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#127 Re:パピヨンの役どころ
投稿者:井汲 景太 Ml Hp <2006/04/12 00:57>
<<<親記事]
〉何故、格が落ちたのか?答えは簡単で「人を喰わなくなったから」です。

私が「ファイナル」のコメント http://www.websphinx.net/manken/hyen/hyen0116.html で「辻褄的にヤバそうな所が表に出てきつつある」と言ったのもその辺りで、まず第一にパピヨンをカズキが「認める」ようになってしまったため、「第一部」である「VS パピヨン編」でせっかく組み上げた少年マンガとしてのロジックまで遡ってぐらついてしまっています。

「なぜ、斗貴子は自分の命を(あっさりと)諦め、カズキにパピヨン討伐を指示するのか?」「なぜ、カズキは病弱な蝶野が生き延びるたったひとつの手段を奪い、倒そうとするのか?」といった、ストーリーの根幹にかかわる重要なポイントはひとえに「ホムンクルスは人を喰わずにはいられない(非人間型ホムンクルスの場合はさらに、生前の精神も失われてしまう)」という事情に掛かっていたのであって、それを避けられる可能性が《ほんの僅かでも》あるのなら、カズキのキャラだったら「どんなに可能性が小さくても、その可能性を追求することは諦めない」という考え方をしなきゃおかしかったはず、ということになってしまうわけで。

この「武装錬金」というマンガの緊迫感を担保していたのは、その「ホムンクルスと人間は、どんなことがあっても絶対に相容れない」という部分だったはずなのに、パピヨン復活後も「今はとりあえず問題ないようだから、パピヨンのことは見逃そう」とカズトキが判断したり、「人を喰わない」という条件をつけて斗貴子がパピヨンに同行したり、というような描写が出てきてしまった所はマンガとしては言わば「敗北」で、パピヨン可愛さにそこを疎かにしてしまったところが、結局は打ち切りにつながった遠因と言えるような気がします。

で、挙げ句の果てに「パピヨンの食人衝動がおさまっているかのように見えるのは一時的なものに過ぎない心配はないのか?あるいは、単にパピヨンがそのように見せかけて騙そうとしているだけじゃないのか?」という疑問すら抱かず、(かなり長期に渡るミッションとなるはずの)冬眠フラスコの製造と「白い核鉄」の精製を(パピヨンを全面的に信頼して)任せる、というのは(「ファイナル」の時点ではもう先がないのでマンガ的にはやむを得ない部分があるとは言え)、言ってしまえば「あ〜あ」という部分で…。カズトキとの間には「奇妙な信頼関係」が成り立っている、ということで無理矢理目をつぶるとしても、9巻冒頭ではどさくさに紛れて戦団までもがパピヨンを目こぼししている、というのが、どうにも。

〉これらの事に回避方法がないとは僕は決して思わないんですけどね。
〉最後は和月先生がパピヨンというキャラクターを許容するための心の
〉問題なんじゃないかという気もします。

はいな。もしどうしてもパピヨンを復活させるなら、「人を喰わなくても済むようになった」なんてなまっちょろいことをやってるようじゃ絶対にダメで、奴にはバリバリムシャムシャ人を喰ってもらわなくちゃ困る。それも、ことさら残虐に、やるせなくなるようなやり方で。そしてカズキは救えなかった人の命の重みを噛みしめ、絶対にパピヨンは許さん!という決意を固める…という持っていき方じゃないといけないはずなんですけどねえ。

〉人間としては正しいけど、クリエイターとしてはどうなんだろう?
〉とか言っちゃおっかな?w(←巻末のあとがきを読んでもこういう事を言う鬼読者)

その「人間としての正しさ」も中途半端で(←ヒドい(笑))、パピヨンを生き延びさせるなら「かつて奪ってしまった人々の命の重みを噛みしめ、自分の罪を見つめながら生きていく」というようにしなくちゃいけないはずです(少なくとも、「要素」としては絶対に必要。巳田や蛙井たちの人生を取り返しのつかないくらいねじ曲げ、実の家族を始めとした何人もの命を吸収して腹を満たしたという過去は消えない)。それ抜きで一日店長だの「もっと愛を込めて!」だの能天気にやられても、なんつーか虚しい思いが先に立ってしまいますよ。連載初期のカズキの「今まで犠牲にした人たちにちゃんと償って、それから命が終わる最期まで生きろ!」というセリフが宙ぶらりんなのはもったいない。

さんざん書いてきましたが、これでも私は和月先生贔屓ですよ。ええそうですとも(笑)。まあ、次回作にまた期待します。

あ、そうそう、「斗貴子のバルスカ」ですが………えーと、「ありました」ね。以上。(いや、だって、他に何を言えと言うんですか(笑))
  • ヒドくないですね。 投稿者:ルイ <2006/04/12 01:28>