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私の愛した悪役たち VOL.8

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恐車七角  参謀・オキヅケ  メカゴジラ  Dr.フー  カムジン・クラウシラ

第71回 トマ・ホーク(プロゴルファー猿)
 猿を何としても影プロにしたいミスターXが送り出した強敵たちの中にホークというインディアンの影ゴルファーがいる。彼の扱う必殺パット“サイクロンP”というのが、すごく印象に残っている。元々、ぼくはマンガの必殺技というものに目が無くって、楽しくってケレン味たっぷりの必殺技にはすぐ飛びついてしまう。そら、当然、あの最強の敵・竜のヌンチャク・ドライバー、トンファー・アイアンは忘れ得ぬ技の一つであるが、ホークの“サイクロンP”は自分的にはそれ以上…屈指の必殺技なのです。
 ホークはアニメのオリジナルキャラ…だと思う。スペシャル番組「猿対ホーク」で初登場、その時に彼がパッティングで繰り出したのが“サイクロンP”だ。ボールが高速回転してグリーンにバネ・スプリング状に円を描き、そして穴に落ちる。ライン状を行ったり来たりしながら進んでいるようなものなので多少のラインの誤差は物ともせず、そして円運動をしているので、強め打ちをしていても、最終的に円形をしている穴にすっぽり収まってしまう。そんなパッティングだ。ただ、この時はパッティングとは関係無いところで猿が偶然岩返しを成功させる形で勝負は決まったと記憶している。
 その後、ミスターXが用意した無人島で開催されたマッチプレー選手権、影プロマスターズの準決勝で、ホークはさらにパワーアップしたトマ・ホーク(←名前だけでパワーアップしたと分かるところが好き)として猿の前に現れる。“サイクロンP”をさらに強力にした“ニュー・サイクロンP”をひっさげて。それが今回の本題!(笑)“ニュー・サイクロンP”とはこれまでの“サイクロンP”とは比べ物にならない強烈なスピン回転で、グリーン上をズタズタに荒らしまわってしまう恐怖の必殺パッティングなのだ。何しろトマ・ホークがパティングした後はグリーンの土の殆ど全てがひっくり返されて、まともなパッティングが不可能になってしまう。ホールそのものを破壊してしまうという必殺技はちょっと他のスポーツマンガでは見られない強烈なインパクトがあった!!猿としてはパッティング前にホールを決めたいという苦しい状況(いや、実は得意技なんだけど、“旗つつみ”とか“岩返し”とか)でのかなり息詰まる勝負となる。何しろゴルフっていうのは相手が出してくる必殺技は止めようがない(笑)どうにか、こうにか猿の運と機転で、食らいつき、そして勝負の決まる運命のパッティングがトマ・ホークにまわって来る。 その一打!強烈なスピン回転を与える“ニュー・サイクロンP”は当然ボールに対する負担も大きく、トマ・ホークの知らぬうちにはいった小さな亀裂が、サイクロン回転とともに広がり次第にボールを破壊して行く!「たのむ入ってくれ!」トマ・ホークの悲痛な叫びも虚しくボールの糸は穴の前で解けて消失してしまうのだった。…ええ、勝負や。一度敗れて、さらにパワーアップして来た事を含めて、僕はこのトマ・ホークと“ニュー・サイクロンP”が大好きなのです。
2002/01/28

第72回 バン・ボグート社長(サイボーグ009)
 サイボーグ009の強敵といって思いつくのは、同じゼロゼロナンバーサイボーグの0013、ギリシア神話の神々に似せたミュートス・サイボーグ軍団のアポロン、スカール様、そして三友工学のバン・ボグート社長だろう。性能的にはミュートスのアポロンの方がかなり高いんじゃないかと思うけど(なんせ加速装置に8千度の熱線!)、なんと言うか、風格といい、戦闘の手練っぽさといい、ボグート社長はすごく強敵の雰囲気がある人なのだ。サイボーグ戦士たちの黒い幽霊団との最終決戦“ヨミ編”において、常に009たちを苦しめ、追い詰めて行ったのはボグート社長だった。カッコいいんだ。とにかく。魔王然とした両脇に伸びた角のような白髪(白髪だよね?)。顔に深く刻み込まれたシワ(シワ?これはさすがに改造手術の跡かな?)。老人なのに身体にピッチリした迷彩スーツを着こんで、社長なのに先頭切って戦闘に身を投じて行く姿は老いて益々盛かん!「社長!!カッコいい!」と声をかけずにはいられない“カッコいい”さんなのだ(笑)
 スカール様とボグート社長の関係もちょっと不思議である。二人とも黒い幽霊団の最高幹部だと思うのに、互いにほとんど干渉し合わず遂に対談するという事はなかった。もうちょっと「009たちを倒すのにこうしよう」とか、あるいは敵視し合ってるなら「おまえがここで負ければ私がナンバー1だ」とかあってもよさそうなのに、本当に相手がやっている事に興味がない。それで、思い起こされるのはラストで黒い幽霊の本体がいう「ワタシヲ倒シテモ別ノブラックゴーストガイル」である。結論をいうとスカール様とボグート社長は別々の方法で世界制服を目指す首領同士だったかな?と思う。サイボーグ軍団計画はスカール様が取り仕切り、ヨミ帝国建設はボグート社長が取り仕切る。(世紀の発明である“加速装置”は共有財産化してるようだが)そういう独立採算制の秘密結社の集合体が黒い幽霊団の正体であって、ラストの本体の負け惜しみというか言葉だけの話ではなく、実際に“ヨミ編”で009たちは2つの悪の組織と同時に戦っていたんだなあ、と思うわけです。よくヒーローもののパロディマンガで悪の組織同士が集まって互いの正義の味方たちの愚痴を言い合うといったシチュエーションがあったりするけど、正にあんな感じだったのではないかと(笑)
 ただ、スカール様とボグート社長が本気で連絡を密にとり、きっちりタッグを組んでいれば009たちは一たまりもなかったであろうだけに残念なのです。やっぱり悪の組織も友情・努力・勝利が大事なのですよ(笑)
2002/03/03

第73回 青い血の女(怪奇大作戦)
怪奇大作戦には様々な“怪人”が登場します。人々の喝采を忘れられない魔術師が怪盗となった壁ぬけ男・キングアラジン。阿蘇山の火口で体質を変化させアメーバ体となった毒ガス人間・山本。冷凍睡眠実験の犠牲となり冷凍体のままさまよう冷凍人間・岡崎。S・R・I(科学捜査研究所)のメンバーの追う怪奇犯罪の全ては人間によって引き起こされている。「ウルトラセブン」の後番組として放送されながら、宇宙人の超科学による侵略もなく、怪獣の起こす超現象もなく、人間こそが“怪奇”の中心だというテーマがとてもカッコいい傑作犯罪サスペンス。大人の目で観たとき、宇宙からの来訪者を単純な侵略者とだけ扱うだけではなかった「セブン」が「怪奇大作戦」へとシフトして行くのは実に自然な流れに見えるのだけど「わ〜い!ウルトラだ!セブンだ!」とチャンネルをひねった全国の少年たちを不安のどん底に突き落とした、赤子泣かす作品。それが「怪奇大作戦」なのです。
その中でも“とっておきの怪談”として非常に好きな怪人(?)が今回の「青い血の女」だ。先に結論を言ってしまうと、この青い血の女、最後まで何者であったか正体がハッキリしないだ。
物語はある夫婦の邸宅の周りを徘徊して通り魔的に殺人を繰り返す殺人人形の登場から始まります。なに人形って言うんでしょう?(笑)小さな女の子の人形なのです。元々人形が暗闇に潜んでいるだけでけっこう怖いのですが、それが殺人の瞬間は顔面蒼白の形相に変わるのでなお怖い!(笑)LD化された時、映画「チャイルド・プレイ」の先駆けみたいな事が謳われてました(笑)タイトルで「青い血の女」とあるから、当初、青い血の女とはこの人形の事か…と思ったのですが…。
次第にその夫婦に怨みを持つのが、一人親である鬼島博士にある事が分かってくる。彼ら夫婦に捨てられ一人寂しい老後を暮す事になった鬼島博士は、人間不信となり家に誰も寄せ付けず、ただ何か“少女らしきもの”を育てて暮していた。殺人人形はその“少女らしきもの”に鬼島博士があたえた玩具だった(別に殺人の目的で与えたワケではないのでしょう)。そして無線電波を逆探知して鬼島博士宅にたどり着き、博士の必死の制止を振り切ってたどり着いた子供部屋にいたのは…やっぱり人形だったのです。殺人人形は洋式の人形だけど、その人形は日本風(?)の人形。そして老人の哀しみを感じとって殺人人形を操作していた張本人。その人形は動き、窓から飛び降りて死んでしまう。階下の地面に青い血をべっとり残して。
そこで最初に戻りますが、物語は結局この青い血の女がなんだったのか分からない…というままで終わっているのです。基本的には鬼島博士が造ったと考えるワケですが…博士のもっている技術力としてはおそらくは遠隔操作していた殺人人形が限界だと思われるのですね。では、どうして“あれ”は突然そこに居たのか…。「世の中が奇妙になってくると…皆“あれ”になるんですよ…」という謎のセリフを残して物語は終わります。もう本当にそれだけなんですが…好きなんですねえ。その青い血の女が。殺人人形は“製品”な造りなんですが、青い血の女は“手作り”なところが、何とも言えず雰囲気があっていいのです。
2002/06/19

第74回 ワスピータ(トランスフォーマー・ビーストウォーズ)
「トランスフォーマー・ビーストウォーズ」と「ビーストウォーズ・メタルス」に登場するキャラクターたちは、ハッキリ言って全キャラ好きだ!全てのキャラに愛嬌があって、そして…いい根性してる!(笑)その中でも、一番好きなのはワスピータ(蜂)……と言うのが今回の話なのですが…。最初僕は、不屈の裏切り者・タランス(蜘蛛)とかが気に入ってました。「トランスフォーマー」のスタースクリームと一味違い、本気で裏切るというかある程度計画性を持っているし、当然、今でも好きですし。で、次に好きなのがインフェルノ(蟻)だったり、ブラックウィドー(毒蜘蛛)だったり、メタルスから入ってきたランページ(蟹)だったりするんだけど、とにかくワスピータはスコルポス(蠍)、テラザウラー(翼竜)と続いてその後。一番後回しのキャラでした。
いつも「ぷ〜ん、がんばるぞ〜」とやる気のないかけ声で突撃して、必ず撃退されて帰ってくるノロマもの。それでいて愚直さというか迷いの無さみたいのはスコルポスや、その上を行くインフェルノがいるんですね。デストロン軍団は大きく分けて“裏切り屋”と“忠臣”がいると思うのだけど、ワスピータはまあ“忠臣”に当るのだけど、それは自分の意思でそうなったというわけじゃなくって“裏切る”とか“出し抜く”というような器量のような(?)ものを持ち合わせてないからと思える。物語が進むにつれ段々と周りはパワーアップ=メタルス化して行くのにそれも叶わず、“目立たない出遅れさん”というのがワスピータのイメージでした。
でも、こう…いつの頃からか泣けてきちゃったのよ!いつも変わらずにがんばる彼の姿に!いつもいつも絶対に負けちゃうと分かっているのに「ぷ〜ん、がんばるぞ〜!」と突撃して、「あれ〜またやられちゃった〜?」と墜落する。そして次の回では変わらずにまた「ぷ〜ん、がんばるぞ〜」…。インフェルノは攻撃的性格で弱くないからこうまでみじめじゃない。ほんと、いつの間にか「ワスピータ!がんばれ!…ああ、今日も墜とされちゃった…」と応援していたんだよね。おそらくアメリカの製作スタッフも同じ気持ちを持って行ったと思うのですが、ワスピータは次第に“ワスピータらしい”出番が増えて行きました。そして最終回、デストロンはほぼ全滅し、サイバトロンはセイバートロン星へ帰還。ワスピータは戦場となったその星に一人、取り残されてしまうのだけど、何とその星の原住民の王様になってしまうのです!これは本当に嬉しくって僕にとっては「魔界都市ハンター」のコロサス神父(第25回参照)以来の快事だった。
実は戦場になったこの星は太古の地球で、原住民たちは正に人類なんだけど(笑)いいのかな〜?と思いつつ、相変わらずマイペースに「これでいいのだ!」と謳ったワスピータの言葉で「メタルス」は終幕するのです。
2002/06/02

第75回 DAC悪魔武装戦隊(レインボーマン)
特撮史上に燦然と輝く悪の組織、それが「レインボーマン」と対決する“死ね死ね団”だ。非常に生々しい敵である。なにしろその組織の目的は世界征服などではなく、日本に密かに潜入し、日本人のみを標的とする。メンバーは一見、日本人のようにみえるが(笑)…全て外国人で構成されているのだ!目的は「黄色い豚の日本人どもを皆殺しにする」こと。…何と言うか、一瞬冗談に聞こえなくなる、もとい、フィクションに聞こえなくなる組織である(笑)(KKK団なんていう組織も実際にあるわけで)
行う作戦もまた生々しい。麻薬をばらまいて日本人を廃人化させる「キャッツアイ作戦」。精巧な偽札を市中に流してインフレを起し、日本経済を破壊する「M作戦」………なんつー、生々しさ(汗)これらの作戦は組織的に、基本的に隠密裏に行われている。恐いなあ…。こう生々しいと、あの最先端の科学力と豊富な資金の出所も気になってくるよ。
そういえば最近、中国やインドをはじめとして世界的に教育に力を入れる流れの中、日本だけが“ゆとり教育”と称して、円周率を“3”とか言って、後退する方向にあることを「どこかの陰謀じゃないか」と冗談半分の評をした学者さんがいたけど、“死ね死ね団”とは、正に正に“日本人皆殺し”を謳いながら、こういう真綿でじわじわと首を絞めるような手を打ってくる、そういう恐ろしい組織だった。
はっきり言って超人的な能力を持ったスーパーヒーローが一人いたとしても、どうにもならないような組織と作戦なのだが、「アノクタラサンミャクサンボダイ!」とか分けの分からない呪文でどうにかしちゃうあたりが「レインボーマン」の凄いところ(爆)そのどうにかしてしまうレインボーマンをどうにかするために“死ね死ね団”が差し向けたのが、今回のDAC悪魔武装戦隊だ!え〜っと?“Devil Armed Combat unit”?ふ〜ん。まあ、それはともかくこのDAC、めちゃくちゃカッコいいのだ。彼らはレインボーマンを抹殺するために最先端科学で“悪魔武装”した部隊なのだ。当然、レインボーマンの妖術(笑)は対抗策が練られている。“遠当ての術”にはガードシルバーという謎の物質を空中に散布して、“火炎の術”は耐火服で無効化する。強力な火器と探知機を用いて、レインボーマンを追い詰めて行く。(もっともこの探知機、人間の心音を拾って索敵するというシロモノだが、レインボーマンはヨガの秘術でワリと簡単に心拍を止めてしまうのでかなり役に立たなかったが)そして何より、彼らがベレー帽に軍服という出で立ちで、集団での行動を旨とする。これまでの“怪人”たちとはまるで違う、淡々と任務を遂行するある種のストイックさ。これにしびれきった。
実を言うとDACはそのインパクト充分の初登場時以降は段々と活躍の幅が狭まって行き、ただの戦闘員と変わらないくらいの感覚にまで落ちぶれて行く。その“悪魔武装”があまりに強過ぎたためにストーリー的に使いきるのが難しかったのだろう。それでも僕はDACのカッコよさに惚れこんでいて「悪魔武装戦隊」という響きを聞くと背筋にビッと電流がはしるようなしびれを感じるのです。
2002/08/20

第76回 恐車七角(風の戦士ダン)
明治維新から現代まで日本政府は、かつての忍者集団をまとめ上げ、欧米の諜報組織に対抗するため歴代の科学能力の粋を集めた戦闘能力と諜報能力を持つ集団を作り上げた。それを“超忍”といい、さらに日本政府は元公儀隠密だった忍者集団を“恐車党”、反公儀隠密だった忍者集団を“神魔党”として、互いに牽制させあう事によって彼らを制御してきた。
その超忍の一派、神魔党の首領・神魔魔太郎が日本政府の開発した大量殺戮兵器“終末兵器”を奪って反乱を起こし、恐車の超忍たちがそれを追う…というのが「風の戦士ダン」の大体のストーリーです。 それで“恐車七角”というのは主人公の朝霧ダンが所属する恐車党の首領なんですが、連載当初はダンや、その仲間である巡回処刑人グループにもどこかなめられていて、事務的というか官僚的というか小さな事で右往左往する器の小さそうなおっさんでね(笑)まさか最後の敵になるとは想像していなかったのです。“終末兵器”を開発したのが日本政府だというところ含めて話の流れから予想して然るべきものだったのですけど、この恐車の首領のいかにもな小者っぷりがそれを覆い隠してしまっていたのです!(笑)敵を欺くにはまず読者から?いやいや、ワリと正体表してからも右往左往する小者なんですよ(笑)ただし滅法・圧倒的に強いけど!
泰然自若としてラスボスの貫禄ありまくりの神魔魔太郎と互角の強さと分かった時はかなり驚きました。何度も言いますがそんなの当たり前だったんですけどね。首領なんだもの(笑)いざ戦うとなると幾多の試練を乗り越えた巡回処刑人部隊はただ逃げ惑うばかり。起死回生に繰り出したダンの必殺技・下り飛龍を片手で受け止め地面に叩きつけるシーンは滅茶苦茶カッコよかった。しかも、この恐車の親方、すごく真っ当に忍者の技だけ使って強いんですね。何か暗黒のパワー(?)とか使わない。あくまで体力勝負。剣と手裏剣と、それから何か発火性の液体を敵にぶつけるのが得意みたいで、神魔魔太郎の方は何か妖術めいた技とかをつかったりするのですが、そーゆーのも一切無し。でも、神魔魔太郎以外、まったく歯が立たないほど強いんだよね(笑)最初っから魔王とかそんなんじゃなくって、こんな煩悩だらけのおっさんが血のにじむような努力で、こんな圧倒的な強さを身に付けたんだねえ…とかしみじみ思ったり(笑)
結局この超忍首領同士の圧倒的強さは他者に詰められることなく、主人公のダンが神魔魔太郎の息子だったという事でかろうじで“主役置いてけぼり”を免れるワケだけど。それまで行われてきた激闘に継ぐ激闘は、つまり神魔魔太郎と恐車七角の超忍の首領同士の対決の露払いというか前哨戦に過ぎなかったという物語の構造含めてかなり好きな“悪役”なのです。
2002/09/24

第77回 参謀・オキヅケ(メダロット)
この人(女性)は実はちょっと“悪役”のカテゴリーに入れていいものかどうか迷いました。というのは、この人が自らを“悪役”と宣言するのは最終回のラストにおいてであって、その瞬間までは特に“悪役”というキャラではなかったからです。しかし僕が非常に気に入ってるキャラだし最後に悪役宣言までして、元の会社を退職したであろう事も確かなので、この場で上げさせてもらいます。そうなんだよねえ。見方を変えれば主人公たちを裏切って、悪の組織に身を投じた女なんだよねえ(笑)主人公のイッキに「カラスミさん!どうして!?」とか突っ込まれたらどう答える気だったんだろうか(笑)
参謀・オキヅケの元の名前は“カラスミさん”といいます。(以後、カラスミさんで記述)本作品「メダロット」のキモであるロボット同士を戦わせる技術を玩具として開発し、世界を席巻した大会社・メダロット社の研究員をしていたのですね。そこへ主人公のイッキとメタビーの宿敵(…といっても失敗ばかり)のロボロボ団実行部隊リーダー・サケカースが新米社員“ナラヅケ”と名乗り、産業スパイとして潜り込んで来たのがカラスミさんの運の尽き(笑)惚れちゃいましたね。ええ、失敗続きのダメ男サケカースに(笑)…で、カラスミさんも非常に面倒見のいい人なのでサケカースの方もまんざらじゃなかったのですが、ちょっとした誤解からサケカースは暴走!そのままメダロット実験機を奪って逃げてサケカース(ナラヅケさん)とカラスミさんはそれっきり!…という話がありまして。普通なら一話限りのサケカースに艶を与えた話になるはずだったのですが、その後もカラスミさんは(メダロット社研究員のためか)ちょくちょくと場面に出つづけ、制作側もすっかり気に入ってしまったのか、ついには「メダロット」の作品の中に自分のラブストーリーの部分をいくらか占領してしまうにいたるのです。すごい!(笑)っていうか僕も物語の後半はすっかりカラスミさんのファンで応援しまくってましたけどね(笑)
話にサケカースが関わると、全て体当たりでしたからね!この女性(ひと)。周り小学生だらけで(比して)そんな若くないのに、身体ピッチリの黒いスーツを身にまとって仮面をかぶり“宇宙メダロッターX(代役)”にもなっちゃうし(笑)他のメンバーは全て小学生なのにアイドルグループ“エンジェル4”に入っちゃうし(笑)…周り全員小学生ですよ!?今でいうなら“ミニモニの違和感”程度じゃ済まないんですよ!?(2002年現在)「よ、よせぇ!カラスミさん!あんた特攻するような人じゃねぇよう!死ぬ気かぁ〜〜!??」とか必死でつっこんでました(笑)年齢も倍以上違うって自分で言ってたのに(笑)恥も外聞も捨てて体当たりで「ナラヅケさん!もう悪いことはやめなさい!」って言ってたのに。最終回、全て失ってそれでも立ち上げるサケカースには「わかりました。今日から私はロボロボ団参謀・オキヅケだロボ!」と…(泣)ハッキリ言ってサケカースにはもったいないですね(笑)ちなみにメガネっ娘です。
2002/11/05

ところで今回気が付いたのですが、カラスミさんと非常によく似た事情を持つ人で、当時の全国の少年諸子を少なからず混乱に陥れたレコア・ロンドというキャラクターもいるのですが…まあ、僕は恥も外聞もなく突撃するカラスミさんの方が好きかなと(笑)(あ、もう一人ちょっと違うけどカテジナさんという人もいたなあ。こっちは書こうかなあ…)

第78回 メカゴジラ(ゴジラVSメカゴジラ 1974年)
僕は元々「ゴジラとガメラのどっちが好きか?」と問われると「ガメラ!」と答えてしまう人間である。ガメラいいですよぉ、ガメラ(笑)目つきがいい(笑)しゃくれ牙がいい(笑)他の怪獣たちもシンプルで、それでいて存在感がある。しかし「一番好きな怪獣は?」という話になると…こう、ニョキニョキとメカゴジラの顔が浮かんでくるのですね(笑)メカゴジラいいですよぉ、メカゴジラ(笑)なんていったってメカ怪獣ですからね(笑)以前の映画「地球防衛軍」などで“モゲラ”なんていうメカ怪獣もいたけれども、メカ(兵器)の危なさと、怪獣の危なさの二つか見事に融合しているのがメカゴジラだと思うのです。人災(兵器)と天災(怪獣)が一緒に来た痛快さっていうんですか?(笑)精悍な白銀のボディに鋭い牙、そしてゴツイ尻尾。特にこの頃のゴジラってかなりの愛嬌を醸し出しているので、その肩代わりのように今見ても見事なまでの兇悪さなのです。
しかし、このメカゴジラが好きな理由はその実体に依存したもののみではなく、もう一つ重要な付属品がありまして、実はそれがけっこう、決め手というか決定打になっている物があります。えー、ぞれはこのメカゴジラについているテーマ曲なんですね(笑)佐藤勝先生、作曲の。(いきなり歌い始める→)チャン!チャン!チャンララッタラ♪チャッチャラッチャ、チャラッタッタラ♪(ドンドンドン、ドンドドドドドン)チャン!チャン!チャンララッタラ♪チャッチャラッチャ、チャラ〜♪チャチャ!!…ってやつです!うぬう…文章だとビタ一文伝わらないぞ!(汗)軽快な調子のいい曲なんですよ。機会があったら一度聞いてみて下さい。この曲に合わせてメカゴジラが全砲門開いて一斉射撃するシーンなんか、いかもにメカゴジラ、何にも考えずに弾薬垂れ流し状態という感じで(笑)一般にゴジラの音楽っていうと、伊福部昭先生の重厚な「ゴジラのテーマ」「自衛隊のテーマ」っていうのが有名だけど、僕はこの「ゴジラ対メカゴジラ」の音楽が非常に好きでして、これぞ怪獣映画の音楽!…ってな事を思ったりしているのです。しかし、何度か再登場したメカゴジラたちにはこの軽快なテーマ曲が流用されることはなくってちょっとガッカリしているワケです。「東宝、分かってないなあ!」とくだを巻いたりしています(笑)
そんなワケで、メカゴジラ、大好きです(笑)音楽もそうだけど、首を180度回搭して後ろから来るキングシーサーと正面のゴジラの両方の動きを同時に制するシーンなんて本当にシビれる大好きなシーンです!その後にキングシーサーとゴジラを同時攻撃したはいいけど、勢い余って見当違いの方向にも射撃してしまうどこかすっトボケた所も大好きだ!飛行形態があるのは知ってる?飛行形態もすっトボケてていいよね!(笑)
2002/12/24

第79回 ドクター・フー(キングコングの逆襲)天本英世さん追悼記念
前回メカゴジラについて述べさせてもらいました。メカゴジラ初登場となる74年度版「ゴジラ対メカゴジラ」は、僕が大好きな怪獣映画の一本です。しかし、それと並んで、否、あるいは抜いて怪獣対決映画の大傑作に上げるのが、今回取り上げる「キングコングの逆襲」です。これに登場するキングコングのライバル“メカニコング”も、メカゴジラに勝るとも劣らぬ良いメカ怪獣でね(笑)勿論、前回述べたように兵器としての凶悪さはメカゴジラの方に軍配があがるのだけど、その愛嬌なら間違いなくメカニコング!説明不能の愛らしさ!…とでも申しましょうか(←意味不明作品をご覧あれ)では今回はメカニコングか?というと……そうじゃないのですよ(笑)怪獣という強烈なキャラクターの中のさらに完成度の高いメカニコングを相手にして、なお、そのインパクトを失わなかった強烈な悪役。それが天本英世さんの演じるメカニコングの開発者・ドクター・フーなのです(笑)
もう、このドクター・フー、ホントにいい〜マッドサエンティストなんですよ(笑)何がいいってね。メカニコングを一国をだまくらかして、全くの趣味で作っておいてそれを省みないところが素晴らしいのですよ(笑)元々、このメカニコング、某小国が北極で“エレメントX”なる特殊鉱石を採掘を採掘する目的で、ドクター・フーに依頼したのですが……………と、いうよりですね(笑)どうもこの依頼主の某国、エレメントXの採掘からそれを利用して大量の核兵器を作り核武装する計画の全てを、このドクター・フーに“丸投げ”したようなのですよ。某国としては、普通の工作機械を用意して、普通に(しかし極秘裏に)エレメントXを採掘して、普通に核実験して、普通に核武装するロードマップを想像していたのだと思います。ええ、そりゃもう莫大な資金を投じて(笑)そうしましたらね(笑)…どうもその予算で作っちゃったみたいなんですよ。ええ…勝手に。メカニコングを!(笑)数年かかる核実験を、半年で終らせると息巻いているけど、ドクター・フー「もう予算はほとんど使っちゃった!(てへっ)」と暗に言っているような気もするワケです(笑)
さらに言うと、このメカニコング、一応採掘目的で製造したことになっているのですが…………多分、採掘目的で作っていません(笑)だっていきなり凡ミスでエレメントXの採掘作業は失敗するんだもの!絶対、趣味だけのロボット造ってるよ!この人!(笑)だから、視察に来た女エージェントとの会話もとんちんかんなワケです。「こんなオモチャを造るのが目的ではなくってよ」とか「私の国が何百万ドルと大金をつきこんでいるのは学者の道楽を満足させるためじゃなくってよ」ってイヤミを言っているのに「もちろん分かっている!私の作ったメカニコングは本物(キングコング)よりも強い!」はかせ!はかせ!違います!(泣)メカニコングはキングコングと闘わせるために造ったんじゃなくって、エ・レ・メ・ン・ト・X・を・採・掘・す・る・た・め・に造ったんですってばあ〜〜!!(泣)
結局、メカニコングにエレメントXの採掘をさせるのはあきらめて、キングコングを捕獲して掘らせる計画に方向修正されるんですけどね(笑)僕はこんなドクター・フーが大好きです。一生ついて行っちゃいたいくらい敬愛しているマッドサイエンティストです(笑)
2003/03/26

第80回 カムジン・クラウシラ(超時空要塞マクロス)
「超時空要塞マクロス」は第27話「愛は流れる」が本来の最終回だったという話は知ってますか?実際そこまで話の流れはかなりキレイです(笑)事故で太陽系外惑星まで飛ばされてしまった超巨大戦艦マクロスが、地球に帰還する道程で、謎の敵・ゼントラーディー軍の正体をつかみ、地球圏で絶望的な戦力を持つ大艦隊との決戦。地球をぐるっと取り囲んでしまうほどの大艦隊の一斉射撃を受けた地球は破壊しつくされ、統合軍は全滅。ミンメイの歌という一縷の希望を載せたマクロスはかろうじて旗艦を撃沈し、その姿を留めて地表に降り立つ。もう地球壊れてるし、敵の旗艦は撃沈され大ボスは死んでるし、これ以上話の続けようがないよっていうエンディングなのに無情にも放送延長されてしまったのが「マクロス」という作品なのです。
「ヤマト」とか「ガンダム」は放送当時人気が出なくて予定話数を切り詰めるハメになった作品とは別の現象だが、もう完全にワンストーリーとして終ってしまった作品をまだつづけろと言われてしまうのもまた別の悲劇があります(笑)まあ、開き直って即座に“別の敵”でも出せばよかったのかもしれませんが、当時、若い才能が結集して生まれた傑作の設定/世界観を、別の設定に塗りつぶしてしまうのは忍びなかったという面もあるのでしょう。終った物語を、終ってるままに幕引きせずに作るような話になり、戦うべき敵もなくほどほどに回復した地球があり、かつてマクロスのアイドルとして輝いたミンメイの人気は凋落気味で、主人公をふってまでくっついたカイフンは酒びたりという、かな〜り観たくないストーリーが展開して行ったのです。
しかし、そんな“物語の終った世界”でほとんど一人で敵役を引き受けて頑張っていたのが、今回のカムジン・クラウシラなのです。もともと戦争ばかりやっているゼントラーディー軍としてはかなり穏健な艦隊指令・ブリタイの元で、ほとんど命令を聞かないはねっ返りとして活躍していた彼ですが、まあ、そのころは僕はこの人あんまり好きじゃなかった。だって、ほんとうに先の見えない小悪党というか、大局眼がないからちっとも強敵っぽくなくって、軽くって、僕にとってはどうでもよいキャラだった。
しかし、ゼントラーディー艦隊は解体され、カムジンも御役御免、“倒すべき敵”ではなく“取り締まるべき犯罪者”として再登場した時、俄然、彼の輝きは増したのです(笑)それは、単に希少なる悪役を彼一人が担っていたという事だけではなくって。確かに彼は終ってしまった物語の残り火の悲しさを体現しているキャラだったのです。カムジンはそれまで、とんでもない回数、命令無視を続けてきていたのですが、しかし、指令のブリタイはカミジンに対して注意や叱責、あるいは警告の言葉を投げかける事はあっても、具体的に懲罰にかける事はなかった。それは何でかっていうと(ブリタイが穏健って事もあるけど)カミジンの命知らずの無鉄砲さは、やっぱりここぞと言うときに役に立つからだ。戦闘の場ではああいう血の気の多い、気迫負けしない根性の持ち主が必要だからだ。
しかし、カムジンが有用で特別扱いされるのは、全て戦時の事で、平時にはまったく違った扱いを受ける。彼の最大の不幸はその事に気がつかなかった事かもしれない。悲しい。それが悲しい。カムジンにしてみれば自分は何にも変っていないのに世の中だけが変ってしまった。「オレはいつもどおりやってるのに、何でそんなにイジめるんだよ!?」という叫びが聞こえてきそうだ。その哀愁の姿は僕はやっぱり好きなのだ。彼はそんなにスケールの大きな“悪”ではない。しかし、小悪党だからこそ「マクロス」が幕引きされずに、言ってしまえば、ある意味みっともなく続いたからこぞ、輝くことのできた“悪役”だったと思うのだ。
2003/09/09

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