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#283 {作品チェック} 今日の5の2 TV版とOVA版を、演出で比較してみる
投稿者:ルイ [2008/12/06 01:21]
はじめに…この文章はかなりどうでもいい意識に支配された、どうでもいい書き込みです。但し、本人それなりに真面目です、オタク的に。きっと、どうでもよい事をどうでもよくなくするのがオタクなんです。おもしろき〜(略)

 TVアニメ「今日の5の2」が、予想より面白かった。個人的に原作が苦手だっただけに、それはちょっとした驚きでした…その為、OVA版を観てその理由・違いを模索しようという風に思い立ったわけです。単純に「原作読んでた頃より、オタクとして寛容になってるんだよ!」という「俺様成長路線」で済ませてしまってもよかったかもしれませんが、気にならないような所まで気にしてのオタクでしょう?w

 自分の悪癖で、基本観る前から答えは用意してあったんですね。「OVA版はHな二次性徴コメディという“ないしょのつぼみ”同様の押し方をしているから、TV版より視点がエロい!そこにTV版との大きすぎる違いがあったんだよー!」「な、なんだってー!」という類(なんだってーは要らない)。で、実際確認してみたところ、ある程度はイメージ通り、という結論に至りました。あくまで「ある程度」でしかなかったのが、誤算と言えば誤算ですが…とりあえずTV版・OVA版ともに存在するとある回でもって、その比較をしてみましょう。


「サコツ」
 TV版では第3話の一本目(9時間目)として、OVA版では第一巻の2時間目として放映されたこの一話。TV版は5分10秒ほど、OVA版は5分ほど。時間も基本的な展開にも大差がない為、映像作品としての比較が容易になっています。この回を、展開・或いは場面から大きく三つに分けると「エロ本(グラビア)で胸を見ている男子を批判する女子、話を振られて答えに窮したリョウタが“女ってのは鎖骨じゃないかな”と言う」のが第一段階。次に「公園で女子はバレーボールを使いながら、男子はタコさん滑り台で鎖骨談義。鎖骨教祖のリョータと鎖骨モロ見せのユウキが場を逃れる為水飲み場へ」ここまでが第二段階。最後に「水のみ場でユウキに先を譲るリョウタ、意図せず胸を見てしまうものの、ユウキは鎖骨を見られたと思い怒る」ここまでです。この三段階は共通している為、そのパートパートでの時間配分などに表現の違いが見えるかな、と。まず第一段階は、「鎖骨じゃないかな」と口にするまで。TVでは1分8秒、OVAでは1分8秒…なんたる偶然!?ほぼ同じ。ならば、そこでどんなカット割りをしているかに表現意図が出るはず。そうでないなら、アニメーションなんてこれこれこんな事があって…という展開を語るだけのものになってしまうじゃないですか。映像がついているものに対してそれは、もったいない視点ですよね。

・第一段階

 TV版。グラビアを見ている所、ユウキに見咎められるコウジと少年。

 一方OVA版。グラビア三連カット(笑)。観る前のイメージ通りで、楽しくなってきたぜぇ。TV版だと5分という時間を「圧縮目標時間」として捉えているから、グラビアを見ている、という情報を見せる為には1カットで充分という判断をしている。対してOVAはその職人的な焦り、削る意識がない。寧ろ「ちょっとH」で押しているのだから、ここはお色気カットの出し所だ!という見せ方をしている。この時点で、ある程度TVとOVAの差は出ているようにも思います。


男って胸ばっかだよね…
佐藤くんもそうなんだ…
サイテー…

言ってやれリョータ!
女は胸だと!
頼むー※OVAは(頼むよー)

女ってのは…その…鎖骨じゃないかな


 セリフ自体は同じながら、ここの時間を計ると大変面白い結果が出ます。TV版は、リョータがコウジに話を振られてから「鎖骨じゃないかな」という苦し紛れに至るまでが、40秒。一方OVA版だと、28秒。冒頭のカットが同じグラビアで、鎖骨といい終わるまでの時間もほぼ同じなのに、中で割いている時間がまるで異なる。しかもTV版はグラビアのカット数を削ってまでいるのに、寧ろここの時間は50%近く長いんですね。ここに現れているのは、少年キャラのキャラ積みをしようというTV版の意図。リョウタが男性陣と女性陣との板ばさみになり、苦悩している時間をかなり割いて(そしてそこに視聴者の意識を乗せて)、元々無茶なw展開への視聴者の納得力を高めようとしている。それと比べると、OVAのリョータはいくらかすんなりと「鎖骨」に辿りついている印象は拭えません。「女ってのは」と言い出してから「鎖骨じゃないかな」と言い終わるまでの時間、TV12秒、OVA6秒…現れてますよね。


 後は大まかな差はなし。「煙に巻く」を実際煙を描くことも、モアイのような顔でケムマキ成功を確信するリョータも同じ。(男子かっけえなあw)まあ、OVAの煙が蚊取り線香程度であるのに対し、TVの煙はボワッと爆発・拡散する景気の良い煙なんですが…そこは基本的な作画力の差かな。

・第二段階

 カズミとのドッヂボールに疲れ(カズミが最初の一撃に根を持って執拗に攻撃)、休憩をするユウキ。上着を脱ぐ事がラストに繋がる為、脱いだという事実自体は描写しておかないといけないけれど、それを典型的な上PAN一発で表現しています。冒頭のグラビアカットに通じる、コンテマンの意識が伺える所。TVだけ観ていた時は、この上PANだって多少エロい視点かな、などと思ったものです。そんな頃もありましたね、私にも。あはは(苦笑)  (ルイ氏談)。


 同じPANにいく前に、何・故・か!カットを他に二つ用意するOVA版。流石です。上にある「鎖骨」の文字演出の時のユウキはほとんどハッピ着た応援団にしか見えないのに、急にやる気マンマンの作画です。リソース割く場所わかってます。

 ところでこの第二段階、TV版は2分40秒、OVAは1分55秒と大きな開きがあります。上着を脱ぐカットはOVAの方が長いのに…それはTV版に、足フェチだうなじフェチだというオリジナルな脚本が存在しているから。その差があるのに全体の5分という時間に差がないという事が面白いんですけどね。

・第三段階


 TV版。リョータが「いいよ、先飲めよ」と切り出し、ユウキが「なんかよくわからないけど、エッチ!」と叫ぶまで(つまり、水を飲むユウキにエロスを感じてしまい、それがバレるまで)を三段階目の更にコアとすると、ここの時間は約35秒。最初の下PANがTV版特有のリアルモード(?)にも助けられ、そこそこのエロさもあり。テンポよくオチを描いた35秒です。


 OVA版。まず最初の二枚がダブルで下PAN。最後のハッとするユウキも上PAN。何より、この間約1分。いかにネットリPANしているか、という事の表れなんですが(笑)リョータが変な顔したあとの胸カットも、TV版と一見同じようで…その実角度がエロいですねえ…。TV版が、ここに割いている時間の短さからもわかるように「オチ」としての役割しか求めていないのに対して、OVA版は確かにここも一つのハイライトだと考えている。尺の違いで明白です。

 とりあえず少しでもエロさを感じる所には時間を割こう、というOVAの意識が見えると同時に、その後で生まれたTV版が、キャラクターデザインも含めてそのあたりを軽く、軽く処理している、というのがTV版を楽しめた理由なのかもしれません。最初に書いた通り、「サコツ」の総時間には大差がない。そして第二段階に書いた通り、TV版の方がオリジナル会話もあり、脚本としては長いはずなんですよね。けれどその分エロ視点を短く抑えて、日常会話やリョータの悩みといった感情部分を積み上げる事で「お子様日常モノ」としての視点を強調している事が、TV版の特徴であり良さなのでしょう。

 ただ、そうは言ってもOVA版もそれなりにその「お子様日常モノ」としてのほのぼのとした視点も持っている。そのことがよく現れているのが、EDです。

左がTV版第一ED「secret base〜君がくれたもの〜」で、右がOVA版ED「約束」(以降、左はTV、右はOVA)

TV版、まさかのひと昔前の大ヒット曲ですよ。共に夕暮れの帰り道なんか描いちゃったりして、綺麗な「過ぎ去りし日々」の匂いをかもし出しているんですね。TV版第一話を観ていた時、EDが始まったとき、かなり悩みました。「ずるいなぁ」という批判的感覚と「でも、EDに至る道筋は作れているなあ」という肯定的感覚が自分の中でせめぎあった。前者だけが先行したなら、悩まなかったはずなんです。でも確かに作品として、「日常描写」を「萌え」に先行して意識しているという姿勢、或いはシチュエーションの面白みよりも個々のキャラクター描写を意識しているという姿勢が伺えたから、悩んでしまった。そして話数が進むほどに、2つの感覚の争いは、後ろの感覚が勝っていきました。

そこで「カーッ!このロリペドアニメ、EDにsecret baseなんか流しちゃって手前の本来的な魂の汚さをごまかしてるよ!終わり良ければ全て良し気分ですよ!賢しいね!狡いね!唾棄すべき作品だよ!」と言えてしまえば楽だったんですがw(そして頑張って「再生」ボタンを押したとき、まあそういう感想になるかなとも思っていたんですが)、それだと、外観で悟ってしまう決め付けの罠と大差がないという…見て面白いと思えてしまった以上、それはオタクとしては取るわけにはいかない姿勢で。その事が、OVA版もほぼ同じ形でEDを組んできた事で、ハッキリわかりました。…OVA版の方が、もうちょっと素直にそう(カーッ!このロリペド…以下略w)思えました(笑)。本編に砂かけて、匂いを消す行為に見えたわけです。

 恐らく「5の2」という作品自体が「エロさ」と「懐かしさ」を併せ持っている。例えば「よつばと」に対し、エロさを懐かしさ(架空の、ですが)と同じくらい感じていたらちょっと君俺と一緒に汗流そうぜ、とか思うんですがw本作に関してはそれは自然な事で、寧ろ原作とOVAに関しては、エロさの方が先行していた。懐かしさも排除はされていないものの、明らかに従格で…だからこそ、僕のような「二次性徴終了前の幼児へのロリペドはノーセンキューなロリ」(太字で言う事か?)にとっては、苦手な作品だった。その上下関係を逆転させたのが、TV版「5の2」なのだ、という事なのでしょう。でも、あくまで「逆転」なので、視点自体は残っているんですね。そこがこう、ピュアピュアボーイな僕を悩ませてしまう部分なんですが…でも、僕の中の質実剛健ルイ君が「じゃあなんでブルマなんだよう!ええ!?おうおう!」と正直な意見を述べると、キャストインタビューで高垣彩陽さんが

「駄菓子屋さんが出てきたり、女の子がブルマだったりと、とても懐かしい雰囲気をもった作品だなと感じています。」

 なんて言っちゃってたりなんかして、あれひょっとしてブルマである事にエロ意図を見出す俺が単に汚れてるの?ねえそうなの?orzと別の悩みを持ってしまったり…そんな切ない押し問答を心の中で繰り広げながら、TV版は楽しく鑑賞できています。
  • {{声優チェック}} 今日の5の2 せっかくなので声優比較 投稿者:ルイ <2008/12/06 02:24>
  • {{脚本チェック}} 今日の5の2 キャラクターの違いにみる構成脚本 投稿者:ルイ <2008/12/06 01:47>
  • #285 {声優チェック} 今日の5の2 せっかくなので声優比較
    投稿者:ルイ [2008/12/06 02:24]
    <<<親記事]
    これは単なる俺的評価、お遊びです(全部そうなんだけどw)。OVA版を観た事で色々見えてくるものがありましたが、その中には総とっかえされているキャスティングも含まれます。元々TV版「5の2」は、かなりキャスティング的にも優秀な作品だ、と思っていたのですが…同じキャラで声優全員違うという例があると、そのあたりのチェックが進みますね。最近では先行のドラマCDとアニメ版は違う!というパターンがよくありますが、ドラマCD買うほどファンって事が基本ないんだもん…orzというわけで、そのあたりを聴き比べてみようと思います。評価は5段階評価、3を中心にしたいと思います。3は作品貢献度ゼロって事ですね。悪い意味ではなく、特別な+αがない…マイナスも与えていないという事です。声優個別の好き嫌いは考慮に入れないようにしたいと思います。が、先に言っておくと、僕は高垣彩陽さんが好きです大好きです好きさ好きさ好きさお前のーすべーてー♪(60年代のGSカバーヒット曲)…いや、好きだからこうなった、というつもりは本人には無いんですけどw往々にしてそれは本人が思ってるだけかもしれなくてね。それなら、敢えてそこを前面に出して滑稽さをアピールしようと(自虐趣味)。一応「ガンダム00」でフェルトの話題なんてした覚えもないし、本当、自分の中ではオタクとしてのマナーは保っているつもりなんですが…でも、ま、正直好きな声優さんが期待通りの仕事をしてくれると、うれしくはなりますね。

    先がOVA版、後がTV版。なお抜き出した画像には特別な意図はありません。多分。

    佐藤リョータ
     桑島法子 4 →小林ゆう 5

     これは意外だった部分。とにかく小林ゆうさんがドハマリ状態である為、元のリョータに対してはもっと辛くなると思ってたんです。ところがギッチョン(古)、桑島さん上手い!最初のうちは、本当に桑島さんか?と疑ってしまう程の声色コントロール。声の裏返すタイミングなども含め、今のリョータの演技ベクトルは既に桑島さんが完全に作り上げたもので、その上にあります。それなら両方5でいいじゃん、という自分ツッコミも入ったんですけど…これは技巧云々じゃなく、小林ゆうさんの声がハマりすぎている、という意味合いです。桑島リョータにマイナスの印象はゼロ。

    小泉チカ
     門脇舞以 3 →下田麻美  3(4)

     どちらだから何かが起こったという事はなかろうと。可愛くて多少不器用な子、ですからね。誰が演じてもある程度はこうなるというキャラ。一応キャスト表2番目である事からもわかる通り「正ヒロイン」扱いでしょうから、仕方ない面もあります。全員が個を主張していたらバランス成立しませんしね。ただ(4)としたのは、TVアニメ版独自の演出である、リアルフェイス時の声色が面白い「リアル三傑」の一人である為。OVA版ではあまり強調されてないので、比較できないんですよね…同じ原作者の「みなみけ」アニメ版でも用いられていた作者特有の演出なんですが、演技面では「みなみけ」勢よりもはるかにこの辺、意識してギャップをつけていて面白いです。チカは、妙に大人の、全てを知った女の声になるwリョータのリアル時は、あんまり上手く差をつけられていません。多分元の少年声用に声自体の方向を作ってしまっているので、そこからのリアル、というゾーンに声を持っていないのだと思います。元がドハマリすぎるから仕方ない(何故かフォロー)。

    左からチカ、ユウキ、カズミ

    浅野ユウキ
     高橋美佳子 3→明坂聡美 3(4)

     おおっと手抜き臭くなって参りましたーってチカとユウキは大体同じなんだもん!orzユウキはちょっとおしゃまな(だから古)ナウい(古)ヤング(同)として、ある面もっともナチュラルに演じていればいいキャラ…誰がやっても大すべりは考えられないんですよね。棒読みでもない限りは、そんなに差は出ないだろうと。明坂さんは僕の中で「川澄綾子」→「名塚佳織」→という系譜に連なる声の持ち主なんですが、誰も同意してくれないだろうからそこは置いといて(笑)チカよりは、価値を感じられるかな…でも名塚さんでも俺気づかうわ何をするやめ

     彼女もまた、リアル時の声が笑えるリアル三傑の一人です。妙に扇情的に、けだるげに話す(笑)。

    相原カズミ
     能登麻美子 2→MAKO 4

     TV版だけを観ていた時、MAKO版カズミの良さってあんまりわからなくて。「名作“かみちゅ”のゆりえ様がこんな演技を!成長したね!」ってな驚きはありましたが。…でも綾波レイから始まって、先鋭化してハルヒの長門に至る演技のそのまんま線上だろう、と。特段何かを感じる事はなかった。更に言えば、声優評価の際に語るにはアンフェアな話ですが、カズミというキャラクター自体あまり好きではなくて。作者が日常描写に困った時用にワイルドカード気味に配置したキャラかな、と考えてしまうんですよね。…だからTV版も、一時間目がカズミの話だった時は不安だったなあ…と、脱線。
     しかし、OVA版を観て一気に改めました。偉いよMAKO−。最近「能登さんは声優民族だ、なめるなよー!!」(?)とかなんとか言って能登再評価の陣営にいたつもりなんですが「鉄のラインバレル」と続いてこのOVA観て評価ガタガタですよ(※)。“CLANNAND”の演技をもっとローテンションにした演技なんですが、とにかく不思議少女です、という側面だけを前面に押し出した結果、MAKO版とでも比べ物にならないくらいの、ただのぼやぼやしたファンタジー生物になってしまった。うーん、素敵にミスキャストだ。

    ※他番組では悪くないですし、最近遊んだゲーム「ルクスペイン」の能登さんは小学生を好演する良い能登さんでした。あくまで個人の評価とは無関係です。

    平川ナツミ
     山本麻里安 3→阿澄佳奈 5

     山本麻里安さんが悪いかと言えばさにあらず(3には悪印象ないです)。ただ、阿澄さんがリョータの小林ゆうさんに匹敵するクラスのドハマリっぷりを見せています。阿澄さん自体が特別な何かを行ったかと言えば、僕にはそう思えなくて…だって“しゅごキャラ”のランとぶっちゃけおなじですよね(笑)?でも、幸か不幸かランとナツミって、キャラクターとして演じ分ける必要がまるでない位、同じで…スポーツ万能だけど色恋にはあんまり興味がなくサバサバしていてあっけらかん、って、そのまんまだ。数をこなし過ぎると釘宮ツンデレのような飽食扱いになるかもしれませんが、文句言ってるのは一部の僕みたいなオタクだけで、本人にしたら定型で仕事がくるなら最高でしょう。このゾーンは、阿澄さんの最強の守備範囲だ、という事なのだと思います。特に主要キャストに「可愛い、しかしありきたりなヒロイン声」が集まった時、アクセントとして機能しますしね。リアル声は差の作り方に苦労している模様。もっと地声に近づけてしまえばいいのに。

    日高メグミ
     植田佳奈 3→本多陽子 3

     …うん…まあ…ごめんなさい(笑)。チカとユウキとメグミは、ある日シャッフルしても気づかないかもしれないwってぜんぜん声質は違うんですけど、リアル時以外は無難な演技しかしていないかなと。

    今井コウジ
     浅川悠 3(2)→山戸恵 5

     本作の核、ナンバーワン登場。TV版5の2のキャスティングは、恐らく彼女をオーディションで発見した瞬間に勝利確定です。その点では“銀河英雄伝説”のヤン・ウェンリーに匹敵すると言えよう。ってどんな比較対象だ(笑)。コウジとツバサに関しては、OVAでは扱い自体が悪いので、ちょっとOVA版の声優さんには可哀想な所があります。ちょっと声高めにヤンチャしてる、悪友ABでしかないんですね。ただ、コウジとツバサにあまり差を感じられないのは、浅川さんと茅原さんの演じ分けに大差がない事も理由にあるだろう、と。それと比べて…いや比べる必要もない程、コウジ君の声は完璧です。リョータ、コウジ、ツバサという男子トライアングルを結成する上でも、そのバリトンボイスは(バリトンじゃねえよ)扇の要。全体で眺めても、女性陣だけで固めたこういう「なんちゃって男女キャスティング」(?w)作品にこういう声が一つあるだけで、作品の落ち着き方がぜんぜん違いますよ…パクロミさんやサイガさんの道を辿るのでしょうか。今後が気になる方です。

     特にポイントは12時間目「ジッケン」でのこのシーン。机の上に置かれているスカートを自分へのパスと考え、スカートを穿いている自分を想像しての「あはーん」。エコーがかかっているその声が、良い意味で実に気持ち悪い(笑)。女性が男っぽい少年の声を演じ、そのキャラが可愛くなった時に「あくまで男がそうしているだけ」のキモイ声を出す。これが出来たら、男役で10年戦えるのではないでしょうか。斎賀みつきさんの「イタズラなKISS」がその筋の究極にあると思います(高野麗さんの「コジコジ」もいいね…でも人間じゃないね…w)が…先が楽しみな方です。元の声が落ち着いているので、リアル時のギャップが乏しいのは仕方ないかな。

    河合ツバサ
     茅原実里 3(2)→高垣彩陽 5

     あやひキタ━━(゚∀゚)━━!! イェ━━━━━ヽ( ゚Д゚)人(゚Д゚ )ノ━━━━━━ィヽ(´∀`)人(・ω・)人( ゚Д゚)人ワショーイ

     ってホント悪い癖なんですけど、こうやってダメな俺を自己演出して楽しんじゃうんですねえ…w自己演出できる程度には客観視もしてますよっていうずるいアピールをして逃げを用意しつつ、でもやっぱりそれを書いちゃうんだからお前結局こうなんだろ?ハイそうですよ?っていう…でそれをまた自分で書く事自体が…いやもういいんですけどw全部確信犯さハッハー!しかし確信に込めるは本音のひと匙、ブラックコーヒーに落とされた一粒の砂糖!そう僕は高垣さんが大好きです!隠して客観視のフリしてヨイショするのは気に喰わないから敢えて!押して!押しまくる!

     ってな遊びはそれくらいにして、やっぱりコウジ同様、OVA版は少し可哀想なツバサくんなんですが…高垣さんと茅原さんは仲が良いそうなので(ヴィーナス・ヴァーサス・ヴァイアラスきっかけでしょうね)ある程度OVA版の演技に引きずられているのかな?と思いながらOVAを観てみたら、まったくの別物でした。高垣さんのツバサくんは、彼女のある種弱点かもしれない「幼い子を演じようとするとアホの子になる」(ファンの癖に酷い物言い)という特徴が上手くキャラにはまったパターン。女性陣の阿澄さんとシンメトリを形成するようなバランスかとは思いますが、ともに笑っているだけで幸せオーラを出してきます。喜怒哀楽の「喜」を表現するのが巧みで、星を観ている時などの興奮状態、声の上ずりというものが上手。コウジくんと相俟って5の2最強の2トップを形成しています。勿論先ほど書いた通り、コウジくんありきってことは忘れてはいけないでしょうけどね。

     またファンとしては嬉しい誤算ながら、ツバサも「リアル三傑」の一人。元々ツバサというキャラクターは、僕のあやひ厨モードを度外視しても(いやホント普段から分けてるつもりで←必死なので以下略)オタク好きのするキャラクターで…無駄にキャラ格が高く見える人物なんですね。その彼のある種得体の知れない面が、リアルモードでもってそれらしく出るのだと思います。リアルツバサは何か悠然と喋ります(笑)。その点で33時間目「ファッション」は必見。

     あと、何故か追加名前キャラとして「田中ハルカ」って子がいて…何かこっそりと同作者ネタとして「みなみけ」とのリンクを匂わせたりもしているんですが(そういえば、本編で少年トリオはしょっちゅう「みなみけ」の話、とりわけ保坂先輩の話をしているなあ…主に無印終盤の話をw岡持ち買ったって…w)今の所何か特別なネタを仕込んでいる風もないので、様子見でしょうか。

     基本的に甘めの評価になりましたが、それくらい僕が「今日の5の2」を、キャスティング成功アニメとしてみているという事でもあります。OVA版との視点の違いはもっと極端かと思っていたら、確かに内部での順位付けに変動は感じられるものの、劇的なまでの違いではなかったんですね。では原作にも、OVAにも乗り切れない自分がTV版を楽しんでいるのは何故か。…高垣さんがいるから、っていやそんなの無関係で、キャスト、細かい脚本、演出、作画…実に細やかな所で、良い仕事を繰り返している作品なのだと思います。最初から作品の器を定めてしまって「こんなもんだ。このライン守っておけばいいや」というアプローチなら、こういう作品は生まれない。…なら、受け手もそうあった方がいいのではないか。器に関わらずそんな力の入った表現がいつ来ても受け止められるような、心の準備をしておいた方が。そんな突然ちょっと良い事言い出した?的な残り香を漂わせながら即席の「5の2」考を終わらせたいと思います。最後の偉そうな一文は、いわば作品にとってのEDテーマなのだったー。ズル繋がりでひとつお願いします。

    #284 {脚本チェック} 今日の5の2 キャラクターの違いにみる構成脚本
    投稿者:ルイ [2008/12/06 01:47]
    <<<親記事]
     この作品の脚本・構成ってどんな仕事をしてるんだろう?短い話である程に、どちらかというとコンテの貢献が大きいと思うんだけど…。そんな風に考えている時、別目的(エロ視点チェックね)で観たOVAによっていくつかの発見がありました。基本上の画像を用いて、書いておきましょう。

     グラビアを読んでいる少年2人…OVA版の少年2人に注目してください。実は、TV版の右側にいる5の2いちのイケメン?コウジくんは、同じくOVAでも右側です…髪の色がまるで違うんですねえ…ではOVAの左、一見コウジ君じゃね?というこのキャラは誰かというと

    ツバサくんなんですね。

    ↑TVツバサくん。

    ↑左がOVAツバサくん。


    ・・・・・・・・・だれだよ(笑)。

     TV版ではすっかり5の2のほんわか担当として萌えキャラ化している(僕の中で)ツバサくんが、実はコウジと大差なく、グラビアに目を輝かせている。これが「元」だ、という事がわかります。OVAを観ていると、コウジとツバサにはほとんどキャラクターとしての違いが見出せません。悪友ABと言った感じでして…だから

    言ってやれリョータ!
    女は胸だと!
    頼むよー。


     ↑このセリフ、TV版だと一言目がコウジ、後は他の少年2人という形なのに対し、OVA版だと「女は胸だと!」までコウジで「頼むよー」がツバサだったりします。工工エエエエ(´Д`)エエエエ工工!?ツバサきゅんは(きゅん言うな)そんな事言わないやい!だってツバサきゅんは

    宇宙への興味が色事に勝る子なんだい!

     …とTV版から観た僕なんかは思うんですけど、あくまで元は「悪友Bだった」という意識で考えると、やはりTV版は日常生活モノとしての意識を萌えアニメ意識よりも強めようとした結果、バランスとして男子生徒のキャラ描写にも気を使っている、という事がよく感じ取れると思います。そもそもOVA版、タイトル画面からして

    男子生徒出さないからね…ハーレム構造が基盤にあるからね…orz

     そうやってOVA版との差異から脚本の細かい仕事に目を配っていくと、例えばここで「よくわかる銀河」に集中して鎖骨談義に関わらないツバサ、という描写がちゃんと後に繋がっているという事がわかるんですよね。

     ともに宇宙への憧れをストレートに見せるツバサくん。ここでは10時間目「トショシツ」18時間目「ナガレボシ」のツバサを抜き出しましたが、特に30分の脚本構成と考えてみると、同日放送で直後の「トショシツ」。宇宙の本を借りたいツバサに付き合ってリョウタとコウジが図書室にやってくる一話ですが、ここへの意識的あるいは時間的な連なりを表現する為に「サコツ」のツバサはあった、という事がよくわかりますし、そう考えるとその時読んでいた「よくわかる銀河」に図書室の管理シールが貼ってあるのは、非常に的確な仕事だという事が理解できます。こうやって時間ごとの意識、小道具、あるいは感情のつながりを緩やかに用意する事で、短編集の形式を取っている「5の2」にも、確かに日常生活の、ゆるやかな時間の流れというものが生まれてくる。地味に仕事してます。


    男って胸ばっかだよね…
    佐藤くんもそうなんだ…
    サイテー…


     さらにもう一つ。ここで再び同じ画像を使って。上記の「女の子たちの不満発言」、TV版だと発言しているのはクラスの女生徒たち。ではその元、OVA版はどうか?OVA(下段)の一枚目を観るとわかるかな?大体デザイン同じです。実は、OVA版では一言目から順に右から…ナツミ、メグミ、チカが発言している。このこと自体は、OVAという短い中に主要キャラ達をギュッと詰め込もうという意識からすれば、理解できるものです。けれどこのやり方だとどうやっても取りこぼしてしまうキャラ描写というものがあるんですね。ナツミは運動の事一筋でボーイッシュ、ファッションの話題でもとりあえず「あっはっは」と笑って済ませてしまうような、大雑把な(明け透けな)少女として描写されている。ゆえに、その彼女がここで女生徒代表として男子を糾弾するのは、ちょっとキャラクターとしての矛盾が生じてしまうわけです。胸の成長という複雑な悩みを抱えるメグミが、ここで堂々と胸非難派として目立つ表に立つ、という事の違和も同様。チカは、彼女達と比べると、普通に糾弾側に加わってもおかしくないのですが…TV版の場合、独自の演出を加えていますね。

     煙に巻かれた後のカット。ここを敢えてはさむ意図というのが結構複雑で…って、僕がちゃんと頑張って観てないってだけなんでしょうけどwおそらくは「リョータは鎖骨が好きと言う事を知って思い悩む」というベクトルかな?と。それは今、自分が鎖骨の見える服装をしていない事も含めて…または、チカだけが付き合いの長さなりでもってリョータの「煙」を見抜いていた、という捉え方もできるかな?どちらにせよ、ただ「女の子たち」として男子を糾弾する事では生まれ得ない、リョータを気にするチカ、というものが生まれている。この辺の細やかな描写の積み重ねが、TV版の「5の2」を生み出している。なかなか頑張っている、佳作だと思います。

    ※ちなみにこの考え方でいくと、25時間目「ウチアイ」で男子の水鉄砲遊びを「もー、またやってるんだ」と口にしたナツミはちょっと違和感があります。ナツミだと、楽しそうだねーあははーってな方向だと思う。…極めつけとしては、11時間目「メクリ」で、低学年時における2・3回のスカートめくりを白状するツバサくんは、なんかもう、かなり僕の中では大きなミスで(笑)。リョータがスカートめくりした事ない、という形に繋げる為に、どうやってもいじれなかった部分だろうとは思うんですけどね。ツバサくんもスカートめくりしないーじゃ話にならないし、全体を作り直すしかない。でも、ここはミスだろうと思ってはいます。ツバサくんを天然で無邪気、という方向で押すならば…ま、なんか、ツバサくん適度に腹黒なんでwここも狙った通りかもしれませんケド。