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私の愛した悪役たち VOL.7

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第61回 ポポーニャ(来るべき世界)
 僕は手塚治虫先生の最高傑作は「来るべき世界」だと思っている。手塚先生の作品を全て読破したワケではないけれど、それほどこの「来るべき世界」はストーリー、キャラクター、テーマにおいて圧倒的完成度を誇っていると思う。核実験の影響による突然変異で誕生した新人類「フウムーン」。彼らは地球の生物を全て死滅させる“暗黒ガス”の接近を一早く察知し、人間を含めた全ての生物種を保護するために、選別した者たちを脱出宇宙船に乗せる計画を進めていた。しかし人間たちはその危機にも気がつかずに、ちょっとしたイザコザからの戦争を繰り返している、というストーリー。
 「アセチレン・ランプ」という男がいる。彼はルンペンという理由で公正な裁判を受けさせてもらえなかった。そのことが尾を引くかのように、後半ではかなりの資産家として再登場し、たった一台残った人間の脱出宇宙船を奪って逃げ、あくまでみっともなく見苦しく最期を遂げる。「ロック」という少年がいる。最初は新聞記者を目指す、素直で明るい少年だったが不幸な事件で人生を狂わし、何も知らずにスター国のスパイとして教育されてウラン連邦に潜入する。そこで捕まり、牢屋の中で何もすることができない“鳥かごの刑”を受け、すっかり心を壊され、笑わない少年になって物語が終わるまでこれは変る事がなかった。他にも破滅の瞬間までピアノを弾くことをやめなかった和田さん。フウムーンを神と信じきって宇宙船に収容されたユモレンスク村の人々。そして、戦争を起こした高官たち、レドノフやノタアリンは娘や息子を心から愛すると同時に、赤の他人には非情な人間として描かれ、とにかくあらゆる種類の人間が登場して滅亡へのカウント・ダウンの中、物語を編んで行くのだ。これが1951年作品だというのだから手塚先生の天才性には驚嘆する他無い。
 その群像の中で、僕がひときわ心魅かれ、印象に残る少女がいる。ウラン連邦の科学省長官ウイスキーの娘にして、死刑より厳しいと言われる太陽爆弾地下工場の工場長「ポポーニャ」である。強制労働所である工場内を力で支配し、ロック少年に冷酷な“鳥かごの刑”を下したのもこのポポーニャだ。ポポーニャは物語の中で、もう一人のヒロインである「ココア」と瓜二つのソックリさんとして扱われているが、これがビックリするほど似てない!「来るべき世界」最大の謎といってもいいだろう(笑)だいたいココアはタレ目だけど、ポポーニャはどっちかというとツリ目じゃないか。僕はいかにも“テヅカテヅカ”したココアよりも、スッキリかっこいいポポーニャの方がはるかに好みだ…って何を言ってるのでしょう?ま、まあ、いつも毅然とした態度を崩さず仕事をこなし、婚約者のイワンにちょっぴり甘いとこがかわいいポポーニャなのだが、何でそんなに印象に残っているのかというと、彼女は新人類フウムーンの科学力に感動して自ら望んでフウムーンの家畜になってしまうからだ。フウムーンも優秀な人間であるポポーニャを受け入れる。驚愕してふるえる婚約者のイワンや泣いて引き止めるココアを背に、ポポーニャは振り返りもせずにフウムーンの元へ行ってしまう。そして破滅のとき、フウムーンの宇宙船団が飛び立って行くのを呆然と見守るケン一くんの「あの中には何も知らぬユモレンスクの村人たちが嬉々として乗っているのだろう。そしてポポーニャが忠実な奴隷になって研究にひたっているだろう…」というセリフが忘れられない。どこかで僕は親も、恋人も、何もかも捨てて行ってしまえるポポーニャに憧れているのだと思う。僕だってフウムーンが人類の知性をはるかに超越したマンガやアニメを製作していたら、何のためらいもなくフウムーンの家畜に…っておい。なんか話のレベルがガタンッと落ちてるぞ!
1999/7/14


第62回 八木少将(狂四郎2030)
 徳弘正也先生が「WRESTLING WITH もも子」を終了した時、その単行本で「もう俺は少年マンガじゃだめだ」と、とても悲しいことを書かれて少年ジャンプを去っていった。徳弘先生は元々下ネタギャグを描かせたら逸品の人だったが「ジャングルの王者ターちゃん」の終わり頃から尻上がりにストーリーテラーとしての才能が磨かれて行き、当時ジャンプ作家としては数少ない晩成型の円熟作家となりつつあったと僕は思っている。しかし「WRESTLING WITH もも子」も作品としてかなりの完成度を示しつつも打ち切りに終ってしまう。徳弘先生の描く下品なギャグも、下品な絵も、新時代のジャンプにはそぐわぬものとなってしまっていたのだ。そして徳弘先生はスーパージャンプに移った。そのことを僕はひどく感傷的に受けとめていた。何より「もう少年誌じゃだめだ」という先生の言葉に胸が締めつけられる思いがしたのだ。
 しかし、そんなしめっぽく考えることなあああああんにも!無かったんだよなあ!青年誌に移られた先生は下品でいやらしいマンガを元気一杯に描いていた!それが「狂四郎2030」だ!第三次世界大戦終了後、日本は男女隔離政策を施行し、多くの男女はバーチャマシンによって性欲のみを満たす世界。そんな中、逆にインターネットによって心のつながりのみを持つ夫婦・「狂四郎」と「ユリカ」。狂四郎はユリカに会うため国の政策に逆らってユリカに会いに行く!というストーリー。そのユリカに想いを寄せながら、異常とも言える愛し方をし、やがて狂四郎の存在を知って彼を殺しに向かうのが「八木少将」である。遺伝子工学で完璧な人間となるように造り上げられた、いわば人造人間で、前の大戦で“予定通り”の大功を挙げて少将となり、ユリカのいる北海道の地下都市に君臨している。はじめは完璧な人間として紳士的に近づいてきた八木だが、人から愛されたことがなく人の愛し方を知らない八木は次第に異常な本性をさらけ出して行き、やがてユリカに化け物のように思われて毛嫌いされるが、それでもユリカを愛することをやめられない。この八木がよかった。とにかく両極端!ユリカも汚物のように忌み嫌ったり、ふっと人間を感じて心を許したり何かと忙しい(笑)でもユリカが自分を地下都市脱出のために利用しただけと知ったら、突然牙をむき出し散々ユリカを陵辱した挙句に、群がる狂人たちの中に全裸で放り込んでしまう…で、周りを皆殺しにしてそれを助け出して「ごめんよユリカ、でも明日から君は八木ユリカだ(わーい)」ときたもんだ(笑)ここで八木はもう完全に“ついていけない”『悪役』として狂四郎を殺しに行くわけだが、その戦いに敗れた時、ユリカの前に録画VTRで現れる。「君がこれを見ているということは、僕が狂四郎に負けったってことだね。君の狂四郎は大した奴だね」そして遺伝子操作のために自分が“異常な何か”であることを分っていたことを告げて「今までごめんなさい」とユリカに手をついて謝る。ユリカに教わった人への謝り方を実践して。あそこまで酷いことやっておいて今更「実はいい人でした」なんてそんなの通用するかああ!?…通用しました。少なくとも僕は泣けました。そして八木がさらに悪い部分を押しつけた自分の中に棲みついた“もう一人の八木”も好きだ。首を斬られても生きている遺伝子操作の怪物である自分に慄然としながらも「まあいい、これもまた進化だ」というセリフを悲しく吐き出したのは、きっと“もう一人の八木”の方に違いない。
1999/8/29


第63回 空母ドロス(機動戦士ガンダム)
 「機動戦士ガンダム」の『悪役』たちが軒並み魅力的だあることは、言うまでもないことだが、“ザビ家の人々”はまた素晴らしい。野望、陰謀、栄光、愛憎。およそ“人間社会”の持つ光と影の全てがそこにあると言っても過言ではないだろう。総帥として事実上ジオン公国の全権を握っていたギレンを「ヒットラーの尻尾」と皮肉り、その危険性を充分に知りながら、まさか自分を殺すとは思ってなかったデギン公。そのギレンにしてからがデギンに向けた最後の言葉が「老いたな…父上」なのだ。これを愛憎と言わずになんと言おう。人間の存在感を持ちながら、なおかつ妖怪然としたロボットアニメの敵役を見事に両立してくれた天晴れな一家なのである。
 さて、長い前フリだったが、そのザビ家の中で僕が一番好きなのは、やっぱりギレン総帥なのである。(次点は僅差でドズル)「決定的打撃を受けた地球連邦軍にいかほどの戦力が残っていようとそれはすでに警外である。敢えて言おうカスであると!」という演説は凄くカッコいい!なぜカスと言うのか?なぜ敢えてなのか?いい台詞です。…そのギレン総帥がこよなく愛し、目をかけていたのが今回の“空母ドロス”なのである!(爆)宇宙要塞ア・バオア・クーに配置された超巨大空母。「めぐりあい宇宙」を観れば分かるけど、このドロスをギレンはやたら気にかけて褒めちぎる(笑)「…さてドロス上手くやれよ」とか「Nフィールドはドロスの隊で持ちそうだな」とか(笑)子供の頃は“ドロス”という単語の意味が分からなかった。ドロスは巨大過ぎてほとんど背景としてしか描かれてなかったから(笑)それが一つのものに対してギレンが投げかけている言葉だとわかった時、冷血人間ギレンのわずかな人間性を垣間観た気がしたのだ。かわいらしい…オモチャの多かったキシリアやドズルと違い、それがギレンの唯一のオモチャであるかのように、すっごく可愛がってる(笑)また、この空母ドロスには小型戦闘艇である大量のガトルしか載っていない。そこでもギレンのものの考えが分かる気がする。ニュータイプも信じないMSもあてにしてない。ギレンにとって戦力とは純粋に“頭数”のことを言うのだろう。そのギレンに「ガンダム」の1年戦争はどう写っていたのだろう?ギレンを知るためにはまずドロスから。そんなワケで僕は今だに「144分の1で空母ドロスのプラモデル出ないかな〜?」とか無責任なことを考えています(笑)
2000/1/1


第64回 デバスター(トランスフォーマー)
 「トランスフォーマー」で強烈に印象に残っている『悪役』が二人、いや二体ある。“ユニクロン”と“デバスター”である。ユニクロンは数あるトランスフォーマーの変形体の中でも度肝を抜く“衛星”のトランスフォーマー!しかも惑星を食う、というとんでもない生業で、サイバトロンにもデストロンにも属さない正に大魔王だ。こいつが「トランスフォーマー」最強の敵であることに異論のある人は少ないと思う。しかし、もう一体強力なモンスターがいたと僕は思っている。それが“ビルドロン部隊合体デバスター”だ。
 工作機械のトランスフォーマーたちが集まったビルドロン部隊がメガトロンの号令一声で合体兵士デバスターになる。めちゃめちゃでかい。僕の記憶違いなのかもしれないが、なにしろこのデバスター、負けたところを見たことがない。(転倒くらいはしたかな?)その後のスペリオンとかウルトラマグナスが登場するまではたった一体だけの巨大兵士で、一度デバスターになるとまるで意思を持たないかのように無言で暴れまわるだけ!サイバトロン戦士の集中砲火を一身に受けながらそれを意にも介さい!為す術もなくサイバトロンは蹴散らされて行く!カッコいい!めちゃめちゃカッコいい!その鬼神の如き雄姿に僕はワクワクしながら見入っていた。そんな強いデバスターがなんで退却するハメになるのかというと……メガトロンがそう命令するから(ぼそっ)。あっちの方でね!勝手にヘマやって「エエイ、デストロン戦士、一時退却〜!」とかいって帰っていっちゃうんだよ〜!!!もう〜…メガトロン解任しろ(笑)そんなわけでサウンド・ウェーブやスタースクリームも好きですが、僕にとってはデバスターがかなり忘れがたい『悪役』なのです。「2010」になると突然出てこなくなるんだよなぁ?なんで?
2000/1/4


第65回 氷炎将軍フレイザード(DRAGON QEST ダイの大冒険)
 「ダイの大冒険」が始まったとき登場人物たちの使う魔法に胸をときめかせた記憶がある。「あ、ベギラマってこう撃つんだ」とか「おおお、ベギラゴンは確かにそれより威力ありそうだ!」とか。でも、本当によかったのはやっぱり『悪役』で(笑)本編(ゲーム)の「ドラクエ」ってほら、レベルアップすればどんな敵もみんな雑魚だから、ドラクエの世界でなお好敵手たちがいてくれることが、かなり嬉しかった。しかもその敵たちのキャラが立ってる立ってる!(笑)前大戦の魔王ハドラーを筆頭に大魔王六軍団は“不死騎団”“氷炎魔団”“妖魔士団”“百獣魔団”“魔影軍団”“超竜軍団”と聞いてるだけでワクワクしてくる!それを率いる魔王軍団長たちが、一人一人かなり個性的で、なおかつしぶとい。なかなか退場しないのですよ。ある者はダイ一行の味方となり、あるものは戦線を離脱するなどして最後の最後までストーリーを編みつづけてくれた。しかしその軍団長たちの中で、哀れにもかなり早々と物語から退場してしまい、復活の機会も与えられられず二度と現れなかった奴がいる。しかし、僕は個性集団だった魔王軍の中で彼が一番、一番好きだった。それが氷炎魔団軍団長・フレイザードである。
 体の半分は氷でもう半分は炎でできている岩石男。勝利のためならどんな手段も厭わず、圧倒的優位が好きで弱い奴はとにかくなぶる!なんていうのかなあ…こいつ『悪役』として何もかも好き。まず、なにより見た瞬間“悪者”ってわかるでしょ?デビルマンみたいな口開けてさ(笑)「もろい、もろすぎるぜ!なんで人間ってやつはこんな弱っちい身体をしてやがるんだ!?」とか「オレは戦うのが好きなんじゃねぇんだ…勝つのがすきなんだよぉおおお!」とか、見かけどおり心もトゲトゲしてて危なくって気まぐれで何をするか分からなくって、いきがり度ナンバー1だけど明らかに一番強いわけじゃない、ってとこも含めて全部好き。どんなに強くたって正々堂々としてる『悪役』ってな〜んか説得できちゃうもん!(笑)理を説けばわかってくれる奴なんて悪役レベルは低いんじゃないかな(笑)フレイザードはそんなことには耳も貸さずに“倒されてしまった”ところも好きだ。勇者のパーティに囲まれてなお屈服せず(フレイザードは別に一人で圧倒的強さを誇る敵とは違う。そこがミソ)生命を削る最終技で応戦し、炎も氷も消えかけた痩せ細った姿で仁王立ちする姿に僕は心を打たれ、生き様のカッコよさに善も悪もないなどと再認識したのでした。
2000/1/16


第66回 奇っ械人ケムンガ(仮面ライダーストロンガー)
 「仮面ライダーストロンガー」はハッキリ言って“語りたい『悪役』”の宝庫である。ジェネラル・シャドウ、一つ目タイタン、デルザー軍団、いずれ語らなければならない強敵たちは沢山いるが、まず!まず、僕が個人的に最初に語りたい怪人。非常に好き…というか、なんとも言えない哀愁を誘われる怪人…それが奇っ械人ケムンガなのです。
 奇っ械人ケムンガは聞いての通り“ケムシの怪人”(笑)復活した百目タイタンがストロンガーとの最後の決戦のパートナーに選ばれた怪人で、なんと言うか…この頃の東映怪人丸出しの「ケムケムケムケム!!!」という奇声を発する雑魚丸出しの奴なんですが、これが意外に…いや、ハッキリ言ってかなり強い!まず冒頭の登場シーンで「オレハ不死身ノケムンガダ!電撃ハ効カナイ!」で「おっ」と思わせてくれる。しかし、ケムンガの本領はこれから。ストロンガーを不意打ちしたケムンガは接近戦の末、ストロンガーの身体に植え付けた卵をかえし、自分もろともストロンガーを“繭”の中に閉じ込めてしまう。この“繭”はストロンガーの電撃を一切受け付けない。そうして身動きもとれず脱出不能になった“繭”に百目タイタンは超エネルギー爆弾をを仕掛けケムンガもろともストロンガーを葬り去ろうとする!シャドウが現れ「ケムンガを見殺しにするのか?」とタイタンに問い掛けるが…当のケムンガは“繭”の中で「これでいい…こうしていればストロンガーは窒息死する…」って。ああああああ!!こいつストロンガーと一緒に死ぬ気だあああ!!!(泣)そのケムンガの“覚悟”に泣き、しかも事態はタイタンの予想を大きく上回り、なんと超エネルギー爆弾を仕掛けたにもかかわらずケムンガの“繭”は傷一つつかなかない!という時点で僕はもうすっかりケムンガファンと化していた!(笑)処分に困ったタイタンは自分の地底王国の氷の洞窟に“繭”もろともストロンガーを封印するが…。
 …ケムンガは“ケムシの怪人”なんですよね。で、“繭”になったワケですよね。で本来その“繭”は超爆弾でも破壊できぬ程の脱出不能の牢獄だったんですよね。でもね(涙)な〜んかストロンガーにさぁ、温められてさぁ(涙)“成虫”のドクガランになったらさぁ(涙)今までの事なにもかも忘れて“繭”を突き破って出てきちゃうんだよなあ!!「ガガガガガガガ!!!」とか雑魚声丸出しで!(爆)当然ストロンガーも脱出成功!しかもこのドクガランさん電キック一発で死亡ですよ!(泣)あまりの事に僕は事態が呑み込めずしばらく呆然としていました。…ドクガランってなんなんだよ?普通成虫になったら強くなるもんでしょ?(泣)それがケムンガのどんな攻撃も跳ね返した強さも、ストロンガーもろとも死のうとした誇り高い精神も失って電キック一発…。なんなんだよ?!なんなんだよ?!ドクガランって〜〜〜〜??!!(号泣)
2000/2/14


第67回 カーリー星人(ウルトラマンレオ)
 宇宙人(怪人)というのはけっこう、いや、かなりシュールな存在である(笑)何だかよくわからない人間大の物が人間の言葉を喋ってる。円谷プロ、ウルトラシリーズは「ウルトラQ」の頃からけっこうそういった着眼点があって、日常の街角をちょっと外れれば宇宙人の存在する不思議な世界があるというような幻想的な語りかけをしてくる。そういった“世界”のおそらく一番有名な話が話が「ウルトラセブン」のメトロン星人ではなかろうか?ウルトラセブンが宇宙人が潜んでるアパートへ乗り込んで行くとメトロン星人がアパートの部屋の中にいて、まあ話をしようとちゃぶ台へ誘う。セブンもちゃぶ台に座る。というやつである(笑)それとも深夜を疾走するケムール人の方がメジャーだろうか(うん、どちもメジャーじゃないね)しかし、そういった特撮ファン共通の感覚とは別に、僕個人に強烈なインパクトを与えてくれた宇宙人それが「ウルトラマンレオ」で飛来したカーリー星人である。
 このコラムではあまり画像を入れたくなかったのだが、敢えて今回は入れさせて欲しい。左の自動車の運転席の後ろの窓で走ってるのが、そのカーリー星人である。シラト隊員の婚約者を送って行くことを頼まれたレオである大鳥隊員。笑顔でにこやかに運転していたその瞬間!なんの伏線も無く奴は現れる!それも何か科学的というか宇宙人的なハイテクを駆使した登場ではなく。なにか必死に自動車に追いすがってマラソンする形なんですよね!(笑)バックミラーに移るその素朴な雄姿は、ケレン味がない…なんて言葉はとっくに通り越していて前衛的でさえあった。ああ、やっぱり上手く伝わらないかな?とにかくあまりに素っ頓狂な登場の仕方だったので僕の頭は恐怖と笑いでごっちゃに…ぎゃーーーー!!!!(楳図かずお風)しかもこのカーリー星人、飛来目的がよくわからない。ある一地域の街中に潜伏して夜な夜な女性に襲い掛かってるだけなんですよ!???わからない!何もかもが分からない!カーリー星人!!……まあ、もっともこの頃の「レオ」の星人はみんな似たようなものなんですけどね(笑)このカーリー星人が登場する「男だ!燃えろ!」という話は初期の「レオ」を代表するストーリーだと思います。機会があったら一度ご覧になってください(笑)
2000/3/20


第68回 黒岩省吾(超光戦士シャンゼリオン)
 裏次元世界が消滅し、人類世界に移住せざるを得なくなった異界人類ダークザイド。彼らの侵略から人類を守る為に開発されたサンバイザーを偶然装着し、偶然、超光戦士シャンゼリオンとなってしまった売れない探偵・涼村暁のダークザイドとの果てしない戦いを描いた物語が「超光戦士シャンゼリオン」である。とにかくこの作品、コメディ色が強い…というか、ほとんど冗談のようなおちゃらけた展開で、人気が無かったであろう環境を逆に利用し、かなりやりたい放題、そしてほとんどヤケクソ気味の展開となって加速し、ヤケクソ気味の最終回を迎えた。
 マイナーではあるが一部の特撮ファンには非常に印象に残る快作となったこの作品。この「シャンゼリオン」を彩った悪役、無名無冠ではあるが、個人的には90年代最高のライバルキャラ、それが暗黒騎士ガウザーこと人間名・黒岩省吾である。初めは人間界に潜伏しながらも無秩序に人間のラーム(生気)を奪い取るのみだったダークザイドも、次第に人間界に順応して行き、その生計を立てることを第一に考える者たちが現われてくる。ガウザーはそういったダークザイドたちの悩みを聞いてあげたり職場の斡旋をしてあげたりして、あまつさえ感謝されたりする面倒見のいい相談役として登場する。これだけでも、けっこう(「ナイルなトトメス」を連想させるような)可笑しな展開なのだが、本人はいたって大真面目、規律正しく、几帳面な性格のため、計画性のない侵略を推進するいわゆる武闘派の幹部たちと対立して行く事となる。そして人間界研究のため、おそらくは猛勉強して手に入れた知識を「知っているか!?」のセリフでひけらかす!(笑)しかもそれが合ってたりまったくのハッタリだったりするからもう手がつけられない!(笑)頭の悪い主人公の暁にもつっこまれる始末!敵である人間の女・南エリに惚れてしまう始末!人間界が人間のために腐っている事を悟り都知事選に立候補してしまう始末!しかも対抗して出馬した主人公を僅差で破り、けっこういい政治家として東京都民に慕われたりするのである。ガウザーこと黒岩省吾はけっしてレギュラーではなく登場回数は必ずしも多くは無い。しかし、異色の主人公として充分に魅力を発揮した涼村暁をして、彼さえも喰ってしまうほどの存在感。そして最後は独立国家“東京都”を興し、優良でないと判断した人間たちを抹殺。皇帝として即位する直前で親を処刑された子供の銃弾に倒れてしまう!シャンゼリオンとの決着をつけぬままに!!そのまま次の回には「シャンゼリオン」もダークザイドとの決着がつかぬままに終了してしまうのである。独立国家“東京”としてクーデターまで起きたこの世界がこの後どうなったはほとんどわからない。ダークザイドの総攻撃が開始されるのか、いつもと変わらぬ日常に戻り、またシャンゼリオンがおちゃらけたダークザイド退治が続くのか、夢現とも分からぬシーンが錯綜し、幕を引くのである。人気のない作品の宿命とはいえ、この放り出したようなラストはそれなりに衝撃的で、暗黒騎士ガウザーがシャンゼリオンと決着をつける事無く逝ってしまったその不完全燃焼さも含め、不思議な魅力のある悪役となっている。
2000/10/8


第69回 マーカス暗殺隊(海のトリトン)
 「海のトリトン」の敵であるポセイドン一族は、かなり厚みのある組織だったという記憶がある。物語の最初の方から登場していてラスボスであるポセイドン像の前でごちゃごちゃ指揮をとっている連中、“ネレウス”とか“ゲルペス連隊”とか言うんですけど(笑)「ああ…いずれコイツらとも闘うのかぁ…」とか思いを馳せたり、以前闘った敵がまだ生きていて忘れた頃にまた再戦して「ああ!しばらく見てなかったけどコイツまだ生きてたんだ!」と喜んだり。…その中で一番気に入ってるのが今回の「マーカス暗殺隊」です…という話なのですが、実はその「マーカス」が一番お気に入りになる前に一番お気に入りで、夢中で応援していた男がいるのです。その名をポリペイモスと言います!一言でいうならサメ人間なのですが…カッコいいです…ポリペイモス。おそらくはアニメ悪役史上でも屈指のデザインでしょう。シンプルながら、着ぐるみっぽさを感じさせぬ一目で人外の者と分かる容姿。先頭をきってトリトンに襲い掛かるその勇姿。トリトンの戦闘の描写って、闘うと海に血が滲むんですよ。その滲んだ血にポリペイモスの凶悪なツラはよく似合っており、“その怖さ”に胸を高鳴らせて画面に見入ってました。
 しかし、緒戦を闘う幹部の宿命といいましょうか、失敗続きのポリペイモスはやがて処断されてしまうのです。あと少しでトリトンと最後の決戦ができるのに非情にも時間切れを言い渡したポセイドン一族の冷徹さにもビビリましたが、この時ポリペイモスを処刑しに来たのがマーカスだったのにもビビリました。いや、衝撃を受けたのですよ。マーカスってのは姿“タツノオトシゴ”なんですが、ポリペイモスよりもはるかに以前から伝令役として登場しており、確かに偉そうな口をたたいていたのですが…何と言うか僕としては口先だけのヤツというか情報屋のカケスのサミーくらいにしか思っていなかったのです。それが、テレポート!分身!(仲間を呼び寄せたって事みたいだけど当時はそう思った)毒針攻撃!あっという間にポリペイモスを血だるまにして処刑を完了させてしまった!マスコットとさえ言えるような、ポリペイモスよりもはるかに小さな身体にもかかわらず、「ガイ!(←これ、マーカスの口癖。いいんだこれが)ポリペイモス!逃げれるなら逃げてもいいぞ!」という圧倒的な自信の言葉と、その手際のよい殺し方に、血も凍るような戦慄を覚えました。「ト、トリトンは(いずれ)こんなヤツと闘わなければならないのか!?」その後、トリトンは様々な強敵と剣を交えて行くのですが、僕自身は必要以上に緊張しながらその闘いを見守る羽目になってしまったのいです。「こ、こんな時にマーカスが来たら殺られる!!!」(笑)結局、僕のその心配は杞憂と消えてしまったのですが、とにかく僕にとってポセイドン一族といえば、このマーカスとポリペイモス、そしてポセイドン神像でした。他の人も似たような感じではないでしょうか?
 …で、例のラストです(笑)善悪の立場がひっくり返るといわれる、あのラスト。正直なところ、あの時の僕は何を言われているのか分かりませんでした。いや、実を言うと今もよく分かってないかもしれません(汗)しかし「そして、ふたたび少年は旅立つ…」というラストはやっぱり感動的で呆然とトリトンの背中を見送ったのを憶えています。同時に消化しきれないシコリを感じつつ…「………あれ?マーカスは?…あれ?………あれ?」(その後、LD−BOXを手に入れた僕は、マーカスの行方を追跡し、何やら魚の雑兵たちにつつかれて情けなく退場していた事をつきとめました。…どんなリアクションをしたかは、また別のお話)
2001/05/13


第70回 垣原雅雄(殺し屋イチ)
 “ジジー”と呼ばれる正体不明の怪人物の破壊願望の標的にされたヤクザマンションで、善も悪もなくひたすらに殺戮が繰り返されるというのが「殺し屋イチ」の物語である。ここに登場する“痛過ぎる”変態たちは、暴力的で、精神が捻じ曲がっていて、とにかく人を傷つける。痛そ〜に傷つける。見てるだけで痛い。そして何の必然性も、オチもなく殺し合う。必然性もオチもないのだから、ストーリーなんてあってなきがごとき状態である。しかし、その起承転結のない展開に、僕はとにかく圧倒されてしまった。痛くて恐いのと同時に彼らは、とても滑稽に描かれていて笑ってしまいもするのだ、これが。そんな風に“痛さ”を基点に喜怒哀楽を引っ張り出されてしまうのが圧倒された理由かな、と思いつつ。
 そういう作中に登場する痛くて恐くて滑稽な変態たちの、その中でもとびっきり痛くて恐くて滑稽な変態が、最強のサド・殺し屋イチと最強のマゾ・垣原アニキである。とにかく、この垣原アニキ、何もかもイタ過ぎ!人から殴られたり切られたりすると、恍惚とした清清しい表情になる。この時点ですでに変!痛い事のスペシャリストだから拷問で相手を針でプスプス刺すし、他人のペニス、ジョキジョキ割るし、いやあああああああ!!(痛)「ヘルレイザー」っていう脳天に針を刺しまくってる地獄の伝道師が出てくる映画を思い出しましたが、あれみたいな感じ。痛みに快楽を感じる事の行きつく先というか、最大の快楽は死なワケで、しかし、この悦びばっかりは生涯一度しか味わえない。だからどうせ一回きりなら、なるべく長いこと痛みと恐怖と絶望を味わって…などと分かったような事を書いていますが、単に言葉を羅列しているだけでね(笑)そういう全然理解できない、垣原アニキの世界。泣き喚きながら一方的に標的を蹴り殺す“イチ”を見て「待っていた…お前みたいな変態を…」という正体不明のセリフを吐いて、絶望を堪能して死んでいった垣原アニキの理解不能の生き様は、いつまでもこの胸に生き続ける事でしょう(笑)
2001/08/15
(つづく)
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