連載中のマンガ雑誌の感想掲示板です!
週一回『今週の一番』を決めています!
お読みになったマンガの感想にお使いください。
#370 三宮紫穂について 投稿者:LD
[2005/10/11_04:57]
| 今週の一番でも話題に上がりましたが「絶対可憐チルドレン」のレベル7サイコメトラー・三宮紫穂についてちょっと語ります。 まず椎名先生の代表作である「GS美神」で猛威を振るったルシオラについて書いておくと、漫研究室の「ルシオラ事件」や最近「娯楽のハイエナ」でもルシオラというキャラクターを語りましたが、彼女のキャラの強さってのは「消滅してもいい程横島が好き」という事に集約されると思います。ギャグマンガ上で“死に”前提の話を物差しに使われたため、ほとんど他の(それを前提としない)キャラ達を寄せ付けない“強い”キャラが誕生した分けです。(詳しくは「ルシオラ事件」に譲るとして) これと同じく紫穂というキャラを検証してみると「死ぬほど皆本が好き」かどうかは分かりませんが、サイコメトラー(某エイジのような右手前提でない)である彼女が、皆本の心象を読みまくって「それでも皆本が好き」って事は、それはもう「愛している」って事なんですね(笑) これも「GS美神」に(さすが長期連載だけあって)ステレオがあるのですが、美神さんの父親がこういう能力の持ち主で、それ(相手の全てを知る)が切っ掛けで美神ママと結婚してます。 繰り返しますが、その人の良いも悪いも全て知ってそれでも好きって事は、それはもう「愛している」としか言い様が無い(笑)要するに言いたかったのは三宮紫穂は奇しくもルシオラクラスに“強えぇぇ!”キャラ(になってしまっている)という事です。 少なくとも薫、葵の「好き」とは、完全に格が違うのは間違いありません。彼女たちは下手をすると、まだ「皆本に懐いている」レベルで「好き」レベルにさえ達していない可能性がある。…にも関わらず紫穂は一人だけ「愛している」ところまで、来てしまっている(笑)要は一人だけ大人って事ですけどね。しかもその大人にならざるを得なかった理由で(サイコメトラーの宿命として)また、泣かせるもんだから、そーとー“強い”キャラになっています(笑) またFW=薫、MF=葵に対して戦局全体を観るGKの役割を担った紫穂は、このキャラ配置からも、非常に皆本に近い位置にいる。というより連載見ていれば分かりますが、完全に皆本のパートナーです(笑)これを変に“外そう”とか“修正しよう”などとは考えない方がいい(笑)何故なら紫穂が“回る”のはジャストこの位置で、ちょっとでもズラせば途端にパワー(破壊力)を持ち得ないお荷物の位置に降格してしまう。前線に出る能力を持ち得ないために指令搭の役割しかこなし得ないんです。(逆にこの物語の予言を考えると、紫穂を窓際の影の位置に置いておくのも全く違った展開が考えられ面白かったんですけどね。…これは今から修正するのはツライでしょう) …さて、ここからは分析ではなく妄想ですが(笑)そもそも、上記の分析をしてみたのは、このキャラ・三宮紫穂の立ち位置に僕が違和感を感じたからでした。(↑)上に挙げている画像は第10話で皆本が事件に巻き込まれたと勘違いしたチルドレンが心配して駆けつけるワンカットですが、えー…………薫が棒立ちです(笑)というより、集中線のド真ん中(センター)を紫穂がとっています。このカット、基本的に読者の視線は薫にも葵にも“三人”にも行きません。紫穂に行きます。本来ならばこの位置はチルドレン主格である薫がいかなくてはらないはずです。 それと今週第12話のラストカット。 実は率直に言って「僕の理想通りの君たちなんか、君たちじゃないだろ」というセリフは実はそれほど成功とは言えなくて、葵が「どーゆー意味やろ?」という程、微妙なセリフではないと思います。むしろ「君たちは僕の理想の女性ではない」と言っているのだから、もっと波風を立てたカットでも構わないはずです。しかしながら葵に「どーゆー意味やろ?」と言わせてるって事はつまりネームとして、 皆本に何か子供には難解なセリフを言わせて薫と葵にはその意味が分からなかったが紫穂には分かっているというカットを構想したという事になります。 単純にキャラの描き分け=情報としてそう描写したという面もあるでしょうが(↑)ちょっと三人の表情を並べてみると、紫穂の表情ってのは際立っている。…………客観的にセオリーから当てはめると紫穂の表情ってのは“中途半端”なんです。二人に理解できなかった言葉を紫穂が理解したという“対比”ならば、もっと“笑っていれば”いい。ニコニコしてればよく、目を開けている必要がないんですね、非情に意味深なある意味、コワい表情です。………まあ、ここらへんの感覚は人によって違うと思いますが、どうでしょう? 以上、要するに「椎名先生、えらく三宮紫穂の描写にリキ入ってないかい?」という話です(笑)彼女の描写の力点に違和感を覚え「では他の二人と彼女の違いはなんだろう?」と検証してみた結果「ああ、この娘が一番、皆本を“愛している”んだ」という結論になったワケです。 そういう妄想をしたのは紫穂の描写に違和感を感じたのが先立ったわけで、冷酷非情なマンガ解読マシーンのこのLDが「紫穂ちゃん萌えー!」を先立たせたワケでは決してない事をお伝えしておきます(←本当か!?)…ま、もっともここまで分析してしまうとスッカリ気に入ってしまいましたが(笑) もっともこの話の最大の妄想は「椎名先生もそれを意識して描写していない?」って部分なんで、そればっかりはちょっと判りませんね。しかし、上述での分析は三宮紫穂という“設定”が生み出した“構造”を指しているのであって、これはたとい作者といえども“ルール変更宣言”をしない限り改変できるものではありません。 加えて「今週の一番」でも述べましたが、この物語には明石薫が「破壊の女王」として人類に対して反旗を翻す史上最悪のテロリストになるという予言があるわけです。これは人類に対する絶望あるいは幻滅が前提条件になると思いますが、しかし紫穂は人間の良いも悪いも理解して人間と交わる事を選択した女の子として描かれてしまっています。ほぼ同じ能力を持った「GS美神」の美神パパが人間を避けて半隠遁生活を余儀なくされていた事を思うと、これは対照的な“設定”と言えると思います。 この予言を変える役目を任された皆本のパートナーとして既に機能している事からみても、彼女の“退場”あるいは“後退”なくしては、この予言へのレール連結はかなり難しいと思われるのですが、さて、ここらへんはどうなるでしょうねえ(笑) |