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赤穂浪士の討ち入り「大石良雄」(広岡ゆうえいの世界)
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大石良雄 大石良雄…赤穂藩国家老。主君・浅野内匠頭の「松の廊下」でも刃傷事件をきっかけに赤穂藩は取り潰しになり、幕府の裁定に不満を持った赤穂浪士たちをまとめて主君の仇である吉良上野介を討ち果たす。

今回のまんがを担当した広岡ゆうえい先生は「真田幸村」も描かれてる。かなり少年マンガ的で真田十勇士が全て登場して活躍しています。大阪夏の陣の決戦を前に十勇士が幸村を前に風と共に消えるというのがなかなか泣かせる話だったが、そういう“意地を通して散った男”たちをこの「大石良雄」でも描く事になっています。
実は僕はこの「大石良雄」を子供の時には読んでいなかったです。今回、学研まんがの人物日本史を集め始めて初めてお目にかかりました。「大石良雄…?ああ、大石内蔵助のことか!」と読み始めました。「忠臣蔵」の話は一通り知っていたのですが…でもそれでも泣いてしまったのですよ!広岡先生の話の組み立ての上手さに!

主税1 物語は大石内蔵助とその長子である主税(ちから)との「親と子」を中心に物語が進んで行く。冒頭で内蔵助はうつらうつらと夢見心地のように釣りを楽しみ、息子の主税がそれに付き合う。そして主税が先に鯉を釣り上げる。すると内蔵助は「今日はなまずの仕掛けでなまずを釣りに来た。それは外道だから放して上げなさい」と言う。すると主税は「あ〜っ、父上はわたしが先に釣ったので面白くないのでしょう!」と内蔵助をからかう、すると内蔵助は「ははは、そういう気持ちもないではないが」と、そんなシーンが続く。
最初、主税は城内で目立たぬ“昼あんどん”と陰口をたたかれ軽んじられている内蔵助に疑問を持っている。「あんなにひどい事を言われてどうして怒らないんだろう」と不満を持っている。しかし松の廊下の事件をきっかけに、もしかすればそのまま“昼あんどん”として一生を終えたかもしれぬ内蔵助の真価が発揮されて行き、主税は父の中に真の武士道を見て行く事になる。そして御家再興か、主君の仇討ちかと、父と子の絆が深まって行くその行為の先には二人の死出の旅が待っているという、めちゃくちゃ泣かせる展開なのです。

この時代を描くにあたって吉良上野介や、徳川綱吉といった一筋縄では語れない人物たちの扱いが丁寧であることも見逃せません。吉良上野介が領民からは名君と慕われていた事を紹介し領民の一人に「吉良様を悪人と決め付けるやつはただじゃおかないぞ!」と言わせたりする(笑)徳川綱吉については赤穂浪士の討ち入りを聞いて「余は感動したぞ」と褒め称えたことを紹介しています。また、討ち入りの報告を聞いた吉良の息子にあたる米沢藩主の上杉綱憲が泣く泣く父を助けに行くことを断念するシーンを描くなど、かなり多角的に元禄赤穂事件を取り扱っています。

そして吉良邸に討ち入り本懐を遂げた四十七士たちは、切腹の判決を下されそれにしたがって死んで行く。庶民はこの物語を忘れられずに「忠臣蔵」として語り継いで行く。
内蔵助は細川家に預けられ、主税は松平家に預けられて離れ離れになる。泰然と切腹に向う父を思って、松平家で一人泣く主税。
「父上…主税もいさぎよく切腹いたします。でも、なぜだか、なみだが止まりません…。不覚にも母上のことを思い出してしまいました…。父上のようなおだやかな顔でいたいのに、どうにもなりません。主税はきっとまだ本物の武士ではないのでしょう…。父上…。もっともっと主税に武士の強さを教えてください」
そう泣きながら父の死を思う主税にこちらの涙も止まりませんでした。ええええはなしや〜〜〜っ!!!(泣)
主税2
…それにしてもなんで大石良雄なんでしょうね?いいじゃん大石内蔵助で!真田信繁だって真田幸村なんだし!
2002/07/08 LDつがね

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