娯楽のハイエナ

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#135 作監・沼田誠也
投稿者:LD <2006/08/14 05:00>

「ありのままでLovin’U♪きみに、いつも、熱中♪まるごとこのココロあげた〜いよ♪」(BGM)
え〜、ネットで調べてみると「沼田誠也」という人は、既に知る人は知っている有名人のようですねw
僕自身は、やはり以前の「ゾイドジェネシス」を観ていて「あ“また”あの作画の人だ…」という感じに気を配り始めまして、なんというか、このデジタル・アニメ時代で久々に作画マンという存在を意識させてくれた人なんで、ここで取り上げておこうかと思います。
一番、サンプルとして分かり安いのは(上記)「ゾイドジェネシス」の第二期、第三期のEDですね。それもEDの動画を一回変えてくる(通常はレミィとコトナが二人だけの状態だったのが、他の女の子キャラたちが乱入してくる!)という荒業を、誰が思いついたかやったりしていました。頼まれた人が率先して持ち込まないと、ああは、ならないような気もするんですが、真相はどうなんでしょう?w
さて、自分が、今手元に持っているデータでは「ゾイドジェネシス」と「ひぐらしのなく頃に」があるので、それを元に分かり易い“沼田節”を紹介します。どちらも、総作画監督はいずれも坂井久太さんですね。僕はチェックから外してしまいましたが「ストロベリー・パニック」にはお呼びがかかっているのだろうか?かかっていないと思うなあ〜。坂井さんはもっとカッチリした画の人で、沼田さんが本気出すとマジで似ていないし…。
(※注 いずれも作画監督・沼田誠也の回を取り上げていますが、それ全て彼が直接描いたものかどうかは分かりません。ただ、一定の傾向はありますし、まあ多分描いているのでしょう。…でも違っていたらゴメン)


「ゾイドジェネシス」第37話「襲来」で、ムゲン・ライガーに破れて記憶を失ったソータが、デッドリー・コングに乗り込んでムゲン・ライガーと再戦するシーンです。……まあ、見ればわかるんですが、けっして画が上手い人ではありませんwむしろ、確信犯的にデッサンを崩していますね。そこが妙にひっかかって“覚えちゃう”ハメになっております。
しかし画なんか上手くなくったって、動画は描けますし、いい動画や、そのセンスってのは常にデッサンが整った画を提示できる事とはあまり関係がない事が分かります。今回、取り上げるに当たってキツい感じ、動きのある動画を出していますが、これは「すぐに分かる」からって事があります。静かな落ち着いた画も特徴があってなかなか面白い人です。(レミィが瞳を潤ませてる画なんか是非見せたいんですが、あれは動いてないと…)



「ひぐらしのなく頃に」の第19話「目明し編 其の四 仕返し」で、今回の犯人(?)園崎詩音が双子の姉を地下牢に監禁して尋問をするシーンです。並べてありますが、動画ではなく、1カットずつの口パクの止め画で、姉を問い詰める度に表情が変わってくるというシーンになっています。ハッキリ言ってアニメ版「ひぐらしのなく頃に」の全てを表したシーン言えるかもしれません。
1枚目と6枚目の画を見ると同じ人物とは思えませんwこれで二重人格じゃないんだから…。なるべく倍率を落とさないようにしたのですが、どうも5枚目と6枚目の微妙な違いは潰けてしまったようですね。残念。


同じく「ひぐらし」の第19話、詩音の復讐の相手であるはずだった祖母が、その前に死んでしまい、車椅子に乗った死体を文字通り鞭打って怨念をぶつけるシーンです。なんつーか、もう、あんた誰!?って感じになっています。「ひぐらし」については、他の作画の人たちもけっこう踏み込んで崩して描いているのですが、こう……「やり過ぎじゃ…!?」って感じになっている時は大抵、沼田さんの回の時ですねw

だた整ったデッサンの絵が動けばいいのであれば、アニメーションはあっと言う間にCGにとって変わられるでしょう。…まあ、実際に自動車や戦艦などの機械は、デッサンが通っていればいいという事で今日では特に理由がない限りはCGアニメで処理されています。
かつて、元アニメータの佐藤元氏などが安彦(クラッシャー・ジョー)良和監督に頼まれ…
安彦「佐藤くん、佐藤くん、実はコルドバの事なんだけど…」
佐藤「え〜、コルドバですか〜?いや〜?どうなんでしょ〜?」
安彦「たのむよ〜!止め画でいいからさあ〜?」
佐藤「ん〜、じゃ〜、分かりました。描きます。…止め画ですよ〜?」
安彦「いや〜、すまないねえ〜」
(その後)
安彦「あ、佐藤くん、コルドバなんだけど。やっぱ回頭させて!」(←作監の鑑!
佐藤「(ひ、引き受けた直後〜〜〜!?)」

…などとやり取りしていたのは遠い昔の事となってしまいました。え〜(ごほっ)脱線しましたが。僕はこういう人間にしか描けない画ってのが大好きで、それが動くからアニメーションは楽しいんだと思っています。(勿論、CGはCGで別のアプローチがありますけどね)なもんで、突飛でも何でも、沼田誠也氏のような面白い作画の人は、もっと出てきて欲しいなあと思っています。


園崎詩音とフェルミン大佐の止め画です。
やっぱりデッサンが狂ってますが、色気があって好きです。
確信犯なんでしょうねえ。それでは!
  • Re:作監・沼田誠也 投稿者:とおりすがり <2007/09/10 02:35>
  • 作画の「ノエイン」 投稿者:LD <2006/09/02 13:40>
  • なるほど!! 投稿者:ルイ <2006/08/14 15:21>
  • #200 Re:作監・沼田誠也
    投稿者:とおりすがり <2007/09/10 02:35>
    <<<親記事]
    昔、彼と仕事したことありますが、
    その時は最低の仕事ぶりで、すべてをぶちこわしてくれました。
    それ以来彼とは一度も仕事をしていませんが、少しはマシになったんですかね。

    やはり私は二度と彼とは仕事をしないでしょうけど、彼の仕事がこうして人々の口の端にのぼり、評価されているということは、多少なりともまともな仕事をするようになったということでしょうから、それはそれで喜ばしいことだと思います。
  • Re:作監・沼田誠也 投稿者:LD <2007/09/10 10:55>
  • #201 Re:作監・沼田誠也
    投稿者:LD <2007/09/10 10:55>
    <<<親記事]
    こんにちは。
    お話ありがとうございます。観客の方からは、なかなか内幕は見えないので、こういったお話は嬉しいです。
    動画サイトなんかでも沼田さんのパートを編集したAMVなんかがあったりしますので、僕のとこだけじゃなくって、相応の(おそらくは特徴・クセがある人としての)評価を受けているのだとは思います。

    #144 作画の「ノエイン」
    投稿者:LD <2006/09/02 13:40>
    <<<親記事]
    ついでなんで「ノエイン」の話もしておきたいと思います。
    このアニメ、もともと監督の赤根和樹さんと、キャラデザの岸田隆宏さん(「ヤマトタケル」の人!)が意図的に、その回毎の作画監督の人に好きに描かせるような手法をとっていたようなのですが、その中で第2話と第7話を担当した、石川健介さんは、ちょ〜っと、異彩を放っていたというか何というか…。

    右が石川健介さんの作画回です。見てもらうと分かるんですが、非常〜に脂っこい!爽やかなサラダのような岸田さんの素画に対して、ケンタッキー・フライドチキンのような脂っこさですよ?他の方々も、それぞれに個性を出されていたのですが、なんというか出来栄え自体がこれほど違ってしまったのは石川さんの回が際立っていました。
    しかし、先に言ったように、この作品はもともと、回毎に違う作画個性が出ることを望んでいたふしがありますし、実際にこの画は仕上げレベルで差別化が図られているので、石川さん自身の制御不能の個性が出たかというと、それは過分の評という気もします。


    もう一つ。こちらは、おそらく「ノエイン」を通して観ていたほとんどの人が、印象に残っているであろう第12話「タタカイ」の回です。僕なんかもハッキリ言って最終回より覚えています………(最終回ってどんな話だったっけ?)

    なんつ〜か、最初観た時は「これ、何て『ハンター×ハンター』?」とか思ったのですがw 広い空間を利用した縦横無尽の動画はかなりの迫力がありましたね。調べてみると“りょーちも”さんという方が担当しているらしく、この人、うつのみや理さんにスカウトされて「ノエイン」に入ってるんですよねえ。すげえぇ…期待の若手?かなりインパクトがありました。まあ、限られた時間の作画による方便が含まれている…って部分もあるかもしれませんが、これを意図的な描き口として読みますと、このシーン、子供の頃からの親友同士がケンカをするというコンセプトがあったはずで、「がむしゃら」とか「ムキになっている」という感情がラフな線に込められているんですね。理知的な一本線だとかなり“制御された”戦いに見えてしまうって事があるかなと思っています。もっとも、最近の作画技術はそのラフな線をキレイに見せる技術も研究されているみたいで、その見地からすると、相当に“崩れていた”作画回でもありました。
    いずれにせよちょっと面白かったんで、ここに上げておこうかなと思います。「ノエイン」は作画が非常に面白い回が多いので一度観てみる事をオススメします。

    #136 なるほど!!
    投稿者:ルイ <2006/08/14 15:21>
    <<<親記事]
    これはもう、最近スタッフからのチェックをしていない人間としては、まさに目からウロコといいますか、ありがたい情報でした。

    確かに取り上げられている回の「ひぐらし」を観た時の率直な感想は「作画、崩れてるな」でした。狂気に至った時は特に、ほぼキャラデザ無視。ただそれは、「残る」崩れ方ではあった。観終わって暫く経った今も、レス元の画像を見るまでもなく脳裏に浮かぶ。確かに「崩れ」てはいるのですが、それは例えば、2000年前後(主に前)の作品に多かった、アジア外注系作品の「崩れ」とは違うわけで(笑)。

    作画監督が仕事に個性を注入するという行為は、まさにこういうものかもしれません。いつのまにか、「商品」として固定ファンにDVDを売りつける為、全体の統一感・安定感を重視する作品が増え(て、いるように思う)、こちらもいつの間にかそれが当然と思ってしまっていた・・という事に、いまさらながら気付かされました。作画監督がこなす、演出を助けるお仕事・・心を入れ替え、ちゃんと注目しようと思います。そう、キャラクターデザインを「絶対」とし、そこへの忠実さだけを求めてしまうというのは、言ってみれば「リアル」を絶対視し追求するのと似たようなもので(それ以外を「これはリアルじゃない」という理由でもって排除する、という事態を含め)・・その固定観念に囚われちゃうと例えば「板野サーカス」は生まれないわけですしね。反省反省。

    でも、脚本やコンテの人にちゃんとOK貰わないとこんなん暴走もいいとこですから、ここに至るまでの信用獲得は大変だったろうな(笑)。
  • Re:なるほど!! 投稿者:LD <2006/08/15 04:08>
  • #137 Re:なるほど!!
    投稿者:LD <2006/08/15 04:08>
    <<<親記事]
    > それは例えば、2000年前後(主に前)の作品に多かった、
    > アジア外注系作品の「崩れ」とは違うわけで(笑)。

    ええ。単なる外注先であれば、ああいう崩し方はできないですよね。
    最近観た「ガラスの艦隊」ってのがあって、あれはかなり海外発注で出来てると思うんですが、とある二人が剣劇して「画面上に二本の剣だけが交差するシーン」があるんですね。…そうすると…ダメなんですわ。本当に二本の剣がカチンカチンと重なっているだけで。その剣を画面外で操っている人がいて、その剣は画面外にいる人間にどうやったら当たるかを考えながら振り回されている事が全然、想定されていないんですよ。ただカチンカチンと二本の剣が…。
    多分、絵コンテの指示はクリアしてるんですよ。でも本当にそれだけ。まあ、海外発注だと必ずそうなるというワケでも、国内だと必ず回避されるワケでもないんですが。

    こーゆーのをクオリティが落ちたというと思いますね。

    というか最後に載せた詩音の画ですが、設定資料とかなぞってても絶対出てこない画ですw
    あんまりキレイなんで、沼田さんが描いたものじゃないかも?と疑ってもいますが(←コラッ!)並べたフェルミン大佐の描き口からも(意図的に左右の目の形を変える等)多分、沼田さんだろうなあ〜っと思っていますが。
  • 学習をすぐ活かす男 投稿者:ルイ <2006/08/26 01:31>
  • #142 学習をすぐ活かす男
    投稿者:ルイ <2006/08/26 01:31>
    <<<親記事]
    「断罪」、沼田作監でしたね。
    このハイエナのお陰?で、はじまってすぐ「あ!?」と気付きました。

    アニメの作画監督で「この人」と気付くケースというのは、他に
    「単純に、上手いから」という場合がありますが
    それってのは、キャラデザ・キャラ設定から、達者な方が作り上げた&練られたもので
    通常レベルの作画監督さんでは、再現度が低い
    =よって、マトモな回は特別印象が強まる
    ・・という事があると思うのです。
    でも「ひぐらし」という作品のキャラ原案は所詮ドヘタな素人さんの、記号的デザインに過ぎませんから。
    だから、「絵の上手さ」で差を出すには向いていない。
    というか、あんまりソッチでは気付けない。
    やはり沼田回のような、感情の噴出っぷりでこそ、やっと「ひぐらし」は
    作画監督に頼るだけの個性が出るのだと思います。
    そう考えると、この「ひぐらし」という作品と沼田さんというのは結構相性いいのかな、と思いました。
    前回LDさんが挙げたときほどの、デッサン崩壊させてまでの物凄い顔の角度などは
    ちょっと影を潜めてましたが、あの目がドロンとなると、速攻で気付きますからね、立派な作風です(笑)。

    しかしまあ、その個性を立派に利用・・じゃなかった活かされていて
    なんかもう、凄い回の担当ばっかりですね、沼田さんorz