えられてしまったらこの保存状態は無かった事にされてしまいますが、これは後述します。
ちなみにこのアーカイブは個人毎のものであって基本的に他者のアーカイブは参照できません。
このシステムは、あくまで未来人が設定したルールで、タイムマシン本来のスペックは「無制限的」とします。従ってこのシステム・ルールの抜け道を通ればタイムマシンは問答無用に動作し様々な裏技が成立すると考えます。

※以上の機能とシステムを前提にして千昭の行動を追って行く事によって「ときかけ」の全体像を見て行きたいと思います。

時をかける少女■最初の理科実験室で見た千昭は「どこ」から来た千昭なのか?
(0)…千昭の物語も7月13日(ナイスの日)からスタートします。

(1)…千昭は功介とグランドに行く途中か、真琴との野球を終えて別れた後、予備の胡桃を失くした事に気が付きます。「あせり学校に戻って方々を探した」千昭は理科実験室で空の胡桃を発見します。「誰かがチャージしてしまった!」と判断した千昭は、ここで心当たりの時間帯で、尚且つ誰にも見られない時間帯に「リターン」して胡桃を回収する事を決意します。

(2)…ここで千昭は真琴と接触してしまいます。上手い事やり過ごす事に失敗した千昭は、リターンが発動します。元の時間に戻ったところで千昭は「しまった!今ので真琴にチャージされちまった!」と認識します。

※ここでのポイントは二つ。1.真琴は千昭が現れなくても胡桃がチャージされる「運命」を持っていた。2.現時点では千昭は、真琴が事故死する未来を持っている事を知らない。ですね。

(3)…胡桃を失ったポイントに確信を持った千昭は、今度はハッキリ過去を書き換えるためにリープを敢行して見事胡桃の回収に成功します。これで真琴に胡桃がチャージされてしまう未来は回避されしまいます。
(4)…意気揚々と真琴と功介と野球を楽しみ、真琴が自転車で帰るのを千昭は送り出します。…そして真琴は踏切の事故で死んでしまいます。

※ここで初めて千昭は、真琴からタイムマシン・チャージの未来を取り上げると、真琴には死ぬ未来が待っている事を知ります。

※そしてGiGiさんの言うように胡桃を使わずに未来を変えるトライが何度かあって全て失敗したと見るのが妥当に思われます。ただ、ポイントとしては、この千昭は真琴が無事な未来を既に体験しており、胡桃をチャージさせれば、その未来が返って来る公算が非常に高い事を知っているって事です。

(5)…真琴を救うために予備の胡桃は真琴に差し出す「覚悟」を決めた千昭は、まずタイムリープを得た真琴を見守れるようはるか昔の時代に行きアンカーを打って戻ります。これで真琴がその時代を超えてリ―プし、かつ「差換え」を行わなければ、千昭の「真琴に関する必要な記憶」は残ります。(タイムリ―プは恐らくイメージ操作で、自分の記憶以外の時間軸をイメージする事はそれなりの訓練がいる。同時に自分の記憶範囲内のリ―プは比較的容易なのだと思われる)

※実は真琴が鉄板焼きを食べに戻った時(7月11日以前?)千昭のアーカイブが全て破棄(上書き)されてしまうと、無邪気で、それでいて裏ではどんなに自分のアーカイブを参照しても、抜け殻の胡桃しか見つけられず焦る千昭が出現するのですが…wそれはそれで腑に落ちる所もあるのですが、僕のシナリオでは、「真琴の事故」を知らずその為カウントは1つ以上残る事になるであろう千昭になるのを避けました。

(6)…然る後、もう一度(2)の再現を試みます。真琴にチャージさせた千昭は(1)の時となるたけ差異がないように行動して自転車の真琴を送り出します。この時点で千昭のチャージ回数は残り一回。何事もなければ最後の夏を楽しんで、そして未来に帰る予定だったのでしょう。

※ここからは映画の本編の時間軸に入って本編通りに経過して行きます。また千昭も(7)に入るまでは無事な真琴に対して告白遊び等をしたり、失敗して友梨ちゃんと付き合う事にしたりしています。

(7)…しかし、この過去は真琴の「功介果穂・ラブ・ミッション」で「差換え」されてしまいますwそうなると(1)を再現するために戻ってきたのに、既にまるで再現性が保持されていない…?おかしい…。あせった千昭は真琴の携帯に電話します。果たして真琴は無事でした。(しかし、別の運命が開始されていました)

(8)…「おまえタイムリープしてね?」これは再現できなくなった過去に対して真琴を確実に守る非常措置のために発せられた言葉だと思います。しかし真琴はこの未来を上書きしました。また真琴にチャージがなされていれば変に未来をいじらない方がいいという考えもあった千昭は結果としてあっさり真琴の「差換え」に従ってしまいます。そして…

時をかける少女■停止した時間で二人の時間渡航者が「どうやって」会ったのか?
(9)…そして功介と果穂の事故死が起こります。

※ここでまず真琴の時間軸の説明が必要になります。

(10)…真琴の「止まれ!止まれ!止まれ!」の叫びが通じたかのように時間が止まります。しかしタイムマシンのシステムで述べたように、腕のカウントがゼロになってもタイムマシンは使えます。ただし「改変する権利」は消失しているので、自ずと使用してよい機能は限られてきます。最早リターンもできません。即ち残った機能リ―プ・アンド・ストップのみが作動するワケです。

(11)…ただし、真琴はそこで起こっている事態が把握できなかったと思いますし、無理な「停止解除」か、無理な「改変」を行おうとして、即座に「リターン」が発動し「転んで大怪我している時間」に戻されてしまったはずです。これで真琴は念を押されるように功介の死を二重に体験します。

※これは劇中で描かれていない未来です。まだ千昭が来て差換わる前の未来ですね。

(12)…ここで千昭が登場して(11)を書き換えます。責任を感じて泣き喚く真琴を前に最後の一回を使って功介の死を回避する跳躍を行います。

※そして時間渡航者同士が邂逅する可能性が描かれるわけですが、僕はこれは時間の着地点がピタリ同じだと、どちらの記憶も差換りがないと解釈しました。また千昭は着地してみると世界が止まっているので驚いたんだと思います。…で自転車をかっぱらって(この瞬間、千昭の最後のカウント消失)踏切に来てみて「やっぱりお前か…」となります。
同時着地の可能性については確かに奇跡ともいえる偶然が発生しているとも言えますが、千昭も真琴も「踏切の事故」を認識しており、互いに戻りたい着地点が近似になっても全く不思議ではありません。少なくとも時間軸の砂漠の中で針一本を見つけるだすが如き偶然ではないと言えると思います。
あるいは千昭の方で功介を死なせてしまった真琴から時間停止のポイントを聞き出せていたかも知れません。ただ、この場合は「やっぱりお前か…」のセリフが謎になってしまいます。

時をかける少女■真琴のチャージは「なぜ」回復したのか?
さて最大の難関です。まず同時刻に着地する事で、この止まった時の時間は二人が共有している状態となる事は上で述べました。ただし、ここで真琴のカウントは以前の状態即ち“01”に戻っていると考えます。
このカウント消費のタイミングはリ―プ使用回数ではなく改変回数だという事で説明がつけれられます。リ―プで逆時間に乗ると、肉体の状態も全て以前の状態に戻っていしまう事は確認されています。なので本来カウントもやっぱりその状態に戻ってしまうと考えられます。ただし、ここで再び時間(あるいは真琴自身)が動き出すとき、つまり「改変可能状態」になると、システムが作動し真琴のアーカイブを参照してカウントの整合性を強制的に取り、そしてカウントを書き直すわけです。
この時、重要なのは参照されるのはあくまで真琴のアーカイブのみでどこかに時間統合的な監視者がいるわけではないという事です。
停止した時間を二人が共有している事は既に述べました。そしてここで千昭が自転車をかっぱらい「改変」カウントを消費します。この瞬間、以後、形成される未来は「千昭が差換えた未来」となります。そして真琴の以前の最後のカウントを使ったというログは、差換えされて真琴のアーカイブからは参照されなくなってしまうわけです。
簡単に言うと千昭(他者)が未来を差換えた場合、真琴がゼロカウントを迎えた未来はアンカーもろとも完全に消失(破棄)されるという事になります。
事故の瞬間にアンカーが残っているようなイメージがあるかもしれませんが「今」を千昭が差換えてしまうと「その後」のフィールドもず〜〜〜〜と、真琴が新たに差換えない限り「千昭の差換えた未来」になるわけです。
本来「時間渡航者にとって自分が記憶していないカウント消費は有り得ない」また同時に時間渡航者は自分のアーカイブが差換えされる瞬間を認識できません。しかし、フィールドを共有し、その操作権を千昭が先取りした結果、真琴は記憶は残して自分のアーカイブが差換わる瞬間に立ち会ってしまったと言ってもいいかもしれません。

※さらに要約するとアーカイブ参照システムさえ誤魔化せれば、このシーンは成立するという事です。

(13)…未来は千昭が差換えた事にも起因しますが、この停止した共有空間の制御は千昭によって行われて(千昭の動きがちょっとおかしいので、もしかすると高等技術ストップ・イン・ストップといった機能もあるのかも?)そして自分が時間渡航者である事を告げて真琴の前から消えます。

(14)…真琴は悲しみに暮れますが、チャージが残っている事に気が付き、最後の跳躍を行い(着地点はオリジナル・タイムの理科実験室のようです)(6)の千昭と邂逅し全てを差換え始めます。

(15)…最後のお別れ。千昭は言えなかった事「とびだして怪我とかすんなよ?」を言って、最後の1回…つまり自分の未来を書込みに戻ります。

※ここ以降のシーンは本論で特に言う事はなく、それぞれの解釈にお任せしたいです。
…ああ一つだけ。今の設定だと真琴は「改変」はできないけれどもリ―プ能力が残っている事になりますね。しかしこれもいずれ、遠くない未来……つまり“思春期が終わる頃”には自然消滅すんじゃないかと思うわけですw

さて、どうだったでしょうか?できればアニメ「時をかける少女」を先に観てもらって、何か「疑問」を感じだ上で読んでもらえると、何をやっているのか分かってもらえるのかもしれません(汗)僕のこのシナリオは、基本的に劇中千昭は最後の一回だけが残っている状態で通されており、あまりややこしい事は起きない仕掛けになっています。しかし、たとえば僕は「鉄板焼き」の差換えを別時代にアンカーを設ける事で回避してしまったんですが、千昭の本来のキャラクターを考えると、うっかりアンカーを忘れて真琴の差換えを受けてしまった?とした方がしっくる来るかもしれません………それでも同じオチに辿り着くのはどういう経路が有るでしょうか?!ちょっと思考を巡らせて見るのも面白いのではないでしょうか?…どうでしょうか!?


…さあ Let’s TRY!!