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電視の部屋

アニメ、特撮などのTV番組の感想掲示板です!
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#533Re:{{脚本チェック}}ライブオン CARDRIVER翔 LIVE 16「親子三代!チーム大漁旗!!」 (#532)
投稿者:ルイ [2009/02/02 06:06]
 なかなか良い回でしたよね。個人的にこの回のポイントだと思ったのは、アイの怒りを利用して翔を中堅に持ってきた事。地区大会の頃から、チーム無敵の試合順は固定化されていて…それはちょっと、強敵相手の場合タイで三戦目まで持っていかざるを得ないという構造上、パターン化されすぎて勿体無いと思っていたんですよね。翔が負ける場合を担当したり、逆に「勝って繋ぐ場合」もあっていいだろうと。

 かなり強引な流れで生み出した「順番いじり」なんですが、Aパート終了時のアイキャッチだけでなく、Bパート開始時のアイキャッチまで「怒りでオーラが出ているアイ」を引っ張る事で、この「怖くて中堅のフィールドに歩み出る」という珍妙な流れに、感情的な納得力を与えていた点も見逃せないと思う。

…あと、勿論プリンセス・プライマリィの処理ってのも大きいですね。カードゲームに必ず付きまとう運の要素ですが、ドローのめぐりだけでなく「バーストのめぐり」も加わると深みが増す。これ、上手く描いていくと「あそこでダブルドロー(それはバシンだよw)しておけば、バーストされるカードは違ったのに…!」みたいな、バーストとドローのギリギリの綾が見えてくるはずなんですよね。


と、褒めた所で1つ冷や水というか、「カードライバー」への疑問点或いは不満点が1つありまして…。

…セコンダリィ、何で喋ってるの?

 これはプライマリィ=大原さん、セコンダリィ=置鮎さんという「人気声優」を配置した時点で少し危惧していた事ではあるんですが(まあ、その意味でもプライマリィを使えなくした展開はうまかったんですけどね)…「喋らせたくなってしまう」所に罠があるんじゃないでしょうか。

 この作品、ペダルと翔の間の意思疎通はかなり徹底して「種族の壁」によって阻害しており、翔がライブチェンジした時ようやく通じる、という演出を徹底しているはずなんですよね。今回のムスタング親子の会話も、翔がライブチェンジした時「だからこそ」のものです。…では、アイ戦は?

 アイは今回、プライマリィに限らず、高速ファルコンもバーストされている。この状況でセコンダリィが「姫のかたきぃー!」「無念ー!」と叫びだしてしまう事って、どうなのか。…深く考えすぎる事はない?確かにそうかもしれません。あの状況でセコンダリィが言うセリフとしては、おそらく言語化されなくても視聴者は皆こういうセリフだ、と予測できた範囲でしょう。それを敢えて言葉にしたに過ぎないかもしれない。…でも。ここを徹底してこそ、今の「カードライバー」の距離感は築かれてきたんじゃなかったの?と、僕はここが気になってしょうがないんですよね。ここをユルくしていいなら、今までだって突撃ムスタングは、ライブチェンジしていなくとも「いかせろであります!」と叫び続けていても何もおかしくない。当然言うセリフだから。→でも、それを選択してこなかったのが「異種交流モノ」としての「カードライバー翔」じゃなかったの?

…まーなんか、ほんと小姑ツッコミみたいに思われたら申し訳ないんですけど、この点でもって、僕は「翔」、楽しんでるけど乗り切れない(警戒している)という、何か変な立ち位置で眺めてますね。どうなることやら…。

#532{脚本チェック}ライブオン CARDRIVER翔 LIVE 16「親子三代!チーム大漁旗!!」
投稿者:LD [2009/02/02 05:43]



http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/cardliver/

脚本:山田健一
絵コンテ:辻初樹
演出:山崎友正
作画監督:伊藤智子


けっしてハイクオリティなアニメではないんですが、もっと評価されていい作品だと思います。
中部大会がいよいよ始まって、第1回戦の相手は、親子三代でチームを組んでいるチーム「大漁旗」だったんですが、地区大会で決勝を争った大空兄弟とは違い、おそらく再戦はなく、再登場も危ういこのチームの細かなキャラの作り込みが試合を楽しませてくれます。(※関係ないけど大空兄弟の最強って長兄のツバメじゃなくって、末妹のスズメじゃないかって思っていたり…トオルを瞬殺したデッキの内容が気になります)



漁師一筋のお祖父ちゃんと、穏やかな気性でカナヅチだった事から漁師にならず普通のサラリーマンになった父ちゃんと、お祖父ちゃんの影響を強く受けて漁師になる事を決めている孫のコーダイくん、の三人のチームなんですけどね。お祖父ちゃんは息子がサラリーマンになった事が気に入らなくって、微妙に冷たく接しているんですよね。孫のコーダイもそれに合わせるように、お祖父ちゃんの側についているんですけど……でも、父ちゃんが上手く反撃したり、父ちゃんに声をかけてもらったりすると微妙に嬉しそうなんですよねwつまりコーダイくん、父ちゃんも好きなんだけど、微妙にお祖父ちゃんに遠慮しているっていうか、自分でそれに気付いてないからツンデレみたくなっているんですよね。因みに最初、翔にきつめの言葉を投げかける妹のミルちゃんも、最後はお兄ちゃんを純粋に応援している……もう、なんかそれだけでね。いいシナリオだなあ…って思いますね。



また、カードバトルの試合運びもけっこうシビアで楽しい。たとえば、この回、以前のエピソードでアイちゃんが苦労してマウント(捕獲)したプリンセス・プライマリーが、あっさりバーストに消えて出番が流れてしまうんですよね。ライブ(変身)カードの高速ファルコンも。結局、アイちゃん負けるんですが、重要な札を二つ失っても、それでも大漁旗の父ちゃんをあと一歩の所まで追い詰めるんですが、翔が実はこの父ちゃんとカード交換をしていて、その時、翔が与えたカード「飛び散る火炎」で持ちこたえられて負けてしまいます。
アイちゃんの強さの格は保ちつつ「運がなかったから負けた」→「運がないと負ける」という語りは上手いと思います。

このカード交換の伏線は、アイちゃんvs父ちゃんでは、こちらの不利に働いたけど、逆に次戦の翔vsコーダイでは、翔の有利に働いて勝利を得ます。また、この戦いでは「タイダル・ウェーブ」という技カードが連続的中して苦戦させられるんですが、これがその後の戦い、トオルvs祖父ちゃんでは、コーダイが「タイダル・ウェーブ」のカードを欲しがって、けっか祖父ちゃんのデッキには、大海系デッキの必須カードとも言える(?)「タイダル・ウェーブ」がなくなっており、その為に負けるという…wなんという勝負の綾



突撃ムスタング「オ、オヤジ!ひょっとしてオヤジじゃねえのか?であります!」
怒濤ムスタング「おう、せがれか?大きくなったな…」
翔「え、ええ〜!今度は親子なの?」
突撃ムスタング「このオヤジ、一つの所に留まって居られない放浪癖がありやがった…であります!」
(中略)
突撃ムスタング「でも、そんな事はもう気にしてねえ!…であります!今はこうして思う存分突撃できるんじゃねーか!…であります!」

そしてこの自分語り!ヒュペってるよ!「カードライバー翔」!
ヒュペリズムも半端ねえよ!!


※ヒュペリズム…ゲーム愛のような……もの(?)詳しくは「スケット・ダンス」参照
チーム大漁旗との戦いはAパートでアイvs父ちゃん、Bパートで翔vsコーダイという構成で、次回のAパートでトオルvs祖父ちゃんをやり、Bパートでは休憩時間と次の対戦相手の紹介をしていますね。このボリュームも見応えが出ていて、すごくいいです。ほんと、もっと評価されていい作品だと思います。

#531 {作品チェック}{OPチェック}機動戦士ガンダム00 第2期後期OP
投稿者:ルイ [2009/01/12 23:01]

絵コンテ=寺岡巌
演出=水島精二・角田一樹・北村真咲
作画監督=キャラクター 千葉道徳
メカニック 中谷誠一
原画=木村貴宏・中田栄治・千羽由利子・板垣敦・坂本修司・石田可奈・岡山思奈子・森寛之・佐光幸恵・橋本裕之・小暮昌広・田畑嘉之・波部崇・渡辺義弘・三輪和弘・森賢・斉藤久・ジミーストーン


 厳しい現実において、例え今叶わなくても、甘い夢想に過ぎないと思える理想を敢えてふりかざす事の「意味」を問う(主観イメージ)「ガンダム00」、後期OPです。原画に木村貴宏、中田栄治、千羽由利子…と、「コードギアス」のメインどころが集結。「土6」バトンリレーを感じさせると同時に、サンライズの大作バドンタッチのような意味合いも感じさせる豪華面子。「ギアス」自体は後期OP、こんな豪華なアニメーター集められなかったのに…やっぱりその頃、彼らは本編かかりきりだった=スケジュールが厳しすぎたって事でしょう(笑)。

 多くのアニメーターさんは決められた絵柄にある程度自分の絵を寄せていく技術を持っているはずですが、期間がかぶっていたり、間をあまり置いていないと前の絵柄を引きずっているような事が結構あって(例・「マクロスF」第8話「ハイスクール・クィーン」のしゅごキャラっぷり)このOPも、ガンダム00組の作画監督による修整が入っている割にはギアス度の高いものになっています。元の原画が上手い人ばかりだから、線が活きちゃってる場合、同じアニメーターとしてなかなか「(上手いけど)俺らの絵柄にしろ!」とは言えないと思いますしね。まあ、一番はここでしょうか。

 やあ!スザク久しぶり!!何かソフトな髪型になったのね!!…って沙慈・クロスロードくんでしたかw完全に表情も手先もギアスです。口元の台形処理がまったく同じ。沙慈の必死→悲嘆→希望に繋がっていく表情付けの巧みさからして、千羽由利子さんでしょうか。本編の4年後沙慈くんはなにやらもっさりしたデザインになっているので、寧ろここを参考にした方がいいと思うくらい、かつての可愛さを残しながら「成人化」しています。上手いなあ。

 OPのコンテを描いているのは、寺岡巌さん。本編でもコンテを描いてらして、既に作品は掴んでいるであろう方です。水島監督も演出として参加しておられるので、その演出は作品に則っている…とは思うのですが、ギアスのように監督自身がコンテ切っているわけではないので、100%とは言い切れないかな?水島監督がコンテ切ってくれればなあ…まあ、寺岡さんが映像的な意味での「ガンダム00」監督のようなものなのかもしれません。実際、一期含めOPではコンテ皆勤賞。ただ…少し意地悪く捉えれば、監督自身に「こういう絵で表現したい!」という欲が無い分が、紡がれる物語と、そこで描かれる映像との繋がりを弱めているのかも…。




 冒頭。頬の柔らかなラインであったり色々木村貴宏さん臭いです(特にフェルト)。裸のおにゃのこ達だからキャプしますた。…すいません嘘つきました。…すいません嘘つきました(どっち?)。と、冗談はおいといて「何故この4人なのか?」というのは気になる部分です。上段左のマリナ・イスマイールと下段左ルイス・ハレヴィについては物語における重要度から言って全く違和感がない選出かと思うのですが、残り2人が上段右フェルト・グレイスと下段右アニュー・リターナー。この作品、群像劇の形をとっている以上キャラクターが多く、他にもここに登場してもおかしくない女性は沢山います。例えば、マリーことソーマ・ピーリス。ですぅこと(こと?)ミレイナ・ヴァスティ。くぎゅうこと(ことじゃねえよw)ネーナ・トリニティ。弱い姉御こと(笑)スメラギ・李・ノリエガさんもいます。すっかり影が薄くなっているものの、変化丸投げ傍観者こと(もう適当)王留美あたりも。このへん、スタッフの繋がりから「ギアス」をイメージするまでもなく、やはり最初には「対置」を思い浮かべますよね。4人のガンダムマイスターの各々に対する為の、この4人なのかと。実際次のカットは男性陣なのですが、そこを見ても疑問は残ります。


 刹那の目が、ガンダムを見ないでもダブルオーガンダムの目と自然と重なって「俺がガンダムだ」の到達点(妄信的な憧れから、自分の為す事それ自体が合わせようとするまでもなく「ガンダム」として同調しているという境地)を示しているのもポイント、というか一番大事な演出なのですが、ここは早々に処理して…。沙慈がマイスターと一緒に映っています。正式にガンダムマイスターに加わるというよりは、物語上の重要度がいよいよここまで高まってきた事の表れでしょう。沙慈とルイスというのは、視聴者の視点に最も近いキャラクターとして配置されているわけで。TVの向こうのように思えた戦争の当事者になっていく中で、彼らがどこに辿りつくのかという結末は、物語としても正直言って「やり逃げOK(正直すぎ?)」なマイスター達よりずっと大事な注目点。なので、沙慈がいてもおかしくはないんですけど…こうなると、男性陣が5人で女性陣が4人というズレが気になってくる。

 そもそも、男女のセットを考えようと思った場合、刹那とマリナ、沙慈とルイスは当然として、フェルトは…ロックオン?アニューは?…今週ロックオンと少し近づいてましたけど、実質彼女「無自覚スパイ」でしょうから、寧ろ種族的にティエリアと結ぶべき?…アレルヤの相手がいませんね。と、いうか。男女のセットで組もうとした場合、ここにソーマ・ピーリスがいない事自体が凄い違和感です。鉄板じゃないか、そこは。この違和感から、2つの可能性を提示します。

・男女の組み合わせを考えてではない
 冒頭の4人は、マイスターありきの選出ではなく、4者4様の象徴を抱えているという見方。マリナ・イスマイールは亡国を嘆き、平和を願う「マクロ」の立場。フェルト・グレイスは帰らぬ仲間を刻み、家族という形態を思う「ミクロ」な立場。ルイス・ハレヴィは失った平和な日々から背を向け、復讐を誓う「個人(ミクロよりも更に収束した)」の立場。最後のアニュー・リターナーはその生まれ自体(イノベイターですよね?)が持っている「人種(生体)」としての立場でしょうか。「コードギアス」における折鶴→白い鳥(羽)のように、蝶を漠然とした「平和」「理解」の象徴として捉えた場合、これで、この4人である理由たりえるかなと。ミレイナはフェルトと同じ立場でしょうし、ソーマはルイス。スメラギさんはルイスとフェルトの間を行ったり来たりしてる弱者ですし(笑)王留美はそういう意味では、蝶自体を求めていないかもしれませんよね。それなりに通る読みだと思いますし、ルイスが蝶に対し諦めを顔に貼り付けながら、しかし手自体は伸ばしている所などに彼女の「求めてはいけないものだけど、求められるなら求めてしまう」本性が描かれているようにも思えます。
・5−4=1。現実は残酷である(JOJO風)。
 ソーマがいないのは、意図的に外したから。つまりアレルヤの相手はいません、フヒヒ(笑)。という、愉しい妄想読みです。


 何かに気付き慌てて後ろを振り返るアレルヤ、それに続いて目を向けるソーマ・ピーリス(うーん、何度書いてもしっくりこないな…フルネームなら語感いいけど、「ソーマ」ってイクナイですよね。超兵ちゃんって言いたくなるw)。その先には元荒熊さん現いいお父さんことセルゲイ・スミルノフ大佐の後姿。ここの読み方も何種類かある事はあって、例えばアレルヤとピーリスを素直にワンセットと捉えた場合、ともに去り行く大佐の後姿を見つめるというだけの意味になり、このシーンの意味は寧ろ最後の「セルゲイの後姿」だけにかかるんですよね。セルゲイが死んでしまうのか、といった類の不吉演出。ただ、現状の「5−4」読みだと、セルゲイ大佐のカットに残るソーマの髪を文字通り「後ろ髪」として捉え、そちらに引かれるソーマ、という捉え方ができると思います。つまり、ソーマはセルゲイの元に帰っていくのではないか、と。

 アレルヤとソーマ…というかマリーが抱き合った時から、個人的な違和感として「マリーが圧倒的に強い」というのがありました。ソーマ・ピーリスとしての人格は、確かに状況が勝手に押し付けた、第二の人格かもしれない。けれどこの世界で何年もの時を刻み、そこでソーマ・ピーリスとしての縁を築いてしまったら、ソーマ・ピーリスはソーマ・ピーリスで完全に一人の人間ではないか?それを、「後からの人格だから」という理由だけで、あまり深く考察せずに優劣判定を下してしまっているように思えたのです。アレルヤとマリーの結びつきが運命的で美しいあまりに、そこに視聴者の視点が向かないようにされた、と言ってもいいかな。最初はそれを、構成・黒田洋介さんなりの倫理観なのかな、と思って流そうと思ったのですが…流さずに引っ掛けた場合、こういう読みが出てくる。つまり悲劇は現実のどこにも転がっている。マイスター達各々の事情や動機しかり。ルイスの腕損失しかり。けれど、それを踏まえた上での出会いといったものもある筈ですよね。作中ではフェルトが体現しているものだと思いますけど、父母を失ったソレスタル・ビーイングで、クリスティナ達を失ってもなお、だからこそ出会えた「守るべき家族」として彼女にとって今のトレミーは映っている。…で、なんかこのフェルトの感覚を通した(麻雀的な意味でw「可」としたって事ですね)場合、同様に、やっぱりソーマ・ピーリスにとって、ソーマ・ピーリスとしての日々はそんな簡単に「マリー」に負けるものではなかろうと。そう思ってしまう僕には、EDのクレジットで相変わらず「ソーマ・ピーリス」としてクレジットされる事にも意味を見出そうとしてしまうんです。あれ、マリーじゃないの?ふーん?みたいな。OPが変わった今回(14話)でも、アレルヤのマリーへの気の配り方に違和を覚える。スメラギさんに「もう2度としないでください」とマリーの実戦参加を咎める彼は、マリー=ソーマ・ピーリスの一面、一つの真実から目を背けているのではないかと。…まあこの辺、先に書いた通り、黒田洋介さんなり水島監督なりの倫理観が普通に「ソーマは嘘人格ですから!マリーですから!」と言い切ってくれるなら、意味のない考察なんですけど…そんな浅い視点で、戦争の傷跡の「後」、テロの意味を描けるのかな?wと皮肉も込めつつ、一応可能性として提示しておきますね。正誤に限らず、面白い事は面白い視点なので。



 もう一点、刹那とルイスの激突、ルイス機爆発の光から沙慈のイメージカットへと繋がり、そこから沙慈とルイスの「平穏な日常」カットに続いていくという部分。刹那がビックリした顔をしているのが細かい。お前はもう日常に帰れ!ここはお前の場所ではない!とでも言わんばかり。単純に敵とあい見えて・・というカットを組みたいのなら、最初の表情は要らない表情です。そして、最低限これくらいの画像サイズにしないと伝わらないでしょうけど、沙慈の体から、指輪が宙に浮かび上がっていっている(左肩のすぐ右)。で、このカットから右にPANしていき、続く日常パートも右PANしながら最終的にカメラが「ルイスの左手薬指の指輪」に止まるという、ここは巧みですね。沙慈の思いがPANに乗って届いた演出になっていますし、沙慈の最後の表情も、その笑みに見える。映像通り、刹那に撃墜された時に見えた一瞬の幻に過ぎないのか。それとも、戦いの悲劇を経てなおここに辿り付ける、たどり着かなくてはいけない未来としての示唆なのか。間違いなく、沙慈とルイスのドラマは「ガンダム00」の1つの軸です。


 流石ギアスで手の動きを描き続けた作画陣。ギアス組を呼んだ甲斐のある、手先芝居の多いOPですが…躊躇いがちに伸ばされたその手は、もう一つの手と繋がれる。虚空に向かって手を伸ばしたルルーシュの対比としても面白い所で、ここで紛れも無く刹那は「手をつないでいる」んですね。相手は描かれていませんが、おそらく誰もがマリナ・イスマイールだと思っているでしょう。

 そしてラストへ。暖かい手と手を繋いでなお、ガンダムマイスター達は四方に、一人一人散っていく。前期EDでもあるように、これまで「1つの方向に歩んでいく」マイスター達を強調してきているわけですから、ここには意味が感じられます。マイスターの、それどころかソレスタル・ビーイングという存在の消滅を示しているのかもしれません。願わくばその時、彼ら4人が充足の笑みを浮かべていれば良いですね。…あと、トレミーという家族が形を変えても残っていればいいですねえ…。まあ全体的に、本編とは打って変わってあまり欲張らない、スマートなOPでした。出ていないキャラクターも結構多くて、ですぅちゃんことミレイナ、スメラギさん、シーリン、ネーナ、王留美、片桐、池田(笑)…色んな人が涙目なOPではあるんですが(笑)群像劇と言いつつも、最終的にはガンダムマイスター4人の周囲さえ処理してしまえば、それで十分群像劇たりえる。そこが、ルルーシュ中心に全方位的にキャラクター広げに広げて、最終的にルルーシュ個人に纏める際に色々端折らざるを得なかった(そしてそれが端折りに見えてしまった)「コードギアス」と比較して、ガンダム00の有利な点だと思います。

#530{作品チェック}{演出チェック}イナズマイレブン 第13話 決戦!帝国学園・後編!!
投稿者:ルイ [2008/12/29 21:54]

鬼道「ゴッドハンドを破る為に編み出した必殺技…!」

【公式HP】http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/inazuma/
脚本:山田健一
絵コンテ:矢野博之
演出:山田宏和
作画監督:松坂定俊
総作画監督:池田祐治


 遂にそのベールを脱いだ、帝国最強の必殺技「皇帝ペンギン2号」!突然だがその愛らしくも愛らしい(?)技について、技術的な解説をしておこう!

ピゥイ!(口笛)

鬼道「皇帝ペンギン…!」

2号!!!


遠藤「勝負だ、鬼道!ゴッドハンド!はぁぁ!」


ゴォォール!!!!!!!

 皇帝ペンギン2号はまさに「対ゴッドハンド」の必殺技。ゴッドハンド、その鉄壁の守備力はどこから来るのか?それは、手の巨大さから。ボールがいかな威力を持とうとも、大きな掌で包み込んでいる内に、外側の5本の指(360度)から一点に集中してエネルギーがかかり、ボールの力を圧してしまうのです。それに対抗する為鬼道が編み出したのが「鳥類最高である、皇帝ペンギンの潜水能力を利用しよう」という生物学的見地からも正しいアイディア。水面から飛び出る時の皇帝ペンギンの迫力…まさに鬼道の知性が滲み出る発想。勿論「帝国学園だから」皇帝ペンギンという言葉をつなげるセンスの良さも忘れてはなりますまい。ここでワルキューレを思いついてしまうようでは程度が知れるというもの!!指の数に合わせる為数減らししたように見えちゃうでしょ、それじゃ!…そしてこのアイディアの素晴らしい所は「同時攻撃」にあります。5本の指先をまったく同じタイミングで押し込む事で、その押す力は5倍、いや5倍の5倍で5乗!しかも、指先を突かれると人はこそばゆいし、力が抜ける!(興奮)更に、今の鬼道はワンマンプレーヤーではない。自らのシュートだけではゴッドハンド破りは難しいと悟るや、ツインシュートによるシュート力ブーストというものも組み込んでみせたのです。何故「2号」なのか?それは、「1号」が鬼道単独の必殺シュートであったのに対し、チームメイトとの協力で生み出した改良版だから。「皇帝ペンギン2号」…その必殺技には、帝国のプライド、鬼道のサッカーへの情熱、卓越した技術と知識、緻密な計算、そして仲間との熱い想い。全てが詰まっているのです!!!!(涙目)

※巨大な手。ペンギン召還方法や5乗などへのツッコミ禁止

 そんなこんなで「皇帝ペンギン2号」にすっかり心奪われてしまいましたが、その中で、今回の演出のポイントを一点挙げろ!と言われたら…「目」を挙げたいと思います。その事を語る為に、まず以前「諸評」で書いた自分の感想を引っ張ってきましょう。

この作品、後ろ暗い所のある「大人」は皆メガネなりグラサンをしている、という共通点があって、そんな中鬼道も目を隠している。そして彼の妹は、オデコの所にメガネを上げているのを常態としている。彼女なりに鬼道との関係を隠している「僅かながらの後ろめたさ」の演出か、或いは「そのうえでなお、目を出せる」ことの演出か。いずれにせよ、鬼道さんが決勝戦の途中でメガネとって、そこでまた「イエーイ!ピピーピピーピー!♪」と鳴り出した日には、えらく感動しそうです。まあカタチはそうである必要ないんですけど、とにかく期待しています。

 「カタチがそうである必要はない」と予防線を張っている事からわかるように、自分としてもそこまで自信のある解釈ではありませんでした。実際この決勝戦を通して、鬼道はメガネを取る事はなかった。その点だけ取ってみれば、ただのハズレ読みです。…とはいえ、視点は悪くなかった。自分で悪くないとか言うのも口幅ったいですけどw何故メガネを取ると考えたのか?それが有効な演出たりえると思えたのか?という、理由の部分を辿っていくと、今回の演出との共通点、視点の近さが見えてくるかなと。僕自身は、最後の選択が違うだけで、大きな違いはないように思っています。

 今回のエピソード、展開そのものの注目点は勿論「雷門は帝国学園に勝てるのか?」という勝負の部分。ただ物語としてのメインは、当然かつて同じ孤児院で育ちながら、住む家を違えている兄・鬼道有人と妹・音無春奈の関係修復への物語です。

鬼道「春奈をいじめる奴は許さない!」
春奈「どれが本当のお兄ちゃんなの?」


 妹、春奈の視点で映像が作られている部分。彼女の回想から今の鬼道の顔にカットを重ねていく事で、兄・鬼道が「変わったのか?」を問いかけています。あの頃のお兄ちゃんはまっすぐな目で、私を守ってくれた…今はどうなのだろう?それを比較しようとして脳裏に宿るかつての鬼道と今の鬼道を重ねようとすると、やはり最大の障壁はメガネ。目は口ほどにものを言う、なんて改めて言う必要もないほど、目というものは感情を表すもの。今の鬼道は底の見えないメガネをしている事で「何を考えているかわからない」事を外見からも演出しています。その点では、メガネを「感情を隠す演出道具」として利用している事自体はかなり確実に思える…だからこそ、ここでメガネを取って、ハツラツとサッカーをする=やっぱりお兄ちゃんはあの頃と同じ、何も変わっていない!と春奈に実感させると同時に、鬼道自身も妹の為に戦ってきたという動機、全てが明らかになり隠し立てする事がなくなって、解放される…という演出があるかな?と思ったわけです。ところが、実際はそういった確執氷解は、セリフによって為されていきます。

春奈「やっぱり私が邪魔なんだ…」
鬼道「…一度もなかった」
春奈「え?」
鬼道「お前を忘れた事は、一度も」
春奈「…!」


 試合中、鬼道の足を思わず手当てしにやってきた春奈とのやり取り。一枚目の時急に線が太くなって、作監修正でも入ったのかな?ワンカットの気合が伝わってくる画です…ってあれ?作画チェックじゃなかったw

鬼道「いい父さんと母さんなんだな」
春奈「うん!」
何も…何も変わっていなかった!あの頃と同じまま…!
春奈「ありがとう!お兄ちゃん!」


 試合後、鬼道が妹と暮らす為に戦っていた事を知り、駆け寄ってきてのやり取り。どちらも完全に言葉と言葉のやり取りによって、わだかまりは解消されています。一つ目のシーンでの鬼道はメガネを外すどころか背を向けているし、最後のシーンでも鬼道はその表情を露わにしない。でも、通じ合っている。つまり、「メガネによって心の奥が見えない」という演出自体は使いながら、そこで「見せる」事で解決を表現しようとしたのが僕の読みであり、「見せなくても、伝わる」事を表現したのが本編の採った演出なのだろうと言う事です。目を出さない事で、逆に目を出さない意味と、その結末について描く…直接描写をしない事で想像の余地を残した、素敵な演出ですね。


 …で、ここまでが基本本論で、ここから先は軽く妄想が入っています。実は僕が一番感動したのは、「皇帝ペンギン2号」で、ゴッドハンドと押し合うペンギン達が最後の一押しをする時、目が爛々と輝いたその瞬間なのです。

 回想パートからわかるように、鬼道の目は赤い。その彼自身は今の目を見せる事はないのですが、その「今の彼」が放ったペンギン達が、彼の幼い頃そのままに、赤い目を輝かせて、まっすぐと獲物を見つめていた。ここで「鬼道自身が目を見せなくても、この皇帝ペンギンを見ればわかる!鬼道はそのままなんだ!!」と、えらく感動してしまった、というわけです。

 自分でツッコミますけど、この演出が確実に「意図通り」とは断言できません。まず風丸はじめ作中に目の赤い選手は結構いますし、単に「皇帝ペンギン達が本気を出すアピールをしようとして、目の色変えただけ」という可能性もあるわけです。でも、これが映像作品の面白い所で…意図によるよらないに関わらず、「そう読める」んですよね。もし皇帝ペンギン達の本気演出が、同じ目の演出でも「目がカッと光る」という類の演出なら、僕のこの深読み、半ば妄想じみた読みですが、その読みすらも介入する余地はなかった。可能性のない読みは、ほとんどイチャモンみたいなものですしね…それなら流石に、妄想だの断る以前に、書こうとすら思いません。控えます。でも事実、皇帝ペンギンの目は赤く光った。鬼道は目を見せない演出を徹底したまま「変わっていない事」を表現した。…ならば、ペンギンに「今の鬼道」を見て感動するのは、そんなに突拍子もない感じ方では無いのではないでしょうか。


 今回は「目」というキーワードを中心にした演出について触れましたけど、今回脚本コンテ演出(作画も)、かなり良質な1話でした。脚本で言うと、夏未お嬢様の「私は彼より優秀なキーパーを知ってるわ」。お嬢様がそのセリフを口にしながら遠藤を見る、という演出が最も直球でしょうが、ここで夏未がボールから目線を逸らさず、代わりに木野マネージャーがその発言がすぐに遠藤の事を言っている、と察知して遠藤の方を向き、しかも木野しか知らない「遠藤の逡巡」への心配へと繋げていく、この脚本とコンテ演出のあわせ技はかなり見事です。木野がお嬢様の言うキーパーが誰か瞬間で理解できる(というか、木野もそう思っている)事、お嬢様自身は「自分をサッカーに夢中にさせた遠藤が上である事に疑いはないから、遠藤に対して目を向ける必要もない」事、そして「同様に遠藤を評価しているものの、遠藤の迷いを知っているがゆえに、夏未と違って遠藤の方を見た=心配した木野」という、各キャラクターごとの考え方やそれに基づいた所作が、実に正確に描かれています。それは全編通してで、特に好きなのは元帝国スパイ、土門が顔面ディフェンスでゴールを守った時の、帝国イレブン横PANかな…

土門「遠藤、俺も雷門イレブンになれたかな」
遠藤「当たり前だ、お前はとっくに仲間だ!」


鬼道「いい仲間を見つけたな、土門」

 敢えてセリフのない敵をPANして、全員に笑わせている=皆「いい仲間を見つけたな、土門」で通じている、という事を演出していたり(このワンカットのあるなしで、帝国イレブンへの好感度は段違いですよ?)…土門が負傷交代する時も、観客の拍手が鳴り出したり…指摘し出すとキリがない。ハーフタイム時の雷門メンバーそれぞれの反応の違いも良かったなあ。お嬢様は口で指摘し、風丸たちは遠藤が不調と感じたから何も言わずフォローにまわり、エースFW豪炎寺は自らが本気で臨んでいる試合だけに、遠藤がそうではない事に気付き…でもお嬢様と違ってフィールドプレイヤーである以上、フィールドでそれを指摘しようとした。あらゆる所に視線が行き届いている、大変良い脚本演出の回だと思います。僕は、この回の主要スタッフの皆さんが、この作品の「ローテーション・エース」だと思いますね。脚本の山田さんは僕の好きな6話「これがイナズマ落としだ!」の方、コンテの矢野さんは本作初登場、演出の山田さんは2話「帝国が来た!」の方、作画監督の松坂さんは1話6話そしてこの13話と、完璧に「メイン回」用の方。1クールじゃそんなの見つけてもすぐ終わっちゃいますけど、2クール、理想を言えばそれ以上の長さを持つ作品でそういった自分にとっての「エース」スタッフを見つけると、鑑賞が更に楽しくなると思います。まあ…ある程度面白い作品じゃないと、そんなもの見つけようとすら思いませんけどね。イナズマイレブン、とても面白い作品です。

#529{ガンダム00}チャット ソレスタル・ビーングの征く道
投稿者:LD [2008/12/26 05:24]
■2008年12月21日

【物語三昧:ソレスタルビーイングの動機が分からないなぁ】http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20081219/p1

LD >> ペトロニウスさんのブログで「ガンダム00」の話題があったのですが、もうコメント上がっているかな?僕は「何かいろいろ考えさせられるので、けっこう好き」みたいなコメントいれさせてもらって、自分で自分を「こいつ何でもかんでもだなあ…(汗)」みたいに思いました。>ポジティブ
LD >> ん〜…二度、同じ文を投稿している…orz >「物語三昧」
ルイ >> 前LDさんがラインバレルに言っていた、『何故ダメなのかの愉しさ』ってのには僕も肯定的なんで・・・正直ガンダム00は好きですね。評価しているというのとは違うんですが、何も考えずに素通りする感じでもないので。
LD >> そう。CBってやっぱりダメな組織で、多分、イノベータもけっこうダメな集団……ダメっていうかつっこみ所が多い連中なんですよね。…でも、そのツッコミの意味を考えているとけっこう愉しくなって来ますw>「ガンダム00」
LD >> これは書かなかったんですけどCBの思想って、基本的には「沈黙の艦隊」とかなり近いはずなんですよね。
LD >> …でも海江田が支持されたり、彼の思惑で世界が変わったりして行くのは、彼が「専守防衛」の姿勢を見せたり、そういう自分を演出する行為がすごく上手いからなんですよね。
LD >> 米潜水艦シーバットを強奪して世界を脅す海江田が、果たして本当に「防衛者」なのかは大いにあやしいわけですけどw…何が言いたいかというと、CBと「沈黙の艦隊」は実は思想的にはそう差はなくって、ただ、作戦あるい自らの演出行為の差だっていう観点はあると思うんですよね。
ルイ >> ん、ざっと読みました>ガンダム
ルイ >> これはペトロニウスさんの仰っている事は、実に自然というか・・・寧ろそれがマジョリティなんじゃないかって思うんですよね。皆感じないのかな?じゃなく、皆感じてる事なんじゃないでしょうか。
ルイ >> その証拠というか、本編でカティ・マネキンが「だからわれわれは戦術予報士になったのではないのか、九条!」って言われたら、誰にも反論できないという。このあたり、黒田さんや水島監督が意識して組んでいるのなら、面白いものが観られそうにも思います。でも・・・それならアロウズ出さないよなあってw
LD >> ペトロニウスさんとは、けっこう長い事、「ガンダム00」については(局地的な小競り合いは在っても大局的に観て)「あの世界はどうみても、平和統一の道に向かっている世界に見える。なのに何故、あんな性急な事をしようとするのか?」って話をしていますね。
ルイ >> どうでしょうね。宇宙進出の段階に至っても、軌道エレベーターは三本生まれてしまった。そして国家的に宇宙産業に貢献できないなら、そこは切り捨てられていく・・そういう世界ではありますよね。まぁそれも眺めていれば数百年で解決、というか切り捨てられた国家が消えて終わるでしょうけど、今ある想いの話なんで、それは勿論マクロ視点からすれば糾弾されうるし、されたときに反論する言を持たないでしょう。でも、そこで声を上げる事をやめていいのかって・・・・・・・・・・・・・・・・・テロリズムの論理以外の何物でもないのは何故だw
ルイ >> 基本的にはCBという組織は、イオリアの脳の、しかもミクロ部門の亡霊みたいなものですよね。今CBに属する人間で、自分で考えてる人ってそんなにいないんじゃないでしょうか。とにかく、イオリア・ミクロ部門としての「分」を果たそうとしている。・・で、僕はそれ自体はともかくとして、なら「相手」は、イノベイターが言った通りマクロになる筈なんですよね。CBの正義云々ではなく、その対立軸さえハッキリしてくれたら文句はない。最終的に掃討されるの結構、それでいてマクロにミクロな楔を打ち込む物語かもしれない。・・・・でも、実際はアロウズに「目立つ残虐行為」を行わせて、CBに「怒らせる」じゃないですか。これがね、一期の時の釘ガンダム同様で、無理やり正義の味方に見えるロジックを組もうとしているようで、何やらイライラするんです。
ルイ >> →でも、キャラは一期の時より気持ちよく喋ってると思うおw
LD >> …で第二期になってアローズなんて分りやすい敵を作った事には最初がくっっとしなかった分けではないんですよね。だって「こいつらが悪いんだ!こいつらが戦争を生むんだ!こいつら倒せばいい!」みたいな展開じゃないですかw……そうじゃないから、この話は難しいんでしょ?って思いますよねw
ルイ >> そう、僕はCBより、アローズの存在にこそがっくりきますねw
ルイ >> まあ「テロにも理由はある」という、想像力を及ぼす為のツール、プロトタイプになろうとしているのかもしれませんね(好意的

LD >> …でも、俯瞰してみると、セツナを中心とする「世界が平和的に一つにまとまって行こうとするから見捨てられる人々」ってのはいるんですよね。その彼らが「俺達を見捨てている事を思い知れ!」ってテロに走るのは実は分る話…だと僕は思ってしまう。
ルイ >> むう、何か近い話をしている・・のかな?
LD >> 近い話をしていますw
LD >> 少なくともイノヴェータたちは自分らの望む世界を手に入れた後はアローズ的なものが出てこないプランになっているようですね。…これ、イオリアにとってCBとイノヴェータのどっちかが“出汁”なんでしょうねえ…。あるいは二つの計画を相喰ませて、その結果は天意に任せているとか?
ルイ >> ああ、そこですよね。10話あたりでイノヴェーターが、イオリアの気持ちを勝手に結構代弁しちゃって・・・「おいおいそこは視聴者に考えさせろよ」って思ったりしたんですが・・・二つの気持ちの相克、みたいな事を彼は言ってましたよね。  で、実際のイオリアはどうなんだって話なんですが、少なくとも「トランザムモード」はCBを薄い出汁にする為には必要ない機能だと思うし、あの時わざわざ顔まで出して喋ったなら、そこには「想い」はあったと僕は信じてます。まあ、それはイオリアもまた人である、という程度の信頼に過ぎないんですが。
LD >> ただ、最後は天意まかせだとしたら、そこはどうなのよ?イオリア?って思ったりもしますw さすが金持ちは予算が余っているというか、この大がかりな計画に自らの葛藤をそのまま持ち込んだねえ…とw
ルイ >> いや、今の所僕はそうじゃないかと思ってるんですけどねw>葛藤200年丸投げ イオリアをこれ以上巨大な人間にして、イオリア爺さんの物語でしたね・・・って組み方はしないんじゃないかと思うので。
ルイ >> 「べき」で考えればイオリアほどの人物、マクロなイノベイター路線が是だーなんてわかってるはずで。でもそこで残るこの胸の痛みはなんだ、マクロのためだカットしろと自分のある部分は叫ぶが、しかしそんな割り切りが人間たりえるのか・・・なーんて葛藤の産物だと思ってたりして。特にトランザムモードとツインドライブは最後の駄々みたいなw
ルイ >> 富野さんが書いた「閃光のハサウェイ」と、近いところを目指すのかな・・・と思ったりもするんですけどね。あれは最後は個人の問題に収束しちゃったけど、構造的には。
LD >> たとえばチベットの問題とか、これ「平和的に解決する」ってどういう意味かっていうと〜まあ、そもそも平和のボーダってどこ?経済制裁は平和的な行動なの?って議論がそもそもあるんでしょうけどw〜まあ、ともかく平和的に解決して行く仮定で、相当な数の人間がやっぱり見捨てられているんですよね。彼らは今すぐ助けが欲しいのに。
ルイ >> はい。で、今ある助けを力にすると、それに対して「世界の大きな流れを止めるな!」っていう「世界という名の力」が働く・・・そこに善悪判断はないんじゃないかって話ですね。だからテロ礼賛ってわけじゃないですけど、テロ肯定・・・いやまだ違うな、テロ必然の物語ではあるのかなと。   ま、最後にアロウズのボスとアムロをコアファイターで貫く話になるかもしれないしい?w
LD >> 一昔前ならねえ……ちょっと空想戦記みたいな語り口になって恥ずかしいですけど、一昔前なら、ロシアなり、インドなりが、チベットを正式な国家と認めて彼らと同盟を結び、そして彼らを今すぐ助けるためにチベットに侵攻する時代だったんですよね。一昔まえなら…いや、今でも無いわけではないですけど。
LD >> その侵攻は後の歴史では侵略と語られるかもしれないけど、実はそうはならないかもしれない、でも、それによって今すぐ助かる人もいるかもしれないし(今すぐ死ぬ人もいるけど)、何より死ぬにしても敵とまともに戦って死ねるんですよね。
ルイ >> そうですね、明確な目的がある。
ルイ >> 姫様が国家を捨てて地球人になるまでの物語なのかな、と思ったりもするw
LD >> まあ、平和的解決なんて言ってもお花畑を耕しているわけではないんだよな……ってのは僕がこの島国から世界を観た実感ですね。
ルイ >> 最大多数の最大幸福、とやらに人間が皆迷いなく邁進できるなら、その種は人間なのかって話・・・なのかも。とにかく、CBがペトロニウスさんの理屈でもって論破されちゃうのは、さすがに意図してのものだとは思ってます。嫌いなのは、仮初の良い人っぷりをアロウズ作って演出してることだけでw
LD >> 「テロリストは何で関係の無い人まで殺すんだ!」って憤るのはもっともですけど…でも、そうやって見捨てた全ての人を敵とみなしているなら、実はそれも分る話なんですよね。だからテロに走った者は見捨てるんじゃなくって、明確に「殺さないと」いけない。
ルイ >> テロリストの「根拠」の話だとするなら、やっぱり釘ガンダムが完全にノイズだった、とは今でも思っています。そのしわ寄せが連鎖し続けてアローズに至っちゃったのかなあ。
ルイ >> ま、意識するしないに関わらず内包する「テロリズムの生み出す”可能性”」を、釘たちに代弁させたって事ですよね。そこがな・・・ルルーシュと比べて覚悟が足りない作劇だなあ。
ルイ >> 元超兵さんとか、完全に無主義で清々しいですw守りたい人がそこにいるから、私もそこにいる。できる事があるならする。もうミクロを極めつくしたようなキャラになって、マリー・・・。
LD >> …で。ああ、マリーですか。あまりにあっさり荒熊さんから離れたので、多少ショックでした……orz でも、まあその可能性は常に留意していましたw
ルイ >> あれ、シゴフミなら荒熊さんからあんなに簡単に離れないですよねw←わかりにくい
LD >> わかりにくいが、同感です。(`・ω・´) >シゴフミなら
ルイ >> ソーマ・ピーリスとしての人格をあっさりと従格に押し込めているのが、何か喉越しさわやかだなあってw時間を積み重ねたのはソーマの方が長いんだけど。上書きされたもの=偽りって事かな?わかりやすい倫理観で結構ですw
LD >> いや、ソーマ・ピーリスが残っていて、それでもなおハレルヤの元に行くって事のようなんですけどね。……ちょっと細かくつっこむと、本当にハレルヤ、荒熊の天秤でソーマ・ピーリスにはそれだけしか無かったんだ…という事に違和感がないでもないです。
ルイ >> ・・あ、そうか。アレルヤと荒熊さんが対峙してとどめって時に、マリーがアレルヤを撃てば完結するな・・(妄想中
ルイ >> はい>残っていて でも葛藤というほどの期間もなく、無条件に「アレルヤで当然じゃん?」って組み方をしていたので。・・・で最近、熊さんを色々気にかけていて・・・この演出のゴールを探すと、↓で言った事になるとw
LD >> ソーマ・ピーリスは、軍人ソーマ・ピーリスとしての人生を歩んで自然とその足場を固めてきたわけで……その全てを捨てるから恋物語は美しいんだ!って話もわからんではないんですが…う〜んとwそれでもハレルヤの元にいけない恋物語の方が美しくない?とか?w
ルイ >> ロミジュリですねえw
ルイ >> まあ、今熊さんを心配するマリーの演出ってのは、そこ=ソーマの尻尾 の為以外の何物でもないと思うので、ただの感傷からの演出か、仕掛けかを注目しましょうw

LD >> …で、セツナですけど。何か彼がすごく可哀想な子だと思ったら分る気がしました。僕は今、彼をCBという別のカルトに取り込まれたとしか観ていないからw
ルイ >> 刹那は一期の終盤で、結構悟ったというか・・・最初に言った「分を弁える話」に、もう魂から乗っかった子ですよね。そう考えると、彼が主人公でもこの先揺らぐ事はないんだろうなあ。
ルイ >> カルトかー・・・w僕はCBという悲しい集団に身をささげる事を決意しちゃった子、という意味では「可哀想な子」だと思ってますけどね。でも、少なくとも彼はもう、CBのおかしな所もわかった上で「選んだ」ように僕は思ってますね。マリナへの手紙でそう考えている。・・・でも、この先どうなるかによってはわかんないw
LD >> 僕、エゥーゴもカルトだと思っているのでwそういう分類線だと思ってくださいw
ルイ >> なるほどwいや、カルトという言葉をどうって言うよりは、少なくとも少年兵してた時の「カルト」と、刹那の今の「カルト」は内実が異なると思うので、僕は寧ろ「取り込まれた」の方に異を唱えてあげたいんですよ(何かやさしげな言い回し
ルイ >> ・・・取り入れちゃった?w>取り込まれた
LD >> ああ、はい。自らの意志で選択した…って事ですよね。僕は、その選択も含めてセツナは「可哀想な子」(あるいは愚かな子)って事を強調したい言い回しになりますね。
ルイ >> そこは同感です>可哀想な子、愚かな子 まあ、愚かであることを自覚した上で選んでいるのなら、もう何もいえない・・・そういう話ですね。そしてCBそれ自体に拡大させても通じることから、文字通り刹那はCBを象徴してるんでしょうね。
ルイ >> つまりCBそのものが、愚かで、可哀想。「はかなくも永久のカナシ」「プロトタイプ」・・まあ、主題歌は口ほどにモノを言いますね。
LD >> マリナがセツナの恋人じゃないってのは、すごくしっくり来る話で……セツナに必要なのは母親以外の何者でもないんですよね。…で、CBの思想の胡散臭さは僕は動かないんですが、セツナが「俺を見捨てるな!」とその道を行く事は分るんですよね。そこはルイさんの「取り入れた」と共通する所かも。…逆にいうとセツナがいないとイオリアはじめとしてCBのメンツは皆かなり胡散臭いわけで。
ルイ >> CBのメンツは、多くはもう主義とかじゃなく自衛、家族を守る戦いをしてますよね。で、その胡散臭さも意図したものだとは思います。フェルトにルリルリさせて(戦艦内を家族と言い切った)、マリーはただアレルヤの傍らにいる。その形は計画的だろうと。
LD >> スメラギ・李・ノリエガさん、何か知らんが味方を沢山殺してしまったから、思いあまってCB運動に参加しました?……甘えるなよ学生wって感じですし。
ルイ >> 味方を沢山ってか、大事な人が死んじゃったんですね。で、マクロ>ミクロの計算式に首肯できなくなった。香月博士が知ったら鼻で笑いそうな話ですが・・・wつけずに言っておきたいのは・・・皆が博士になれるわけじゃない。人間が人間である限り、その「甘えた」ルートを選ぶ人もいるし、それは甘えといわれたら言い返す言葉もないし、でも、選ぶ事にその人なりの理はあるんですね。そこに理屈でもって「アホじゃね?」って言うのは、正しいけれど、一方ではまったく問題と関係ない感想、という風にも思うんです。まあ、難しいトコですね。
LD >> んんん…w>選ぶ事にその人なりの理はあるんですね。 僕はCBの思想……というよりその行為は「世界を憎んでいるなら」意味が通じるものだと思うんですね。そしてセツナは僕の感覚では「世界を憎んでいい子」だと思えるから、彼がCBの道をとるのは選択とも思えます。…でもスメラギ・李・ノリエガは大切な人を失おうが何だろうが、それで「世界を憎む」のは筋違いだと思う。そんな感じでしょうか。

ルイ >> そんなに「世界を憎んで」はいないと思うんですけどね。>スメラギさん ただただ、切捨てに耐えられなかった。そうしたら自然とCBに行き着いて、今度はCB自体がその「切り捨てられたくないもの」になった。そういう流れだろうと思います。   但し、二期までの間、ビリーカタギリのとこでただれてたって事は忘れてはいけないだろうと思います。その間、フェルト達は歯を食いしばってCB地下活動していたはずです。・・・ロックオンやクリス達を失った事で、また簡単に「やっぱダメだ」と思ってしまったんですね。そういう弱い人間ではあるのでしょう。
LD >> 今度はCB自体がその「切り捨てられたくないもの」になった >成る程。その流れは納得できます。今のルイさんの指摘でスメラギ・李・ノリエガさんが「観えた」気がします。
LD >> ……ん〜〜wしゃべっていると、何かいい作品に思えてくるから「面白い」なwいろいろツッコミ所満載のダメ作品だとも思うんだけどw
ルイ >> 「面白い」作品だと思いますよw ただ何度でも言うけど、仮の敵を用意してイイモン感を出す演出、ヨゴレ仕事を任せる為に釘を出す・・・そういう作劇が、おそらく自らを貶めてるとは思うんです。そこは多分、このままいくと最後まで変わらない印象だと思う。
LD >> 第二期のCBは、自衛、家族、の意味が強くなっていますね。そして先ほどから話していた「見捨てられて行くマイノリティ」と繋がって行っている。それは分る話だと思えますね。
LD >> イイモン感の演出のワケって二種類あると思って、一つは、第一期ってかなり分りづらい作品だったんじゃないかと思っていて、少し、ワンランク分りやすい話に落している面はありますよね。それはそれでいいというか好感持っているんですが→
ルイ >> 状況が、ってのはその通りですね。ただ、僕はルイス家族襲撃を「血染めのユフィ」と繋げて考えちゃうんだけど・・・
ルイ >> 「うっかりギアス」とはいえ、ギアスはギアス。責任はルルにあり、という組み方をしたうえで情状酌量として「うっかり」を使うギアスの作劇に対して、ガンダム00は「俺達より過激なスローネがしかも鬱憤晴らし程度の理由で知ってる人の人生ねじまげちゃった」てな組み方をしていて。CBの武力介入のやり方だろうが、死者は出る。そこで「切り捨てられることへの反発」から始まったはずのCBが、「ちょっと多く切り捨てた、その中に名前と声あるキャラがいた」という要素でもってスローネを敵視するそのロジックには、本当に無責任さを感じたんですよね。だって、一つ形が違えば、刹那たちの攻撃対象のあたりに偶然ルイス一家がいて、そこでルイスの足がもげて、薬だのみのヤバイ体になる事はあるわけですよ。アローズの失望感がそこまでいってないのは、ルイスの前例があるからなんだな・・・。
LD >> →イイモン感の演出のもう一つのワケは、たとえば「テロリズムにも正義がある!」というような話をまともに前面に押し出してTV放送するのは難しい状況があるなあ…ってのがあって。それでも「ガンダム00」はそれに関してはかなり踏み込んでいますけどね。…いや、黒田先生が本当にそういう主張をしたいのかどうかは別としてたとえとしてですねw
ルイ >> 正義って単語が難しいんですよ・・・w>たとえとして
LD >> …まあ、そうやって考えて観ると、第二期はやはりまとまった世界がまたバラバラになって終わるのかなあ?w おとぎ話で終えた「コードギアス」の対比ってわけでもないけど、そこらへんのイメージはしっくりきますね。
ルイ >> 二期のアタマで、サジを使ってそのあたりを糾弾させ、そして実際に「同類です」てな事を言わせてるんだけど、でもその一方で、アローズにもっと酷いことさせて「酷い」って言わせてるわけじゃないですか。舌の根も乾かぬうちにーッ!ってw
ルイ >> ・・ま、そういう気楽な話の組み方が弱みになってるだけで、基本的に僕は「好き」ですw好きじゃないとこんなに語れないw
ルイ >> これは多分「好き」「愉しい」の意味が、ちゃんと批評する人とは違っちゃてるって事なんですけどねw
LD >> 要するにアローズのマイノリティの切り捨ては分かりやすすぎるんですよw…そこはテーマへの踏み込みの甘さと、作劇上の分りやすさの葛藤があって、まあ、なかなか難しい部分ではありますねw
ルイ >> ロックオンの「俺は嫌だね」の世界ですからね。NO突きつけて終わる・・・んー、でもそれだけだと第二第三のイオリアが出ちゃうな。最後の断末魔とでも言うべき大きな痛みを残して、CBは消え去り世界は「一つ」になるのかもしれませんね。それはそれで御伽噺です。
ルイ >> そーなんですよねえ、わかりやすい事は間違いないんだ・・・wでも、わかりやすさに任せるとテーマが浮くんですね。やっぱロボットが抱える「勧善懲悪」、或いはガンダムという白いMSが持つ「正義の力で〜飛べよ〜ガンダーム♪」の部分。このあたりが存在しちゃうんでしょうね。
LD >> そこはアローズもCBと同じ性急さを持っていて、それが失策な面がある。(戦略、政治的に考えるなら)本当はマイノリティは、生かさず殺さず、じわじわと減らして行くに限るんですよ。それが最も反撃を食らいにくい方法なはずでw
ルイ >> 根絶やし、ったって、どっかから生えてきますからねえ。
ルイ >> (・・・すっかりガンダムチャットに・・・orz)
LD >> さて、「ガンダム00」の話をながながとしてしまいましたが、ちょっと切り上げましょう。…それから、この話はけっこう良い話だったので「電視」に上げておきますw

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