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[マンガ諸評][アニメ諸評][ゲーム諸評][映画諸評]
■[マンガ諸評][キミの名を呼べば] ルイ >> 5年くらい前の、甘詰留太さんの18禁漫画。最近レンタルショップに本作のアニメ版が出ていたので、じゃあこれを機に一度、何か甘詰作品を読んでおこうかなーとアトランダムに選出した短編集。・・・面白かった。特に2本、素晴らしい作品がありました。表題作は、初体験を機に「大人」と「子供」の境と考える一種漠然と浸透した感覚に対して、エロマンガ側からリアリティを与える物語というかな・・・童貞を喪失した時の卒業感覚と、ある一つの幼い自分ではどうにもできなかった悲恋を結びつけた、子供時代への郷愁あふれる作品。H描写はエロマンガ家のそれであって、「エロマンガという媒体で描いてはいますけど、別にエロマンガ描きたいわけじゃないんですよ?」という知的階級趣味なアプローチは感じないんですね。エロマンガとして、エロマンガを描いている。・・・なのに、その擬音や液体描写含め濃厚なSEXというものが、正視もできないような切なさを伴う・・・これが淡白な線なら山本直樹先生的な感覚で処理できるんですが、堂々とエロマンガ然としているからこそ、もう一段深い・・・多分「勃起しながら泣く」というかなぁ、「笑い泣き」に通じる、そういう精神の高まった部分を表現できる作家さんなんだろうな、と思いました。まぁ僕泣かなかったし勃たなかったんだけどw正視が辛くて目も背けたし、世界を呪う言葉を吐きながら目を潤ませ、天を仰いでいたりもしました。こんな事させるエロマンガって時点で稀有ですwジュゼッペ・トルナトーレ監督の「マレーナ」に通じる、童貞レクイエムとでも呼ぼうか・・・そんな作品ですね。・・で、多分この作品を単行本中にベストに挙げる人が多いんでしょうけど、僕はどうしてもこの作家さんが、どの短編でも、顔の違うヒロインに「満子(みつこ)」という名前を与えるのが気に食わなくて。作家としての連続性を強調する為のものだとは思うんですけど、音読みがマ○コだし・・・何かこう、要らない照れ隠しに見えるんです。で、そんな不満をもっていた時に読んだのが、終わりの方にある「エンジェリック・ハウル」。舞台が外国なので、唯一ヒロインの名前が「ニナ」です。・・・これも「オナニー」か何かの照れもじりかもしれませんが、少なくとも本作にはニナはひとりしかいない為、その存在感が保たれていた。この物語が!…甘く!切なく!やるせなく!こう、真に美しい甘茶的ソウル・ミュージックを聴いた時のような心の震えを感じました。クローンの声による音楽というジャンルを作り上げた「教授」が、インタビューに答える形式をとりながら綴られる「開発秘話」とでもいいましょうか、音楽を志すきっかけとなった日々の回想。今「初音ミク」が浸透した時代に読めば、また違った感慨が得られる事と思います。思い出すだけで、胸が苦しくなる・・・誰もが一つ二つ抱えている、幼い日の取り戻しようのない罪の意識に訴えかける名編です。長編化してもいいような、美しい物語構造でした。エンジェリックハウルの為に、本作を読もう!・・・ほかのエロいだけの短編は触れずw  <2008/12/01 16:09> [返] [削]


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漫研ノート