娯楽のハイエナ

議論用のツリー式掲示板です!
日頃疑問に思うこと不満に思うことの
書き込みにお使いください。



表紙 ツリー作成
#138 徹底討論!宮崎吾朗のゲド戦記
投稿者:GiGi <2006/08/17 06:18>
こっちでやったほうがいいかな?ネタバレも含みますしねw。

この映画、一般観客に絶不評なのは本当にね、当然と言うか致し方なしというかねw。
「夏休みに家族で楽しめるファンタジー映画を期待した人」ご愁傷様!
「アニメ映画の魅力は動画にアリ!動かないアニメなんて存在価値なし!と言う人」正直スマンカッタ!

ま、こうゆう需要はさっぱり満たしてませんw。以上、ゲド批判終了〜(えぇぇ


じゃあ何を楽しむ映画なのさ、といえばね。勿論監督です。少なくとも自分にとっては、映画を観るってのは、それを作った監督を見る事なんですよ。そして、宮崎吾朗という人、この親の資産で悠々自適に暮らしている爽やかな好青年の内面にたぎるマグマは、事前の予想以上に、すごいエキサイティングだった。はちきれんばかりに、想いが詰まってるんですよ。

ゲド批判の定型として、「テーマをセリフで語るのは下策」というのがあるんだけど、言葉で語られる「世界のバランスが云々」とか「命を大切にしない奴は云々」てのは、原作テーマであって、この映画の真のテーマではないんですよね。もちろん、それも大事な事ではあるんだけど、この映画のコピーを思い出して欲しい。「見えぬものこそ」。そう。表立っては表現されていない吾朗監督の内面にこそ、この映画の真のテーマがあるんです!(たぶん、コピーにそんな意図はないがw)

  • Re:宮崎吾朗のゲド戦記のテーマ 投稿者:GiGi <2006/08/17 07:00>
  • #139 Re:宮崎吾朗のゲド戦記のテーマ
    投稿者:GiGi <2006/08/17 07:00>
    <<<親記事]
    では、吾朗版ゲド戦記のテーマは一体なんだ?と。それは勿論。です(爆)。

    鑑賞直後の感想で、思わず「父殺しでも家族の再生でもない」と口走ってしまったんですが、この直感は間違いではないんだけど、ちょっと理解が足りなかった。

    ここが吾朗版ゲド戦記の業の深いところなんだけど、この映画は「父殺しを成そうとして成し遂げられなかった」「家族の再生を望むも和解に至らなかった」話なんですね。

    アレンの父王殺しは、とても現実感のない形で表現されている。これはもう、吾朗監督の父王越えというテーゼに対する現実感のなさとそのままリンクしてて。煮え切らない表現にも思えますが、そもそも父駿が息子にさされたくらいで死ぬわけがない。それでも、アレンは父殺しという十字架を背負って《ゲド戦記の制作》という旅に出るわけです。

    アレンを導くハイタカは、宮崎駿のアンチテーゼとしての高畑勲なのかどうかはわかりませんがw、まあ、理想の父親像なのは明らかですね。アレンはハイタカと人間がましい、親子がましい、家族がましい関係を構築することで人間性を回復するわけですが、そこで登場するのがクモです。

     当初クモは鈴木敏夫Pの化身なのかと思っていてw、城に誘い込む件なんかはまーそんな雰囲気も強いんですが、クモが体現する、肥大化する欲望というテーゼはこれはもう、還暦過ぎても自分のリビドーを解放しまくってる父駿のメタファ以外の何者でもないじゃないかとハタと気付いてw。

    そうするとその演出が東映動画的なのにも意図が込められている気もするのですが、ちょっと鑑賞態度が緩くなってたせいで精査出来ません(^^;。とにかく、そこでアレン吾朗は父駿の無限大の欲望を否定して、一人の自立した人間に回帰します。

    そしてラスト、アレンは自らの罪を償う為に帰路に着くわけなんですが、これもともとのプロットではこの後に王都に還って実は生きていた父王との和解のシーンがあったんじゃないか?と勘繰ってたりしますw。そのシーンがあると、全体の構造がものすごい分かり易くなるんですよね。じゃあ、何でそのシーンがないのかって言えば、そりゃあ勿論和解できなかったからですねw。んー実に業が深いw。
  • Re:宮崎吾朗のゲド戦記 投稿者:おかそん <2006/08/20 10:02>
  • #140 Re:宮崎吾朗のゲド戦記
    投稿者:おかそん <2006/08/20 10:02>
    <<<親記事]
     チャットに参加できず、すみませんでした(笑)。
    後出しジャンケンみたいで気が引けるんですが、突っ込んだ感想をば。

    まず、大筋のストーリーを簡単に見てみると、
    父を刺して家を飛び出した。しばらく留守にしておいてその結果が、家へ戻ってきて
    「反省します、ごめんなさい。彼女(テルー)連れてきちゃいました。」
    …だとしたら、どうフォローしてもいい結果が想像できない(笑)。
    家族との和解は、まずありえない。本当の物語は映画の終わった後に
    語られるんですかと言いたくなってしまう(笑)。

    あの雰囲気を感じられれば良いではないか。
    という見方も決して悪くはありません。そういう意味合いで作られていれば
    私も賞賛します。が、この映画は冒頭で父親を刺しています。
    ましてや国王であるならば、国家に対しての反逆。こんな大きなきっかけを
    用意したのであれば、製作者はきちんと調理する義務があると私は考えます。
    風景画ではなくて、物語を組み立てるべきということですね。


     映画を見ていて一番違和感を感じたのがですね、
    会話シーンに気持ちが乗ってこないんですよ。
    例えば「命を大切にしない奴は大嫌いだ!」とか言われたときに
    アレン君だったらこう言い返すだろうな、ってのが出来ていない。
    全編を通してそれがしっくりこないのです。ですから観客は引いてしまう。
    映画を見ながら、ずっと不思議でしょうがなかったですね。
    結果、脚本やキャラクターの作り込みが甘いと感じるわけです。

    これは私の見解ですけれども、アレン君は世間知らずのドラ息子、不良息子。
    わがままで父に刃を向けて家を飛び出したんですから、外の世界へ出て
    恥をかいて、泣いて笑って世間の厳しさを知る。自分は父に向かって
    刃を向けた。何て事をしたんだろうと観客も一緒に共感できればですね、
    よい評価が増えたと思います。
    あとは宮崎2世監督、ジブリ作品といううたい文句、電通の広告力の相乗効果で
    売り上げは右肩上がり間違いなしだったんですが(笑)。


     結論。 商売なんですから。
    宮崎2世は建築家です。映画なんて作れないのが当たり前。
    「だったらなぜ他のプロの人々が宮崎2世をフォローしなかったの?」
    というのが率直な思いでした。低い評価が定着してしまえば
    ヘタすると大赤字、次の作品にも影響が出ちゃいますよ。

    これならですねえ、もっとテルーがロリコンタッチでパンチラで
    お風呂のシーンがあってメイド服着て(それはないか)
    「なんでテルーだけ作画に力が入っているの!」
    の方がまだ面白くて良かったのに!

    そんなことで、みんなジブリを応援しよう!
  • ゴロ戦記 投稿者:LD <2006/08/23 03:56>
  • #141 ゴロ戦記
    投稿者:LD <2006/08/23 03:56>
    <<<親記事]
    >  チャットに参加できず、すみませんでした(笑)。

    いえ、こちらこそ、そんなに徹底して告知してませんし(汗)
    まあGiGiさんとの会話もどこかに張っておきますが、まずはおかそんさんに対するレスを書いておこうと思います。

    > 父を刺して家を飛び出した。しばらく留守にしておいてその結果が、家へ戻ってきて
    > 「反省します、ごめんなさい。彼女(テルー)連れてきちゃいました。」
    > …だとしたら、どうフォローしてもいい結果が想像できない(笑)。

    う〜ん、この部分を批判する人にはなかなか納得してもらえない事なんですが…。
    あの「父殺し」って「ゴロ戦記」の中でそれ程重いウェイトを占めていないと思うんですよ。実際物凄く淡白なシーンじゃないですか。何故、父を刺したのかさえ分からない。さらに言えば父を殺せたかどうかも分からないw(というか僕は死んでないと観てます)
    鬱屈としたアレン王子が旅に出るトリガー以上の意味はそれ程ないと思います。

    何と言うか「父殺し」という単語で受ける衝撃だけ先行してしまいますが、全編俯瞰してみれば、普通に「物語の主意を占めていない」事が分かると思います。

    >  映画を見ていて一番違和感を感じたのがですね、
    > 会話シーンに気持ちが乗ってこないんですよ。
    > 例えば「命を大切にしない奴は大嫌いだ!」とか言われたときに
    > アレン君だったらこう言い返すだろうな、ってのが出来ていない。
    > 全編を通してそれがしっくりこないのです。ですから観客は引いてしまう。

    これは僕はそうは思わなかったですけどねえ?
    むしろ「どっかで観た事があるような(笑)」コンテの切り方がされており(それはそれで何か言われてしまうかもしれませんが)絶対的なキャラ造形の不味さからは回避されていたと思います。
    ただ、駿監督に有るポジティブ&パワフルなキャラってのはいなかったですよね。
    ネガティブ&シック?w…という程ではなかったですが、ゲド=ユパと考えて行とその存在は“リバース”している観さえありますw
    ただネガティブだとバツかというと、そうではないと思います。ネガティブ…ではないな。やっぱりニュートラルと評するのが近い気がします。正にそこが良かったと言えるかも。

    多分、僕は「ゴロ戦記」を観るに当たって特に何かに期待する事もなく「『ゴロ戦記』とは一体何か?」の解析に気持ちが集中していたのが良かったのかもしれません。結果、拍子抜けするほど素直な作品が俎上に上がっていたとw